第36話 ガエル町.4


孤児院の司祭の部屋でアルトンさんと話す


アクトンさんは船もわからず島もわからないと話す


しかし、島から港までは乗船時間はそれほど長くはなかったと話す


湾内の島だろうと考える


手がかりもなく歩く


とはいえ教会と港しか行くところもない、教会に向かうとする



教会の礼拝堂、長椅子に座って司祭を見る


祈りを捧げる信者とは別に、司祭への列に並ぶ信者たちの姿が見える


もう一人の司祭はいそいそとミサの準備を始めている


やはり悪人顔がチラホラと教会内をウロウロしているが締めあげる訳にもいかない


テレビドラマとか時代劇ってどうやって調べてるのか思い出そうにも思い出せない


ご都合主義が羨ましいと考えていたら、ご都合主義がやってきた


チンピラ4人組である


ポケットに手を突っ込んで口笛を吹きながら歩いていたり


柱に身を隠しながら移動していたり


壁に背中を這わして移動していたり


長椅子の端っこを移動しながら座っていたりである


逆に目立つだろうと、突っ込み待ちに感じてくる



彼らを眺めていると教会内をウロウロと物色しているようである


チンピラAが司祭の気を引いているうちに別のチンピラが奥の扉に入っていく


しばらくすると司教と修道士が扉から出てくる、チンピラはつまみ出される



司祭はあばた顔のほほ肉プルンプルンの大男のデブである


ふんぞり返りながら歩いている、悪党決定である



密輸に手を貸しているのは何人ぐらいだろうか?


司教だけだろうか司祭もなのだろうか、全体数が分からない



捨て台詞を吐いているのであろうチンピラ4人組の後ろを付けるとする




中央広場を抜けて町の北側に向かう


チンピラ4人組は嫌われ者である、市場では白い目で見られる


誰も彼らに声を掛けない、目を合わせない避けて通る


まあ、当然であろうとおもう



チンピラ4人組は中央広場を抜けると町の北東側に進む


孤児院にでも行くのかと思ったがそうではない、だいぶ手前を右に曲がる


しばらく進むと廃屋の多くなる通りに出る、再開発地区かスラムだろうと思う


ジョッキのマークの看板の掛っている店に入る、居酒屋であろう


悩んだが入ることにする



中に入ると手前のテーブルにチンピラ4人組が座っている


奥に行けば行くほど怖い顔の獣人が座っている


カウンターにはヒョウ柄の着ぐるみ系の獣人族のお姉様が座っている


絡まれる前にチンピラ4人組のテーブルに座る



「あってめえ」


「何しにきやがった?」


「お前なんかが来るところじゃねえ」


「かえれかえれ」


チンピラ4人組の合唱が始まる



「教会について教えてくれませんか?」


「何か調べてますよね?」


「あの協会は怪しいと睨んでるんですがわからなくて」


「おねがいします、孤児院も関わってまして」


サックりとハッキリと話をする


常々遠回しにするから誤解が生じると考えていた、簡潔にすべきである



「なんでおまえなんかn」


「なんだと?」


「孤児院が何か有るのか?」


チンピラ4人組も話を聞く姿勢が出来たようである



「黒猫人族のノアちゃんが教会の密輸に関わったみたいなんだけど」


「それで俺が教会を調べることになってね」


「教会に行ったら君達を見かけて話を聞こうとこうしてやってきたわけです」


「さあ、教会が不利になる話を聞かせてください」


「でなければあ孤児院とノアちゃんが危険になるかもしれませんよ」


端折ってチンピラ4人組に説明する



「なんだい、脅されてんのかい?」


後ろからヒョウ柄のお姉様が声を掛けてくる


店の奥の暴力装置の様な連中がゴキゴキバキバキ起動を始めだす



「いえ、逆ですね」


「教会を潰すための相談です」


身の安全のために敵をハッキリとさせておく



「ほう、あんた人間のクセに面白い事を言うね」


「本当なのかい?」


俺の首を優しく指どころか爪でなぞりながら聞いてくる



「もちろんですよ」


「ねっ」


チンピラ4人組に同意を求める



「孤児院が危ないってのは本当なのか?」


チンピラAが聞いてくる



「ええ、もしかして教会の事何も知らないんです?」


チンピラ4人組を見ると知らなさそうである



「俺達は何か無いかと探していたところなんでな」


「有るならこっちが教えて欲しいくらいだ」


「おまえ、密輸とか言ってたな、そりゃどういう事なんだ?」


「なんで密輸に孤児院が絡んでくるんだ?」


チンピラAが詰め寄ってくる



「うーむ、知らないならいいや」


「お邪魔しました」


立ち上がって扉に向かう途中でヒョウ柄のお姉様の御御足がさえぎる


しばし眺めてから、ヒョウ柄のお姉様を見ると奥に向かって目線を送る


目線を追うように店の奥を見るとイノシシの着ぐるみ系の獣人が手招きしている



映画みたいだなと思いながらテーブルの上の豚の丸焼きを見る


共食いにはならないのかなと考えてみたりする



テーブルにはイノシシにバイソンにサイがいる、デカくて大きかった


チンピラ4人組は俺の後ろに立って並んでいる


緊張して喉が渇いたのでお茶を注文してみたら水が出てきた



「お前は何もんだ?」


イノシシが聞いてくる



「孤児院の関係者です」


水をチビチビ飲みながら答える


サイとバイソンが俺を睨む



イノシシは俺の後ろのチンピラを見る


チンピラ4人組は背過ぎを伸ばす



「はい、そのようです」


チンピラAが答える



「それで何故教会を?」


イノシシが凄む



「密輸してるみたいだけど証拠がなくて探してます」


素直に答える



「密輸しているのは本当なのか?」


イノシシが睨む



「孤児院の子が関わっちゃいまして」


正しくは無いが嘘は言っていないはずである



「うーむ」


ふんぞり返って天井を見ている


バイソンにボソボソ話している、サイにボソボソ話している



「覚えておく、帰っていいぞ」


イノシシが帰れとジェスチャーする



「親分いいんで?」


チンピラAが親分に聞くが睨まれて黙る



おれは席を立ち店を出るとする



「お代」


ヒョウ柄のお姉様が手をヒラヒラさせる



「はい」


ヒョウ柄のお姉様のおっぱいを眺めながら銀貨3枚渡す


殆ど下着と言っていい革のセクシーボンテージである


革の下が毛皮であるのが何か良いかんじである


御御足も見せてもらった、拝観料込みである



「ん?」


水の代金で銀貨3枚渡されて逆に驚いたようである



「ふーん、興味あるのかい?」


俺の視線に気が付いて笑う、ネコ科の笑い顔も可愛い


セクシーボンテージの胸元を引っ張りながら俺を見る



「はい、もちろんです」


「機会がありましたら是非」


素直に答えてから店を出る



さてさて、手がかりがありませんでした


仕方がないので港に向かう、桟橋に座って海を眺めるが良い景色なだけである


右手には領主の館で左手は軍港、正面の半島に島は2つか


最近やけに物が良く見える、遠くを見るのが視力アップに効いたのかと思う


しかしアルトンさんが捕まていた島が見ただけでわかるはずもない


飛んで行くと見つかるだろう、しかし濡れたくないし泳ぐのが面倒である


何か凄いスゥパァチートはできないかと考える



水に濡れないようにする、空気は必要なので空間が必要だなと


水の中の移動だからフライは無理だと、空間を水流操作で運ぶかと考える


いや、そもそも風や水などに頼らずに俺が空間ごと移動できればいいわけだよなと


座標を移動するように移動できるのが理想的だなと考える、固定位置と方向操作


結界と移動ともに空間魔法だなと考える



自分を中心に球状の結界を張る、光と音と空気が入ってくるのを許可する


自分は空間魔法で移動する、名称をムーブとしておこう


上に移動する右に左に前に後ろに下にいどうする斜めも大丈夫


空間に位置を固定しての座標移動だから風にも水にも流されない便利である


それでは水中散歩に出かけるとする



水中を移動する、魚が泳いでいる


海上からさす光がカーテンのように見える


海面を船が通るのが下から見える、日の紋様がユラユラ光る


ガラスの球体の中に入って海に潜る感覚というモノなのだろうか、不思議である


しかし、これはいいとても綺麗である



しばらく海中散歩を堪能してから本来の目的を思い出す


島めぐりである


入り江のような場所に島が2つありひし形と円型である


まずはひし形に向かう



北側は岩場の絶壁になっている、そちらから上陸する


空気は通しているので球状の空間は必要ない、結界はボディスーツ程にしておく


光魔法のインビジブルにより不可視化する


考えてみたらフライでインビジで良かったんじゃないかといまさら気が付く


まあ、いいかと


島の南側に建物と砂浜が有るが他には何もなかった


建物も見張り台の様なものであった



円型の島は桟橋があり海賊船が幾つも停泊している


島には建物が建てられており海賊の拠点のようである


木造の家の集落に焚火の跡と寝ている男たちの姿が見える


スーッと移動してピタッと止まる、風も揺らがない


俺自身は姿は見えないしニオイも音も結界から漏れない


音は扉の開閉くらいである


どうせ感知されないのである、一軒一軒しらみつぶしに捜索する


しかし密輸品も連れてこられた人も見当たらない


海賊船の中も一隻一隻調べるが見当たらない


アルトンさんが町に居るのだから全て町に運んであるのかと


またもや今更ながらに気が付く


戻るとしよう、しかし何処に?



教会の鐘楼の上で考える


密輸品や奴隷は何処に行く?


陸路か海路で運ぶ


海賊は持っていなかった、アルトンさんは霊安室に連れて行かれた


一度陸揚げしてからまた船に積む?


陸路とするならキャラバンか?


北は領主への道、西は港で南は緑の回廊だから…キャラバンなら東の街道か



町の東に行くとする


川沿いに道を進んでいくと東の門が見える


東門は武器屋防具屋に道具屋や魔法屋などのいわゆる冒険者エリアである


しかしこの町は冒険者が少ない、この町に限っては傭兵エリアであろうか


東門の外にキャラバンの姿は見えない


若そうな門番が1人いたので聞いてみる



「この辺にキャラバンいませんかね?」



「キャラバンなら川沿いの広場にテントを張っているよ」


「この町じゃキャラバンはたいして商売にならないだろうと思うよ」


「キャラバンの方も仕入れくらいしか用はないんじゃないかな?」



「もしかして、船で移動ができる?」



「もちろん、そうだろうから川沿いにテントを張ってるんじゃないかな?」


「それにあのキャラバンは良く来るキャラバンだからね」


「この町に来るキャラバンなんて彼らくらいなものだよ」



「ありがとう」



キャラバンの方に向かうとする


キャラバンは店を広げてはいるが当然だが人は居ない


こんなところに誰も来ないだろう


見慣れたハンチング帽にチョッキを着た男を見つける


ああ、アブラギッシュな絹シャツの親方のキャラバンだったのかと



「お久しぶりです」


ハンチング帽にチョッキを着た男に声を掛ける



「よう、久しぶりだな」


「この町に居るのか?」


「残念ながら風呂はやってないぜ」


笑いながら話しかけてくる



「いや、風呂は大丈夫だよ」


「商売っ気がないんだね、この町へは仕入れの為?」



「この町は渋いからな、商売は抜きで仕入れだけだ」


「明日の朝には出る予定だ」


「あとはいつものルートで王都まで戻るだけだな」



「前見たときよりも店員が少ないけど、居なくなったの?」



「あー奴隷の店員の事だな」


「彼らはいつもこの町で仕入れるんだよ」


「それで王都で売りさばく」


「うちの親方のツテでいい奴隷が手に入るんだってよ」


「だからうちはこの町と王都の往復で儲けてんだよ」


「途中の町はオマケみたいなもんだ」



「羨ましいな、そんなツテが有ったら俺も商人になりたいよ」



「うちの親方は金の音に敏感だからな」


「貴族の顧客もいる、おれも親方のようになりたいもんさ」



「そんじゃ、また風呂が必要な時によろしく頼むよ」



「おう、任せな」



確定である、完全にアブラギッシュな絹シャツの親方は黒です


川沿いに町の中央まで進む


教会の裏から川への道の先に桟橋を見つける


教会の霊安室から船で東門の外のキャラバンへのルートが見えてくる


後は本当に密輸品があるかどうかである


隠し場所の目星は付いている、霊安室である



教会の裏の敷地に入り治療院の横の小屋の裏を通って霊安室に向かう


小屋の裏で光魔法のインビジブルを使い姿を消す


空間魔法の結界も使い俺の音とニオイも漏れないようにする



霊安室には棺桶が並んでいる


室内に3列、30個である


仕掛けがあるとしたら奥の棺桶だろうと考える


その前に、奥の扉も確認する


奥の扉をゆっくり開ける、木の扉からキーっと音が鳴る


コッソリ中に入ると見張りの男がこちらを見ている



「ん?だれだ?交代の時間か?」


見張りの男は椅子から立ち上がりこちらに向かってくる


空いた扉を覗き込む、首を傾げる



「マジかよ?誰かいんだろ?」


「おいおい、冗談はやめてくれよ?」


「おーい、おどかすつもりなら大成功だぞ?」


「おい、おい」


「マジかよ」


見張りの男は扉を閉める、右手で口元をおさえ青い顔をしている


足をガクガクさせながら椅子に戻る


椅子に座る拍子に肘が机の上の荷物にぶつかりガラガラ崩れる



「ギャッ」


見張りの男は驚いて飛び上がる


恐る恐る周りを見渡している


アリサさんもそうだが、ファンタジーで幽霊が怖いってどゆことと考える



部屋には木の箱が幾つかと縛られ繋がれた男たちがいる


幾つかの木の箱からは厚地の綺麗な毛織物が飛び出している


樽も幾つか置いてある、メイプルシロップの甘い香りがする


これが密輸品かと


捕虜の人達はやせ細り抵抗する意思も削がれているようである


証拠は掴んだので部屋を出るとする



木の扉を開けるとキーっと音が鳴る


見張りの男はビクっと体を震わせて恐々とこちらに顔を向ける


顔色が青を通り越して白くなっている、死人のような顔色である


扉を閉めずに部屋を後にする




いったん宿に戻るとアリサさんが待っていた


ベランダから教会の桟橋が見える事を確認してから食事に行くことにした


ゴーレムを使った遠隔監視システムを考えるのも面白いかなと考える


アリサさんチェックの海戦パスタ屋に行くとする



「カール王子様と話をして騎士団を借りれる手はずになってるわ」


「領主もカール王子様の好きにやっていいと言っていたわ」


「あとは名主への連絡は騎士団長を使えばいいと言っていたわ」


アリサさんはニッコリ微笑みながらガーリック海鮮クリームパスタを食べている



「名主はグルかもしれないよね」


「報告は逮捕と同時で良いかと思います」


「荷の移動時間は不明だけどそれは俺が見張る」


「明日の朝に出発と言ってたので、突入は日の出とともにですね」


「アリサさんは名主への連絡と騎士団への連絡をお願いしますね」


お茶を飲みながら予定を考える



「それじゃあ、夕食まではすることは無いわね」


アリサさんがティーカップを静かに置く



「そうだね、下手につつくよりも監視していた方がいいかな?」



「じゃあ、部屋に戻りましょ」


「うふふ」


アリサさんが嬉しそうに微笑む



夕食までアリサさんの教育をしていたが誰も帰って来なかった


ご満悦の表情でピクピクしているアリサさんを起こす


右手でモニュポヨン、口で舐めて含んで吸って唇で摘まむ


甘い息を漏らしてウネウネするアリサさん


唇を舐めて吸って甘噛みして、舌を入れて舐めて絡めて吸う


瞼をピクピクさせて目を覚ます



「目が覚めた?」


吸っていた唇を離して声を掛ける



アリサさんは俺の首に両手を絡めてキスをする唇を吸う


俺はアリサさんの髪を手ぐしでとかす


定番のシャンプーとリンスの作り方がわからない


読んだ気がするが思い出せない、自分の記憶を見れないものかと考える



「おはよう」


アリサさんは唇を離し俺に抱き着いて耳元でささやく


前髪で顔を隠しながら俺から離れる


シーツで体を隠しながらそそくさと部屋を出て行く


隣の部屋に行ったようである


俺は浴室に行くとする



風呂から出てベランダで夕涼みをしながら教会の桟橋の監視をする


アリサさんも浴室から帰ってきてバッチリ決めている


タガが外れたり暗黒面に落ちなければイイ女なのだがと思う



「それじゃあ、行ってくるわね」


手を振って出かけるアリサさんである



「いってらっしゃい、気を付けてね」


アリサさんを見送って監視の続きである



ベランダに出て、町を眺める…町の中心を流れる川が見える






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