蛇足

 結局、私がその時作っていたゲームの攻略本は、無事、発売日に発売され、3万5千冊が書店に出荷された。


 私のその後の生活に全く変化は無かった。当時、仕事仲間に普通に消息不明はあったし、私自身、一緒に仕事をしていた仲間の死に立ち会ったこともある。性別不明のゴスロリがカミングアウトしても、その話題は1ヶ月も続かない。そういう業界なのだ。ただ、その編集部は、その後、業界の縮小化にともない、5年経たずに解散することになるのだが。


 編集部に居着いている幽霊から届くメールは不規則で、この話以降、ピンチの時に来たり来なかったりした。幽霊はいつものように、時々気が向くと仕事を手伝ってくれた。その多くは意味不明な文字の羅列だったが、時たまに、秀逸な文章を叩き出してくれた。なんにせよ、寝ている間に原稿を書いてくれるのはありがたかった。


 F のカミングアウトの事件から、なぜかF の人気は沸騰することになる。残念ながら、Fの恥辱趣味はまだ続いており、付き合いはその後も続くことになるのだが、その話はまた今度にしたいと思う。


 了

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締切前には幽霊がいる ミムジー @mimgy

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