第28話 アングレーム街道.3
騎士団が森を囲み追い立てる
声を上げ鍋を盾を叩きながら奥へ奥へと追い立てる
作戦はこうである
平地で加速した鉄イノシシの突撃は止められない
ならば
森の中に追い立てて走れないようにすればいい
森の奥に追い込んで足場の悪い山の岩場まで追い立てて騎士団で囲む
囲んで子供を奪い親を殺す作戦である
順調に追い込んでいく、姿より声や音で威嚇して追い立てる
鳴るモノは何でも使う、プレートアーマーだって叩いて音をたてる
下男も使って鍋や食器を叩かせる、樽も板も叩かせる
ワーワーオーオー声を張り上げる、ドンドンカンカン叩く
足場の悪い岩場の斜面に鉄イノシシを追い立てて木の間から弓を撃つ
背後から槍を突き刺し剣を突き立てる
首を振り後ろ脚で蹴り突撃で威嚇する
盾で払い盾で受ける
子供から離れたすきに、子供を奪う
ギュビーっと子供が鳴く
フゴゴゴゴと親が怒る
暴れる鉄イノシシが突撃する、木が倒れる岩が崩れる
騎士団が囲みなおして矢を撃ち槍を突き立てる
突如、上空から影が落ちる
鉄イノシシに飛び掛かる大きな影
大サルである、大サルが空から降ってきた
両手を組んで大上段から振り下ろす、鉄イノシシの背骨が砕ける
デカい、大サルは4メートルはある
ギュゴゴゴと鉄イノシシの口から息が漏れる
登場が劇的である、これは撤退しないと全滅パターンである
「ミリア、アイリを連れてこっちに下がれ」
「アリサは付いてこい」
アリサさんの手を引いて下がる、後ろを向いてミリアちゃんとアイリちゃんの姿を探す
ミリアちゃんは盾を構えながらアイリちゃんを後ろに後退する
俺の所にアイリちゃんを置いて前線に戻ろうとするミリアちゃんの手を掴む
「絶対にダメ」
「でも、行かないと」
それでも行こうとするミリアちゃんを強く引っ張り後ろに下がる
大サルは腕を振り、折れた木を振り回し騎士団をなぎ倒す
吹き飛ぶ騎士団、それでも立ち上がり盾を構える
女騎士もアン王女を守るために前に出る
大サルの動きが止まる…女騎士をじっくりと眺めている
両手を開いてプルプルと首を横に振る
女騎士の向こうに見えるアン王女に目を向ける…じっくりと眺めている
うん、うんとうなずく
鉄イノシシを女騎士をに投げつけ騎士長を踏んでアン王女の前に飛び降りる
アン王女の胴体を掴んでニヤケル
飛び掛かる騎士団を飛び越え岩場を上って行く
地面には気を失っているうり坊が転がっている
アン王女緊急救出対策総本部
鉄イノシシの丸焼きを食べながら作戦会議である
幸い死傷者は居ない、重傷者はいるが皆生きている
アリサさんと同行の司祭が治療に当たる
「何をしている直ぐに救出隊を編成してサルの巣に向かうぞ」
女騎士が叫ぶ
「何を言っている重傷者だらけだぞ」
騎士長が止める
「アン王女がさらわれたんだぞ」
「わかってるがこの人数では勝てない」
「応援なんて待ってられない、アン様の命が危険なんだぞ」
「そんなことは分かってる、しかし勝てない戦いに部下は送れない」
これからすぐに救出に行こうと叫ぶ女騎士をいさめる騎士長
騎士長が俺を見る
「えーっと、少数精鋭で寝ている隙にアン王女奪還作戦?」
「それしかないようだな」
「ああ、そのようだな」
女騎士と騎士長がアッサリと承認する…おまえら
「では、編成メンバーだが…まずは俺とフェイ」
「それとアイリ君」
騎士長がアイリちゃんを指名する
「お断りです」
俺が断る
「ききききききき、きさまっ!」
「不敬だ不敬だ不敬だ不敬だ不敬だ…」
女騎士のフェイが鬼の形相でキレる
同じ言葉を繰り返す、伝説の壊れたレコードである
「ここは鼻が利くアイリ君にお願いしたい」
「アイリ君やってくれないか」
立ち上がり頭を下げてアイリちゃんにお願いする騎士長
「やります」
俺を見て、申し訳なさそうに答えるアイリちゃん
「嫌ならやらなくてもいいんだよ?」
「王族なんか国外に行けば無力なんだから」
「ほっといていいんだよ」
アイリちゃんを引き留める
剣に手を掛けるフェイさんを騎士長が止めてる姿が横目に映る
「いえ、救出にいきます」
アイリちゃんを説得するが意思は固いようである
「わたしも行きます」
ミリアちゃんが名乗りをあげる
「なんでミリアちゃんまで」
なんてこったい
「あとは魔術師が必要だアリサ君にもお願いしたい」
さらに、騎士長さんご指名です
「いいけど、マサト君も行くでしょ?」
ニッコリ微笑む
「えっ?」
「君が?」
騎士長とフェイさんが疑問を投げかけていますが?
「3人が行くなら行きますよ、もちろん」
「お前なんかが役に立つものか」
フェイさんが毒づいてきます
「えっと君は?」
騎士長も聴きます、俺が役に立つのかと
「魔術師のようなモノです」
なんとなく答えておく
深夜に6人で森の中を進みます
アイリちゃんを先頭にニオイを頼りに進んでいく
森を抜けて岩場を登り、大サルの寝床にコッソリコッソリ近づく
アイリちゃんが止まる
遠くに大きな影が上下に揺れているのが見える
寝息を立てて大サルが寝ているようだ
「俺が行く」
「私が行く」
騎士長とフェイさんが競って前に出ようとするがカシャリと鎧の音がする
何で隠密行動でプレートメイルを着てきてるんだこの2人は?
脳筋にもほどがあるのである
見渡すと、みんなが俺を見ている…やっぱり俺が行くのかと
コッソリコッソリ近づいてアン王女が見えるところまでやってきた
薄暗い中に大サルの毛に包まり寝息をたてる姿が月明かりにボンヤリと見える
なんでスヤスヤ寝てんだ?
アン王女にフライを使ってゆっくりゆっくりとこちらに移動させる
握っていた大サルの毛皮からゆっくりと手が離れる、寝返りをうつアン王女
ゆっくりゆっくりとこちらに移動させる
そのままみんなが隠れている場所まで運んでフェイさんが抱きかかえる
アン王女を起さないようにゆっくりゆっくり移動する
大サルを起さないようにコッソリコッソリ離れて行く
大サルに追って来られても逃げられるように馬車は移動の準備済みである
馬車のシートに寝かされスヤスヤ眠るアン王女様
執事はうり坊を抱えてニッコリしている
騎士団と下男は歩きで移動である、荷馬車も続く
荷馬車に乗り切れない重傷者をキャビンに乗せて俺達は屋根の上
アン王女の馬車を追って夜道を進む
朝食の準備で休憩する
アン王女のテントが騒がしい
俺達は果物とミルクで朝食を取る
少しでも寝ておきたい、みんな疲れている
カラカラカラカラ音を鳴らして馬車は進んでいく
お昼の休憩でもアン王女のテントが騒がしい
アン王女は朝起きてからずっと暴れているのかな?
燻製肉と野菜のライ麦パンサンドを食べる
何とか体力も回復する、騎士団の連中にも活気が戻ってきている
カラカラカラカラ音を鳴らして馬車は進んでいく
そして夕方にはオレロンの町に着く
馬車の屋根から見るオレロンの町は茜色の夕日に黒く浮かんでいた
石造りの3階建物の町、町の中心にはゴシック様式の6階建ての塔の教会
街道町であり海上貿易の町でもある、カキの養殖と塩田とタラの港町
アン王女が呼んでいるから皆で付いて来るようにとフェイさんに言われる
アン王女の部屋は最上階であるロイヤルスウィートである
もはや家である、リビングが有るのである
リビングで待たされてアン王女とうり坊を抱えた執事が現れる
フェイさんはアン王女の横に立つ
「座っていい」
「アン王女を救ってくれてたことに礼を言う」
「アン王女は、宿を自由に使っても良いとおっしゃっています」
「ご厚意に感謝なさい」
フェイさんが代わりに話す
「お心遣いありがとうございます」
アリサさんが答えます
「謝礼については後日話されるものとする」
「以上である」
それだけの事で呼びつけるのかと
アン王女とうり坊を抱いた執事は退出する
アン王女は初めから最後まで俺達を見ることもなく「おさるさん」と呟いていた
フェイさんはアリサさんに話が有るといい、アリサさんを残して俺達も退出する
宿の従業員に部屋に案内してもらう、話を聞くと宿屋まるまる借りているという
俺は2人部屋に1人、女の子たちは4人部屋である
この宿は浴場も付いてる高級宿である、さっそく浴場に向かう
誰も居ないので潜ったり泳いだり楽しんでからマッタリマッタリである
部屋に戻り窓全開で潮風に当たる
こんな旅をしたかったのだと心底感じる
部屋の中心に君臨するダブルベットにダイブする
綿の布団に綿のシーツ肌ざわり、海からの風が心地いいとウトウトする
アイリちゃんに起こされる
アリサさんが戻ってきたから食事に行こうと誘われた
アリサさんの案内で高級料理のカキづくしを美味しくいただく
アリサさんはこの町もチェック済みの様なのでお任せである
アリサさんがフェイさんに聞いたところ
大サルから引き離されてアン王女は激おこぷんぷん丸だったと
仲良くなったと友達になったと言っていたと
ウリ坊はもういらないから大サルを連れて来いと言い出す始末であったと
今は、たしなめられてしょぼーんのようである
困ったアン王女様である
カキをたらふく食べてワインも飲んでウマウマである
宿のベットに転がって綿の柔らかさと肌触りを味わう
海からの潮風が火照った体を冷ましてくれる
お酒も入って幸せな気分に浸る
カチャリと音がする、扉を見る
扉の隙間から青い瞳がこちらを覗いている
あれ?鍵かけてたよな?
「どうぞ」
ベットに横になり天井を見る
「うふふ」
嬉しそうなアリサさんの声が聞こえる
足元から俺の体の上を這うように乗りかかってくる
アリサさんの向こうにミリアちゃんの姿も見える
アリサさんを上に乗せたまま手を伸ばしミリアちゃんを引き寄せる
ミリアちゃんはモニカちゃんはアイリちゃんに頼んできたと言っていた
さてと、2人でアリサさんに教育を施すとしよう
身体を痙攣させて恍惚の表情のまま横たわるアリサさん
俺の左腕を枕に甘く寝息をたてるミリアちゃんの髪を撫でる
朝、アイリちゃんに起こされずに目が覚める
左手はお約束のモニュポヨン、しばし堪能してからモニュポヨン掛布団をどかす
ミリアちゃんの姿は既にない、部屋に戻ったのか風呂なのか
おれは浴場に向かうとする
まだ日も登り切らない薄暗い中で身体を洗って湯船に浸かる
海からの日の出は見れないが、背後から段々と明るくなっていく光景も悪くない
鼻歌を歌いながらマッタリを湯を楽しむ
部屋に戻るとアリサさんは既に居ない
窓辺に行き、景観を楽しむ
晴れ渡る空に水平線がくっきりと見える、漁船や貿易船が遠くに見える
石造りの街並みに川下にはカキの養殖場、港には大きな船も入ってくるのが見える
鞄の中の水の缶からマグカップで水をすくい飲む
川から汲んだままの冷たい水である、美味い
カチャリと扉の開く音がする
「マサト様、朝食の準備ができたそうです」
アイリちゃんが呼びに来た
宿の朝食をいただいてから街を見て回ることにする
ミリアちゃんとアイリちゃんを両脇にアリサ観光ツアーである
しかしなぜかフェイさんとアン王女とうり坊を抱えた執事も付いてくる
町の中心にあるゴシック様式の6階建ての塔の教会
俺以外の皆さんは朝のお祈りである
フェイさんが司祭と話をして塔の上に登らせてもらえることになった
塔から見る風景は格別である
空は青く近く広い、海も青く田園風景は彼方まで続いている
街道が見え大サルに襲われた森と岩山も遠くに見える
アン王女は大サルの森と岩山をずっと見ている
6階建ての塔の上に、さらに高さが2階分の三角錐の鐘楼が乗っかっている
朝のミサの時間なのか鐘が鳴り響いている
次はお買い物である
洋服屋を見て回り女の子はキャッキャウフフである
かばん屋に靴屋にも入りキャッキャウフフである
ミリアちゃんとアイリちゃんとモニカちゃんがアン王女に話しかける
アン王女も少しは機嫌を直してくれるといいのだが
お昼はタラの料理に舌鼓である
アリサさんがアン王女とフェイさんをダシに高級店に突入する
タラのムニエルにタラの白ワイン蒸しにタラの照り焼き揚げタラの甘酢炒め
タラと野菜の蒸し煮そしてタラの塩焼きを小麦のパンでいただく
エピにクッペにシャンピニオンにタバチュールにバゲットにブール
好きなパンを好きなだけ選んで食べられる、食べ放題である
アリサさんも昼間っからワインを開けている
ミリアちゃんとアイリちゃんも満足げである
モニカちゃんも食べるのに夢中である
アン王女もパクパク食べている
昼食後は海岸をブラブラ見て回る
海を渡ってくる風に吹かれてアリサさんも酔いを冷ましている
アイリちゃんとモニカちゃんとアン王女がカニと戯れる
傍らにフェイさんとうり坊を抱えた執事がたたずむ
俺はミリアちゃんと並んで座って水平線を遠く眺める
「しあわせだなぁ」
まさか若大将のセリフが出てくるとは、我ながら驚きである
「幸せですね」
「こんな日が来るとは思ってなかったです」
「まるで夢を見ているようです」
「ありがとう、マサトさん」
話ながらも海を見ているミリアちゃん
ゆるふわっとした亜麻色の髪が風に揺れている
「ありがとう」
不意にほっぺにチュッっとしてくれる、可愛い
仰向けに寝転がり空を見る
日差しは柔らかく、白い雲が風に流れている
寝ていたようでアイリちゃんに起こされる
アリサさんオススメのサロンに行こうと誘われる
みんなで行くとしましょう
海が見える小さな木のテラスにテーブルと椅子が並んでいるサロン
タルト・タタンにカヌレにスフレにシュー・ア・ラ・クレーム
クレープ・シュゼットにフィナンシェにガトー・バスクのお菓子が並ぶ
ラベンダー、ジャスミン、ミモザからバラにイチゴなど種類もあり
お茶の葉のブレンドも楽しめる、お砂糖に蜂蜜にミルクも置いてある
好きなようにお菓子を食べて、好きなように飲める
女の子は食べては喋り、飲んでは喋っている
アン王女もおしゃべりに参加している
とても楽しそうである、見ているだけで満足満足
町の中心にあるゴシック様式の6階建ての塔の教会にもう一度の登る
夕日を見る為である
町に入るときに見た夕日は綺麗だった、塔から見たらさらに凄いと思う
そこでフェイさんにもう一度司祭の許可を取って貰ったのである
青い空が徐々に茜色に染まる、雲も少しずつ朱に染まっていく
太陽が水平線に近づくと海面は黄金色にキラキラと輝く
ミリアちゃんを後ろから抱いて肩越しに見る世界
少し肌寒く感じる風とミリアちゃんの柔らかく暖かい体温が気持ちいい
夕日が沈むと水平線は朱色の余韻を残す
見上げると空は藍色となり星が幾つか輝いている
ここにも星が有るんだな、などとあらためて考える
見上げるミリアちゃんの頭が俺の肩に乗る、その重さも心地よい
“この瞬間よ止まれ”などと言ったら魂が取られてしまいそうなので言わない
夜の帳も下りきり、満天の星空を望む
広く近い星空に手を伸ばせば届きそうな星々
”降るような星だ”これは許されると思う、失踪はしたくないが
後ろから暖かく柔らかい感触
背中からアリサさんが俺とミリアちゃんを抱きしめる
横からはアイリちゃんとモニカちゃんまで抱き着いてくる
みんなで一塊になり空を見上げる
隣でアン王女とフェイさんとうり坊を抱えた執事も空を見上げている
司祭が灯りをもって上がってきてくれた
お礼を言って教会を後にする
そして夜はまたカキずくしとなる、さらに今日はスパークリングワインである
生ガキに焼きカキにカキのオイル漬けにカキのガーリックソテーにカキのバターソテー
カキフライにカキのアヒージョにカキのオムレツにカキのグラダンにカキのパスタ
ミリアちゃんもアイリちゃんもモニカちゃんもアン王女もパクパク食べる
アリサさんとフェイさんはパクパク食べてワインを流し込む
俺もたらふく食べて、ワインも飲んじゃう
宿に戻って浴場で汗を流す
お酒のせいかのぼせやすい、夜風に当たり冷たい水を飲む
さらに湯船に入り涼んではまた入る
最後は冷やしたタオルで身体を拭う
フラフラと気分よく部屋に入ってみればミリアちゃんとアリサさんがベットで待っていた
今日は疲れているのでご奉仕してもらう
体中をサワサワしてもらってペロペロしてもらってモニュモニュされる
俺は仰向けのままである、手で口で彼女たちの要望に答える
代わる代わる俺にまたがり体を摺り寄せる
そうか、そうゆうのが好きなのかと勉強になる次回に役立てようと思う
ミリアちゃんは俺の腕を枕に俺の顔を眺めている、キスをする
アリサさんもやっと満足したのか痙攣したまま俺の上に体を重ねる
キスをして俺の胸に顔を埋める
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