第40話 コタンタン町.1
ニーニャ号が海路を進む
大陸を南に北東への航路を進む
正面に2つの島を望み進んでいく
ニーニャ号は王国領内なのである
デサジューノにメリエンダ・メディア・マニァーナにコミーダにメリエンダでセナである
朝食が2回で昼食と夕食と夜食である
メリエンダ・メディア・マニァーナである
チュロスを千切ってつまんで食べる、ホットチョコレートをすすって味わう
「応援の到着が早くなかったです?」
カール王子に質問する
「そうかい?」
カール王子が静かにホットチョコレートを飲む
「食料積まないで来たんですか?」
チュロスを千切りちびりちびりと食べる
「いや、食料は満載だよ?」
カール王子はチョロスをつまんでいる
「そうですか」
そうか、領主の館の城砦と海軍とは食料庫が別なのかと
もしかして逃げても逃げきれなかったのかと考える
危なかったかもしれなかったかもしれなかった
が、結果オーライである
「それで、今回はどうだったかな?」
カール王子が楽しそうに聞いてくる
「どうも何もフェイさんに聞いてますよね?」
「運良く終わっただけです」
カール王子の真似をして上品にホットチョコレートを飲む
「そうか」
カール王子は静かにホットチョコレートを飲む
「カール様、次は何処に向かっているのです?」
空気を変えるべくアリサさんが話しかける
「コタンタンの港に入港の予定だ」
「そこで少しの間だけ停泊する」
カール王子がチョロスをつまむ
「その後は?」
チョロスを千切りながら聞く
「内緒」
カール王子が嬉しそうに笑う
甲板に出るとマストに登り飛びまわるマイケル
甲板の上でマイケルに向かって手を伸ばし走りまわるアン王女
傍らにはうり坊を抱いた執事がたたずむ
フェイさんは甲板の縁で倒れ
王子の護衛はバカンス気分で過ごしている
アイリちゃんも甲板をウロウロしている
アリサさんは幅広の帽子にサマードレスである、このために買ったのかと
ミリアちゃんは俺の横で潮風に吹かれている
そういえば美肌のケアとかもわからないし、製品の再現も出来る気がしない
スゥパァチートで肌と髪のケアをしてあげようと考える
いや、錬金術で良いのかとも考える
貨物室はキングサイズのマットレスに羊毛の敷布団に絹のシーツにバージョンアップ
魔導のランプも冷蔵庫も冷凍庫も水袋もバスタブもコンロもコピッてきた
魔石もコピれば使いたい放題である
もはやお金の心配も無くなる…完璧である
船旅は暇である
景色にも飽きて貨物室で本を読む
魔法を考える
自堕落な生活をしつつダイエットにいそしむ
デサジューノにメリエンダ・メディア・マニァーナにコミーダにメリエンダでセナである
3日ほどモニュポヨンで昼頃にコタンタンの港町に入る
コタンタンの港は軍港と併設されていた
広い港に軍艦や貿易船や魚船がところ狭しと停泊している
軍港側にも貿易船が停泊している
ニーニャ号も軍港側に停泊する
港の桟橋に騎士団が整列する
カール王子に続いてアン王女と下船していく
カール王子が指示して騎士長が団員を走らせる
カール王子一行は貿易会館のサロンに入っていく
俺達も船をおりてカール王子についていく
貿易会館は石造りの3階建てで港側全面が窓の商業の館である
2階はサロンになっている
重く厚い扉の奥は絨毯の敷かれた部屋である
ソファーやイスとテーブルなどの調度品が並んでいる
本棚には貿易関係の本が並んでいる
テーブルの上のベルを鳴らすと控えている給仕がやってくる
ジャガイモのガレットに卵とチーズのガレットにハムとちーすのガレット
などなどガレット尽くしに紅茶でいただく
サロンの窓から港を見ると出航する船が無い事に気が付く
給仕に聞いてみる
「なんで出航する船が無いのかな?」
「私はよくわからないのですが、幽霊船が原因と聞きました」
ウエーブの掛かった栗色の前髪を指で整えながら答えてくれた
「ありがとう」
お礼を言って1階に降りる
1階は木の格子の付いたカウンターが並んでいる
フロアには人は居ない、暇なようである
「すいませんいいですか?」
カウンターに向かい声を掛ける
「はい、なんでしょう?」
グレイの髪を撫でつけた髪に円眼鏡、腕には腕カバーを付けている
おじいちゃんである、しわがれた声で答える
「幽霊船が原因で出航できないんですか?」
「そのようですな」
「おかげで港は船で溢れておるよ」
「話を聞くと”さまよえる幽霊船”のようですな」
ほっほっほっほっである
「詳しく聞かせてもらっても?」
「暇ですしの、噂だけならええですよ」
お茶をすすり、喉を鳴らすおじいちゃんである
幽霊船は最南端の岬で遭難したヘンドリック船長の霊であると
人の身でありながら嵐を呪い挑み、敗れたために呪いを受けたと
天に召すことも許されずに永遠に海を彷徨う呪いであると
しかし9年に一度だけは上陸することができる
乙女の愛を受ければ呪いが解かれると
幽霊船の呪いを解けば財宝が手に入ると
「それで幽霊船はいつ出航するのですか?」
「さあねえ、久々の上陸じゃから一年くらいは居るんじゃ無いかね?」
ほっほっほっほっである
「ありがとうございます」
「暇じゃからな、またいつでもおいで」
お茶をすする、おじいちゃんである
サロンに戻るとカール王子が渋い顔をしている
騎士長がゴニョゴニョしている
アリサさんは窓辺に座り港を眺めている
「アリサさん、さまよえる幽霊船って知ってます?」
アリサさんの傍らに立ち窓の外を眺める
「いいえ、知らないわね」
首を傾げるアリサさん
「そうですか」
何でもかんでも知っているわけではないと
「マサト君、その話を詳しく」
カール王子がいつの間にか傍にいた
「今この町にさまよえる幽霊船が入港しているらしいですよ」
「それで港から船が出れないとか」
「幽霊船はいつ出航するかわからないとか」
「幽霊船を成仏させるためには乙女の愛が必要とか聞きました」
「そんな噂です」
カール王子に聞いた話を伝える
「そうか」
「それで今日の宿だが、船で休んでくれ」
「何処もいっぱいで収容できないとの話だ」
「僕とて例外ではない、船で宿泊だ」
カール王子がお手上げのジェスチャーをする
その向こうで青い顔で膝から崩れ落ちるフェイさんが見える
コタンタンの町は王国の領内では最北端の町である
軍港が有り貿易船も行きかう港である
10階建て相当の要塞化された建物の灯台
石造り4階建て相当の教会に三角屋根の鐘楼に3つの鐘
教会には治療院も併設されている
最近は一日5食に慣らされて昼過ぎにお腹がすく
アリサさんチェックのお店で昼食を取る
昼過ぎとはいえ人が多いせいであろうどこもかしこも混雑していた
アリサさんチェックのお店は比較的に空いていた、客は6割程であろうか
メール・プラールのオムレツにヒラメのディエップ風マルミット
舌平目のノルマンディー風とりんごのブルドロ
シャンピニョンとリンゴのシードルとワインでいただく
食後に冒険者ギルドに行ってみる
冒険者ギルドは町役場ほどの広さである
フロアには幾人もの冒険者がたむろしている
カウンターには従業員の女性が2人程働いている
フロアの一角には食堂が併設されており給仕がテーブルをかたずけている
依頼掲示板には珍しく魔物の討伐依頼もある
魔石は常時買取なのに魔物の討伐依頼である、それなりの敵なのだろう
依頼内容を見てみるとランクCの魔熊であるサンダーベアと書かれている
雷を纏う体長4メートルのクマだそうだ、雷でクマは駄目だろうと思う
風と火に耐性持ちで触れたらスタンである、そこにクマの力と爪である
討伐金額は金貨64枚である、妥当な金額とは思えない
魔の森との境界の村が2つ潰されたと書かれている
ミリアちゃんが傍らにたち、魔熊の討伐依頼を見ている
ミリアちゃんも思う所が有るのだろう
「その依頼が気になるかい?」
赤い髪を風になびかせる、主人公ヘヤーの青年が声を掛けてくる
当然にミリアちゃんにである
「気になります」
ミリアちゃんが依頼票を見ながら答える
「俺の名前はエリックだ」
右手の親指で自らを指している
「ミリアです」
ミリアちゃんが俺をチラッと見てから答える
「その依頼は止めた方がいい、勝てる訳がないからね」
「今までに討伐依頼を受けたパーティーが幾つも失敗している」
「全滅したパーティだってある」
エリックはジロリと俺を見てから笑顔でミリアちゃんに説明する
「でも、村が襲われたんですよね?」
「冒険者ギルドや領主様の討伐部隊は出ないのですか?」
ミリアちゃんがエリックに聞く
「潰されたのは冒険者の村だからね、領主は出ないよ」
「ギルドは討伐依頼を出してそれっきりさ」
エリックは肩をすくめる
「そうですか」
残念そうなミリアちゃんである
「無謀な事はしないと思うけど」
「もし依頼を受けても死神とは関わらないようにね」
エリックが笑いながら忠告する
「死神ですか?」
首を傾げるミリアちゃん
「そう死神、赤トカゲの死神だよ」
「この依頼に必ず首を突っ込んでくる」
「報酬はいらないから討伐パーティに入れてくれと言うんだ」
「しかし、必ずパーティは全滅でそいつだけが帰ってくる」
「本人は魔熊に恨みが有ると言ってるみたいだけどね」
「魔熊の仲間なんじゃないかってもっぱらの噂だよ」
エリックが怪談をするかのように怖い顔で話してくれる
「エリック、エリック」
弓を持った青年がエリックの肩を叩く
「なんだよ、今いい所なんd」
手を振りほどいて振り向くエリックの視線が冒険者ギルドの入り口で止まる
冒険者ギルドの入り口に腰より長い深紅の髪のスレンダーな女性の姿が見える
体のシルエットがはっきり見えるレザースーツに金属板の補強がされている
前髪で片目が隠れていて見えないが細面の綺麗な顔立ち、頬に傷が2本
真白い肌に深紅の瞳である、こちらに歩いてきて気が付いたが背が高い
俺よりも頭一つ高いのである
近づいてきたのでよく見ると肌の露出しているところは切り傷だらけである
どれだけ無茶な戦闘スタイルなのかと驚く
「魔熊の討伐か?」
ぶっきら棒に深紅の女性がミリアちゃんに問いかける
「いえ、あの」
ミリアちゃんが戸惑いながら俺を見る
ミリアちゃんは俺より小さい、ミリアちゃんの視線は俺の口元くらいだろう
深紅の女性相手だとおっぱい位の位置に視線が有るのではないかと思える
しかしミリアちゃんはおっぱいの大きさでは身長差抜きでも勝っているのである
憶することは無いのである
「検討中です」
ミリアちゃんの代わりに答える
「そうか、討伐するときは声を掛けていただきたい」
「報酬はいらない、魔熊には借りが有るのでな」
「では、失礼する」
深紅の女性はぺこりと頭を下げてカウンターに向かう
しかし細い女性である、手も足もスラリと長く腰も細い
そして、その背には細身の両手剣が見える
エリックは空気を呼んだのかいつの間にか居なくなっていた
ミリアちゃんが俺を見ている
アイリちゃんも俺を見ている
アリサさんも俺を見ている
「考えておくよ」と、だけ言っておく
武器屋には武器が売っている
壁には笑いが出るほどの金額の魔法の武器と業物の武器が並ぶ
棚にはギラリと鈍く光る武器の数々である
壁の武器は金貨3ケタ、棚の武器で金貨2ケタである
いつものように中古品の武器を見に行く
依頼の魔熊は雷なので火と風の耐性持ちである
こちらの魔法の武器は風属性である、戦うのは悩む所である
深紅の女性を仲間に入れたとしてと考えるが
彼女は魔法の武器があったとしてもテンプレ的に火なのだろうと考える
盾は土属性の強化するとして、問題は武器なのである
とりあえずは保留としておく
防具屋には防具が売っている
フルアーマーの展示の中にビキニアーマーを確認してうなずく
パーツアーマーの棚を見て回わる
フルアーマーと魔法の防具は金貨3ケタ、パーツ防具は金貨2ケタである
ここでも中古を漁るがこれと言ってめぼしいものは無い
しかし、武器屋も防具屋も中古品が結構そろっている冒険者が多いのだろう
道具屋には道具が売っている
冒険の道具に旅の道具に魔導具である
足りないものを補充して、新たにロープやクサビなど登山道具を仕入れる
転ばぬ先の杖なのである
魔導具は暖房器具が有ったので買うことにする
当然に支払いはアリサさんなのである
カール王子から支度金を預かったと言っていたのでヒモでは無いのである
魔法屋には魔法と薬品と触媒が売っているのである
魔法の書と巻物は4大魔法が初級と中級、光魔法と闇魔法が初級だけ
精神魔法と強化魔法と弱体魔法と治癒魔法は初級と中級
店ではここまでが限度なのだろう、これ以上は魔法学園に期待するとしよう
錬金と調合の本も前に買ったものと同じものであった
薬品もお決まりの物が並んでいた
治療薬に疲労回復薬に精神疲労回復薬と状態異常回復薬と状態異常付加薬である
材料の薬草や干物などの触媒が並んでいたので一通り仕入れておく
船旅の暇な時間に錬金と調合を色々試してみようと考える
アリサさんは魔法の杖の物色をしている、魔法の杖マニアなのかもしれない
杖は材質と宝石と紋章の組み合わせとアリサさんに教えてもらった
水晶は安価で加工がしやすいから多く使われていると説明してくれた
杖は組み合わせにより多種多様な効果を付けられるとも教えてくれた
どうやら奥が深いようである、そのうちに研究してみても面白いと考える
魔法の触媒についても発動の成功率や効果アップに使われるのだが
火の魔法の触媒を使って実際の火に変換する事も出来ると教えてくれた
魔法の火で焚火に火を点けられないが触媒が有ればできるという事である
アリサさんは流石は魔法学園の教授なのである
触媒も全種類購入することにするのである
冒険者エリアから離れ、町の商業区に向かう
冒険者エリアとは違い普通の人達が普通の服を着て歩いている
身なりが整っており、武器を装備する人などいないのである
雑貨屋には雑貨が売っている
いままで使っていた物のバージョンアップである
オリーブオイルの軟膏や洗濯石鹸や食器を新たに良い物を仕入れるのである
が、ガエルの町程には物が無かった
軟膏や石鹸は解析できれば作れるのではないかと妄想している
今後のスゥパァチートに期待である
帽子屋に洋服屋に鞄屋に靴屋であるが、やはりガエルの町程には物が無かった
しかし、キャッキャウフフの女の子達である
俺も皆に渡した拡張共有ポーチよりも良さげげな外見の機能性の良い鞄を物色する
靴ももっと柔らかくて履きやすい靴が無いか物色する
どうせカール王子の金である、気にせずに買うとする
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