第31話 北上航路.1


オレロン港町


オレロン町の港では乗組員が出航の準備を始めている


荷物の積み込みは終わったようで、甲板上を忙しそうに動いている



船の搭乗口にはアン王女の騎士団が整列している


見送りのようであるアン王女の馬車と騎士団は王都に戻るとの話である



カール王子の騎士団は既に別の船に乗り込んでいる


全部で3隻での移動となる



俺達が乗り込むのはカール王子の船でニーニャ号である


ニーニャ号は3本マストのキャラベル船、全長は30メートルほどである


3本マストの前から大中小と順番に三角の帆が風を受けて膨らんで並んでいる


帆の一つ一つに王冠をかぶり王笏を持ち翼を広げる竜の紋章が書かれている



港を離れるニーニャ号


アン王女の騎士団の見送りに手を振り、帆に風を受けオレロンの町を後にする


船は滑るように海面を走る


船体の右側に大陸を望み、太陽が左に傾く



宿のお弁当を甲板で食べながら景色を堪能する


あれ?


北上してるじゃないか?



「えーっと、カール王子様どちらに向かってますか?」



「ん?ガエルに寄港予定だよ」


「言わなかったかな}



「はあ、その後は?」


まずはアイリちゃんの故郷によるのかと



「ん?内緒」


楽しそうに笑いやがる



「僕は用事が有るからこれで」


「何かあったらモーガンに行ってくれ」


船室に入っていく



「よう兄ちゃん可愛い子連れていい身分だな」


モーガン船長がお約束を言います



金髪ソバージュのミドルヘヤーの太鼓腹のおっさんである


暴力のニオイはしないが体も太いが腕も太い、どうやら海の漢らしい



「えぇ、全員俺の嫁なので悪さは止めてくださいね」


これは言っとかないとである



「客人の嫁なら手は出せないな」


「お前ら手を出すなよ、王国に喧嘩を売ることになるぞ」


楽し気に船員に向け叫ぶ



「こんないい女なら王国に喧嘩売ってもいいかもな」


「おうよこんな可愛い子の為なら死ねるぜ」


「お嬢さん方は俺達が守る」


口々に叫び大笑いしている



「心配すんな、気のいい奴らだ」


俺の背をバンバン叩きながら誇らしげにモーガン船長が胸を張る



アイリちゃんとモニカちゃんは楽し気に船上を探検している


ミリアちゃんは俺の傍らで海を見ている


アリサさんは船尾に腰かけ、ポーズを取りいい女ゴッコをやっている


マイケルはマストに登りロープを使って渡り歩いている


アン王女は置いてけぼりである、本当にテイムしているのかと


アン王女の後ろにはうり坊を抱いた執事が立っている


フェイさんは船に弱いらしく船の縁に倒れている


カール王子の護衛の4人はバカンス気分でくつろいでいる



船上で夕日を見てから船室に入る



船にはキッチンが付いておりコックまで居た


多少狭いがテーブルを囲んで食事を取る


夕食として野菜スープとパエリアをワインでいただく


パエリアである、久々の米である美味しくいただくとしよう



部屋割りはモーガン船長が船長室とカール王子とアン王女とマイケルが貴賓室


カール王子の護衛の4人は4人部屋の客室に入っていった


フェイさんとうり坊を抱いた執事とメイド2人も4人部屋の客室にはいる



俺達5人は最初は客室と言われたがフェイさん達に譲り貨物室にスペースを作る


アリサさんと魔法で換気と害虫と害獣を駆除して快適環境を整える


そして、だ


持ってきたダブルベットのマットレスと綿の布団をコピーして使用する


ちなみにマットレスと綿の布団はコピーを置いてきているから心配は要らない


貨物室の床の上にマットレスと綿の布団を置いてダイブする


この先ずっとフッカフカである


転生者万歳、チート万歳である


コピーのコピーはできないが、オリジナルからならいくらでもコピーできる


コピーの魔法を手に入れた瞬間から目的を達成したかのような達成感を感じる


もともと万能なのだろうが万能感が半端ない



今まで忘れていたステータス画面を久しぶりに見てみる


名前:東雲真人 (21歳) レベル:12


状態:正常 HP 104/104 MP 104/104


筋力 E 体力 E 器用 E 敏捷 E 精神 E 知識 E


運  S 信仰 F


スキル 固有:転生者 固有:アシスタント 固有:事象の具現化 固有:状態異常回復


固有:精神回復 固有:精神消耗軽減 固有:体力回復   固有:体力消耗軽減



(レベルが2つ上がっている、HPとMPも増えてる気がする)


(能力は変わらないようである)


(スキルが増えている、事象の具現化は魔法の事かな?)



(いえ、東雲真人様のイメージを実現させる能力です)



いきなりシスが答えるので驚いた



(魔法って事でいいや)


(シス、状態異常回復はいつの間に?)



(はい、飲食により体調を崩されたので追加されました)



(衛生面の問題かな、現代人は除菌や殺菌された世界に住んでるから)


(精神回復は?)



(はい、魔法を使用に精神が追い付いていませんでしたので追加されました)



(精神消耗軽減は?)



(はい、魔法を使用に精神が追い付いていませんでしたので追加されました)



(体力も同じか、至れり尽くせりである)



(ところで、普通のスキルは表示されないの?)



(はい、普通のスキルがわかりませんが表示されるのは固有のスキルだけです)



(スキルに火魔法とか短剣とか料理とかは表示されないの?)



(はい、表示されません)



(なんで?)



(はい、数が多くて表しきれないからです)



(そんなに多いの?)



(はい、歩く・走る・飛ぶ・飛び上がる・飛び降りる・投げる・捕る・登る…)



(いや、もういいです)


(言い換えるなら、競技や学問の数どころか行動や考え全てがスキルなのか)



(他人のステータス画面は見れないの?)



(はい、見れません)



(なんで?)



(はい、他の人にステータス画面が存在しないからです)



(鑑定魔法みたいなもので鑑定はできないの?)



(いえ、知識と基準が有れば東雲真人様ならできます)



(あーそうだよね、鑑定するにしても何が基準で何処からの知識なのかと)


(なるほど、そゆことね)



考えていると何やら夜食が振舞われたようでる


ミリアちゃんとアイリちゃんが食器とワインの瓶を持ってきた


燻製肉のスライスにサラダにハムにチーズである居酒屋かと、飲んで食べるとする



シスに色々と質問していたら考えていたらアリサさんが胸に乗ってくる


モニカちゃんはミリアちゃんとアイリちゃんと文字の勉強中である


冒険者ギルドからコピッてきた野草の本を貸している



結界の魔法を試してみようと思う


結界で空間を固定するのである


空間に空間の部屋を作るのである、扉の有無も窓も自由に作れるものを


光も音も振動もニオイも一切合切全て、中のモノは外には出さないようにする


俺の許可によって中から外に出られるように制限する


作っている最中にいろいろと試す


中から外と、外から中の一方通行と交互通行


重力の方向も空間内の広さの変更など色々変えてみる



最終的には人1人が潜り込めるくらいの小さな入り口


ダブルベットのマットレスと綿の布団サイズの立方体の空間を作る


外から中の一方通行の空間に空気の交互通行を許可する、換気はしないとだ


さらに俺とミリアちゃんとアイリちゃんとアリサさんの交互通行を許可して完成である



これの応用で亜空間収納に近いものも出来そうである


また凄いモノを完成させて満足である



さて準備も出来てミリアちゃんとアイリちゃんも呼んで3人でアリサさんに教育である


恍惚の表情で体を震わして横たわるアリサさん、たいへん満足げである


たまにはアイラちゃんもミリアちゃんの二人でせめてピクピクさせる


ミリアちゃんと体制を変えつつ抱き合いながらイチャイチャしまくる


満足げに俺の胸で寝息をたてるミリアちゃんにキスをして抱きしめながら眠る




朝はアイリちゃんに起こされる


いつもの左手のモニュポヨンとモニュポヨン掛布団である


アリサさんが起きるまでモニュポヨンしまくることにする


目が覚めるといつものように恥ずかしそうに前髪で顔を隠しながらコソコソと支度をする



流石にお風呂まで入るとカール王子に色々と追及されそうなので自重する


お湯を沸かしてみんなで体を拭く手が届かない所は拭きあう、キャッキャウフフである



俺以外の4人が神に祈る


その後に朝食である、食堂に行くとする


朝食は果物とカタラーナとミクストとチュロス・コン・チョコラテとパン・コン・アセイテ


パン・コン・アセイテ・イ・トマテにホットチョコレートとコーヒーが出てきた


何でも朝食は2回食べるらしい


俺達用に一回で出してくれた、他の人は後でまた食べると言っていた



「昨日は眠れたかい?」


カール王子が聞いてくる



「はい、おかげさまでとてもぐっすり」


アリサさんがツヤツヤして見える



「それは良かった、船旅は慣れが必要だからね」


「なれないと悲惨だ」


カール王子が遠い目をする



アン王女はアイリちゃんとモニカちゃんとおしゃべりである


洞窟での冒険が距離をさらに縮めたのであろう、仲良しである


マイケルも元気に食べまくりである


うり坊を抱いた執事さんもニッコニコである


フェイさんの姿は無い




食後も特にすることは無い、景色にも飽きた


子供は元気で甲板を駆け回り俺とミリアちゃんは貨物室で貴賓室の本を借りて読む


アリサさんが日焼けが痛いと自己治療魔法を掛けて貨物室に帰ってくる


暇ですることがないと俺の洋服を剥ぎだす


どんだけ自堕落に生きたいのかと、結界を張ってお説教です


そして自堕落もたまには悪くないと思い至る



遅めの昼食はサラダにスープにパエリアに鳥手羽の香草焼きをいただきます


当然に昼からワインが出でくる、さらには食後にはケーキまで出てきた



食後にまたアリサさんに付き合って自堕落な生活に戻る


本人はダイエットと言い出し始めた、ならばと自分で動くようにさせるとする



夕食は生ハムに魚介や肉の網焼きに貝や野菜の酢油漬けと各種スイーツが出てくる


完全にカフェか居酒屋です



食後にまたダイエットです、色々と体位を変えて運動させてやります


柔軟体操とスクワットがお気に入りのようでずっとやっています



夕食の後に更に夜食も出てきました


スープやチョリソにチーズにサラダに燻製肉も出てくるのでワインで流し込む


恐ろしい食生活である、俺達を太らせて食べる気であろうか



俺もダイエットの必要性を感じたのでミリアちゃんとアイリちゃんも呼ぶことにする


4人で自堕落な世界に突入する






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