UNEPISODE04 宇宙最後の物語への応援コメント
物語によくあるお約束。確かに破ってしまえばなんとも呆気ない結末になってしまいますね。こういう視点の小説はなかなか無いので面白かったです。
作者からの返信
破ってみることは面白いけど、破ることが常態化しては身もふたもないという警句。
その警句もまた、破っている事に変わりはないのでバランスは難しいですが、楽しんでいただけたのであれば程よいバランスになっていたようで幸いです。お読みいただきありがとうございますっ。
編集済
UNEPISODE01 漠視館殺人事件への応援コメント
とは言ったものの、ちゃんと推理させるのが、博元様のすごさだと思います。
最初に、「どうして家政婦が殺害されたのか? 」
家政婦を一人殺したぐらいで、メインの動機である相続の順位が上がることはない。
つまり、遺産関係の動機で殺されたわけではないことがわかります。
それは、遺言状が紛失していた描写でもあたりがつきます。
逆に言うと、「財産目当てで集まった」水理一族の中には、犯人はいないことになります。
翻って見て、では、なぜ「家政婦が殺されたか? 」
発見させて、皆を寄せ集めて、最適なタイミングを見計らうためです。
最初は、武鷹氏が実は生きていて・・・という可能性も考えましたが、「地の文は正確である。」という原則に従って、その可能性は排除します。
また、時限爆弾を使った、という考え方も取りがたい。
あまりにもタイミングがつかみづらい。
現場に犯人がいて、状況を見て爆発させた、と考えた方が妥当です。
ここで、秋田のセリフ。
「これ、殺人事件だろ。」
というのが気になってきます。
「事故かもしれないのに、どうして殺人事件」と断定できたのでしょうか?
地の文に、「ナイフが背中に刺さっていた」など「殺人を明確に示す文章」がない以上、「殺人」だと思える根拠は乏しいと判断いたします。
「脅迫状が落ちていたから。」という根拠は、ちょっと考えにくく思われます。
なぜなら、あの文面は「水理一族」に害を及ぼすという内容でした。
「一族ではない」使用人に過ぎない彼女が、「犯人」のターゲットになるわけがない。
脅迫状を出した犯人と、家政婦殺しは別件。
関係者はそう考えたはずです。
なぜ、彼は断言できたか?
おそらく、彼が犯人だから。
遺産争いで、家族の情というものがもろい。それどころか、醜い面をさんざん見た彼は、最後に「遺産よりも、家族の絆が戻ってほしい」と考えたんだと思います。
殺人という非常時の中、「遺産よりも家族愛に目覚めてほしい。」これが秋田の賭けだったように思われます。
しかし、次女は、そんな願いむなしく「遺産」を取りました。
絶望した秋田は、「こんな罪深い家族なら、生きていても仕方ない。」
賭けに負けた秋田は、取るべき行動をとりました。
それならば、わざわざ爆殺という手間がかかる手を取ったことが頷けます。
一族の根絶やし、というのが犯人の目的であれば、その象徴である館も当然破壊対象にならざるを得ません。
犯人どころか、被害者、そもそも犯罪の痕跡をも消し去ってしまうために「爆殺」という手段を取った。
ここに、博元様の「チェスタトン」もかくや、という神がかった論理的発想の飛躍を見ます。
しかし、「犯人=秋田」説では、オチの「犯人は逮捕された」というところと矛盾します。
水理一族は全員死んだのなら、死者を逮捕することはできません。
この矛盾は、何を意味するのでしょうか?
「前半はフィクション」「後半が現実」ということではないのでしょうか?
要するに、事件編は、秋田が「殺人計画」として書き残したメモの走り書きだと思います。
そして、それを見たこどもたちが、実行に移した。
善悪の区別がまだ未熟な子どもたちなら、こんな途方もない発想の犯罪を行うことに躊躇は無かった。
犯人があっさり逮捕されたのも、「子ども」ゆえに詰めが甘くなった。
そもそも「自分たちが死ぬ」というというのは、絶対嫌だから、現実には何かしら遠隔操作で爆破したんだと思います。
その辺の勝手なアレンジが生み出す矛盾に気付かなかった、というのは、いかにも子どもらしい設定だと思います。
叙述トリックによる「現実と空想が入り混じる」カオスさ。これが、「物語であることを拒否する」本エピソードで語りたかったことではないのでしょうか?
「推理等する余地もなし。連続殺人ではなく、一網打尽。事実は小説より奇でも小説より呆気無く容赦も起承転結も無し。」ということ自体、壮大なミスディレクションを感じました。その発想の冴えは『キングを探せ』『ウロボロスの偽書』に通じるところがあると思います。
という、こんな推理はいかがでしょう?
しかし、『ひぐらし』に匹敵する面白さじゃないですか!
こんな短い話の中で、きちんと想像力を刺激する伏線を張る巧みさ。
あえて、「リドルストーリー」にしてあるのも面白い。
今年読んだミステリの中では、一、二を争うものでした。楽しい時間を、ありがとうございます。
作者からの返信
力作推理感想有難うございます。事件の真相についてはあくまで秘密とさせて頂きますが、それはある意味、どのような真相も存在しうる、という事でもあります。
それこそ、「真相も名探偵も劇中に存在しない事」がUNSTORYですが、物語の外に制限は存在しませんからね。
UNEPISODE01 漠視館殺人事件への応援コメント
前衛的というのか退廃的というのか……。
2名分の発言を1つの括弧内に入れてしまうと、キャラをイメージしにくい気がします。男? 女? ん?
もし字数の制限が無いのであれば、トリックなども匂わせると、さらに……。
作者からの返信
ええと?
この小説にある発言は
「な、なんだこれは!?」=長男の水里 撓意が口髭を震わせて叫ぶと同時に、
「水里一族悉く死すべし」=その一文であった。
「ゆ、遺言状は!?遺言状はどうしたの!?」=長女の水里 梨夜が太った頬に皴を寄せ欲深い叫びを上げた。
「ば、馬鹿、そんな事より、これ、さ、殺人事件だろ!?」=次男水里 秋太が上ずった声を上げる。
「これは…・・・」=水里秋太の息子、水里 消雪が、その頭脳を回転させ始めようとした・・・・・・
の4つでしたが、どこにそんな誤読の余地が……
ああ!
冒頭一番最初の叫び声が水里 撓意というのを、「ゆ、遺言状は!?遺言状はどうしたの!?」の台詞と一緒に描写して、「な、なんだこれは!?」と「ゆ、遺言状は!?遺言状はどうしたの!?」の台詞が同時に発されたものですよと描写したつもりだったのですが、「ゆ、遺言状は!?遺言状はどうしたの!?」の台詞を二人で言ったものと誤解されたのですね?
口調でわかるだろうと思ってましたが……成る程。
トリックに関しては、本作品は短編集という事でギリギリまで短く死体という事と、犯人の行動的にトリックを偽装する理由があまり無いという事で省きましたが、上記の誤解の余地を無くすように、加筆修正をしておきました。ご意見どうも有難う御座いました。
もし此方でのこの感想の解釈に間違いがありましたら、twitterアカウント宛にご連絡お願い致します。
UNEPISODE04 宇宙最後の物語への応援コメント
これを見たらテンプレがファニーになってしまうじゃないですか
全くなんてことをしてくれたんですか
作者からの返信
ファニーという言葉には中々広い意味がありますが。負の意味でのファニー(変な、奇妙な、不正な、いんちきな、いかがわしい=テンプレがな話がそのように感じてしまう)なら、この話にも魅力があったという証明でもあり有り難う御座います。
正の意味でのファニー(面白い=この無茶苦茶な話を見るとテンプレな話が面白く感じるようになってしまう)であれば、それはそれでこの物語の狙い通り。お約束を崩す事で先進的な作品を目指す果てにあるのはこのようなもの、という、作品として提唱する警告風刺が正に的を得たということ、そうであってもやはり幸い、有り難う御座います。
まあ、見ての通りの前衛的実験作で御座います。何だこれはと驚いていただければ、それだけで幸いです。
そして、ある意味本作品と表裏一体をなすのが、現実に対する物語の善美と物語を愛する者の戦いと勝利を詠う私の長編小説、逆襲物語ネイキッド・ブレイド。もし宜しければ其方も読んで頂ければ幸いです。
UNEPISODE02 武芸十八般への応援コメント
夢枕獏かと思わせて、
このオチですかァ~😆🎶✨
良いですね。
作者からの返信
夢枕獏は意図していたんで伝わってよかったです。
総じて「それをいっちゃあおしまいよ」「身も蓋もない話」がテーマの前衛的短編集ですが、ある意味、この話はその中でも特にそういう要素の強い話であったりします。
ご評価有難うございます。同作者の長編、逆襲物語ネイキッド・ブレイドは、ある意味この作品と表裏を為す物語賛歌ですので、もし宜しければよろしくお願い致します。
UNEPISODE04 宇宙最後の物語への応援コメント
デュシャンの噴水や、無音が続く『4分33秒』等も、既存の作品があって初めて成り立つわけで、これらの作品そのものには価値はないと私は思っています。
テンプレ外しは、外しすぎると作品として成り立たないし、外し方が足りないと二番煎じになってしまうし、ここらへんのさじ加減をうまく調整できる人が優秀な作家なのでしょうね。
作者からの返信
そう、正に。お約束外しはお約束があってこそ成立するもので。
だから、お約束も大事であるという事を訴え、お約束外しをしすぎた場合を実際に行ない目に見える形にして問題提起する、という意図を込めた作品でした。
とはいえ、最近のお約束が昔のお約束外しの結果だったりする事もあって、その場合どちらをお約束と見做しどちらをお約束外しと見做すかは書き手次第だったりします。それをどう判断するべきかは、作品の主題によっても決まるところもありますが。
正に、その匙加減を上手く出来るようにありたいと思いますね。