第23話 薔薇都市のダンジョン.1



薔薇都市のダンジョン


さて、準備は万端で本日は20階の駐屯地を目指す


地図は売っていないので自力探索である


アイリちゃんの鼻と運任せとなる


戦闘して階層を下りて、戦闘して階層を下りる…さらに、戦闘して階層を下りる


この繰り返しである


角ウサギに大ネズミに大イタチに牙ネコに角犬に大トカゲに大蛇に狂ヒツジ


大カエルに大ヤマアラシに大イノシシに角オオカミに角キツネに狂クマ


大カメに大カニに大サソリに大ムカデに大クモに大カブトムシ


休憩して食事して休憩して、20種倒して20階到達したころには夜である



20階の駐屯地は武器屋兼防具屋兼道具屋兼食堂兼宿屋であった


そしてダンジョン内では魔石が貨幣の代わりとして流通していた


宿は大部屋のみで1泊1人魔石F1つ、外での価格2倍以上である


食事は干し肉と野菜スープと水で魔石F2つ、外の3倍近い値段となる



大部屋には17人ほどの人が休んでいた


固まり具合からすると6人6人4人1人のようである、1人は4人のパーティかも


その1人は女性であり、いかにもな魔術師である


黒の魔術師ローブに魔術師の帽子、杖には水晶が付いている


問題なのは青い髪で青い瞳だったことだ、絶対にルイーズさんの親類である


ミリアちゃんに聞いたがわからないとの事である、そこまで親しくはないらしい


娘か姪か…年の離れた妹か


しかしルイーズさんとは似ても似つかぬローブの上からでもわかるボンキュッボンである


身長差は有るが、ミリアちゃんに匹敵するおっぱいである


見ていたら気が付かれた、ニッコリと笑われてしまった


まさか…ルイーズさんの母親じゃないよな?




翌日には40階の駐屯地、その次の日には60階の駐屯地に到着する


この辺までくる冒険者は階層を進めて行くパーティだろう


もしくは”部屋”探しである



60階の駐屯地の宿屋には俺達の他には1人だけいた、青い髪の青い瞳の魔術師である


ロングヘヤー毛先とサイドワンカール、ほっそりとした顎のラインに艶のある唇


彼女は俺達の後ろをずっと付いてきた、世間話など話しかけてきた


それなりに返事を返す、当たり障りのない会話をする


気持ちとしては関わりあいたくなかった…しかし、美人でボンキュッボンである


ミリアちゃんとアイリちゃんにもあからさまに怪しいとそれとなく伝えた


今はこちらを見ながらニッコリと笑顔で手を振っている



「何でこんな美人が1人でいるのに誘わないのかしら?」


しなりしなりとこちらにすり寄ってくる



「あっ」


ミリアちゃんの服の隙間から手を入れてモゾモゾと動かしている



「普通は、”1人ですか?”とか聞くものじゃない?」


ミリアちゃんの背後からみりあちゃんの耳や首筋に息が当たる様に話す



「1人ですか?」


顔を赤らめるミリアちゃんを眺めながら聞いてみる



「そうなの1人なの」


ミリアちゃんの耳を舐めながら妖しく答える



「そうですか」


アイリちゃんは顔を真っ赤にしてミリアちゃんを見ている


おれも、ミリアちゃんをガン見である



「誘うべきじゃない?」


ミリアちゃんのの胸の先端あたりでモゾモゾと手を動かしている



「そうですかね?」


ミリアちゃんが甘い息を漏らしている



「そうよ、こんないい女が1人でいるのよ…誘いなさいよ」


胸のあたりを動いていた手が下に下がり始めている



「でも、何かありますよね?」


アイリちゃんが顔が真っ赤でお?お?お?っとなってる



「それは当然よね、いい女は安くないわ」


一度手を出して指を舐めて更に下に進む



「でも、間に合ってますから」


アイリちゃんの未知なる世界への興奮が最高潮となる



ブチンッと音が聞こえた気がする



「間に合ってますから?」


「間に合ってますからって言ったのかかしら?」


「なんでなの?どいつもこいつも!」


「そんなに若い女がいいの?」


「そんなに可愛い女がいいの?」


「28歳は年増なの?価値がないの?」


「肌だってケアしてるわ!」


「スタイルだって維持している!」


「何が不満なの?」


「ねえ、いったい何が不満なの?」


グッタリしているミリアちゃんを放り出し絶叫する



「魔法学校を首席で卒業して研究室に入り研究に明け暮れて気が付けば結婚適齢期も過ぎて同期の女の子は次々と結婚して出産して何時しか結婚式にも呼ばれなくなり更には後輩の子が結婚して妊娠していく私だって私だって幸せになる権利があるはずよきっとあるあるはず…」


絶叫から一転、暗い影を落とし焦点の定まらない目で両手を見ながらブツブツと呟いている


どうやら闇属性の魔術師だったようである



「あの…聞こえますか?」


直接話しかけられないので声で伝える



「もういいのよ…私なんて…私なんて」


目の焦点が合わないまま元居た場所に引き上げていく



「あの…パーティ組みませんか?」



「同情なんていらないわ」


「ほっておいて頂戴」


振り返り焦点の定まらない目を向ける



「いや同情ではありません、あなたにもいい話です」


「俺たちは”ある部屋”を探しています」


「あなたの協力が有ると助かります」


流石にほっとけないよね、これは



「無理しなくていいのよ」


「ごめんなさいね取り乱して、恥ずかしいわ」


体育座りで部屋の隅でうつむいている、最初の強気は何処に行ったのかと



「無理ではなく俺たちは3人なので力を貸してもらいたいです」


「4人なら探索範囲も広がって”部屋”も見つかるかもしれない」


「こちらからお願いします、パーティに入ってください」


メンドクサイ女だな



「ホントにいいの?」


「こんなにメンドクサイ女なのに?」


心読んでるのかと



「お願いします、俺はマサトです」


「そしてミリアとアイリです、よろしくです」


手を取り握手をする



「そ、そうね…そこまで言われたら入らないわけにいかないわね」


「私の名前はアリサよ、よろしくね」


「魔法の事なら私に任せてね、よろしくねミリアちゃんにアイラちゃん」


今泣いた烏がもう笑う、である


嬉しそうにミリアちゃんとアイリちゃんに抱き着いて両手に花である




アリサさんはルイーズさんの妹であると言っていた


魔法学校に研究室を持っているが今はこのダンジョンの研究で1人で潜っていると言っていた


1人の理由は色々と想像がつくが


”一番の願いをかなえる部屋”については見たことは無いと言っていた、都市伝説であると


でも”部屋”が本当に有るなら見てみたいと言っていた




朝にアイリちゃんに起こされる


ミリアちゃんとアイラちゃんは朝食を注文して食事の準備を始めている


俺も起きて服を着ようと服を探す


ポヨーンと柔らかい感覚にモニュモニュポヨンポヨンする


手の先を見るとお約束のアリサさんのおっぱいである


おっぱいを放り出してパンイチで壊滅的な寝相で寝ていた


ミリアちゃんに負けないほどの大きさにミリアちゃんより熟れた柔らかさである


モニュモニュポヨンポヨンである、しばし楽しんでしまった


アリサさんが目を覚まし…目が合う


声にならぬ悲鳴を上げて飛び上がり毛布に包まる


左手をニギニギ余韻を味わいながら朝の挨拶をする



「おはようごさいます」


ニッコリ微笑むのである



「おおはようう」


顔を真っ赤に毛布で胸を押さえている



「マサト様、食事できました」


アイリちゃんが呼びに来た、朝食にしよう




本日は拠点となる80階の駐屯地に向かう


下層のボスを突破して中層に入る


下層のボスは3メートルの双頭オオカミと2メートルの角オオカミが2体であった


開幕は盾を構えたミリアちゃんがジリジリと近づきアイリちゃんが後ろに続く


俺の横でアリサさんは水魔法のウォータシールドを詠唱する


双頭オオカミは距離を取る、角オオカミがミリアちゃんの左右から飛び掛かる


ミリアちゃんは左の角オオカミを盾で防いだ直後にシールドバッシュを発動


体をねじり右の角オオカミを弾き飛ばす


アイリちゃんは左の狼に槍を突き立て俺が弓を使い矢を捻じ込む


アリサさんは強化魔法のシールドを使ってミリアちゃんの防御力をあげる


弾かれた角オオカミは立ち上がり回り込もうとジリジリ動く


それを横目にみてミリアちゃんはシールドバッシュを左手の角オオカミに打ち込む


アイリちゃんが再度槍を突き刺し角オオカミは魔石に変わる


双頭オオカミは右の頭がいったんタメを作りミリアちゃんに炎のブレスを吐く


炎のブレスは双頭オオカミの正面に立つミリアちゃんを飲み込む


ミリアちゃんは盾をかざして炎のブレスから身を守っていたが、少し焦げている


アリサさんは再度、水魔法のウォータシールドを唱える


おれは、ミリアちゃんに治療魔法を唱える


ミリアちゃんは双頭オオカミを正面に置きながら角オオカミに近づく


角オオカミは下がり双頭オオカミの後ろに隠れる


双頭オオカミとミリアちゃんが正面から向き合う


双頭オオカミは牙と爪で攻撃を仕掛ける


ミリアちゃんは身体強化して盾で攻撃をはじく


アリサさんが水魔法のウォータストームを使う


双頭オオカミと角オオカミが範囲魔法に刻まれる


アリサさんに気を取られる双頭オオカミにミリアちゃんがシールドバッシュを打ち込む


角オオカミに俺が矢を撃ちこみ回り込んだアイリちゃんが槍を突き刺す


双頭オオカミが後ろに気を取られるとミリアちゃんが再度、シールドバッシュを打ち込む


角オオカミに俺が矢を捻じ込み魔石に変える


アイリちゃんは後ろから双頭のオオカミの足を狙って槍を振るう


アリサさんはウォータカッターを使い双頭オオカミを切りつける


俺が矢を捻じ込みアイリちゃんが後ろ脚を狙う


注意が散漫になっている双頭オオカミにミリアちゃんが剣の風の刃を発動して首を一つ落とす


追撃にアイリちゃんも風の刃を発動して右後ろ脚を切り落とす


双頭オオカミは残った首から断末魔の炎のブレスを吐こうと口を開ける


その口に俺の矢が突き刺さり、アリサさんはのウォータアローを捻じ込む


双頭オオカミは魔石に変わる



やはり、魔物ランクDは強いと思った流石は熟練クラスである


もう1人盾役がいればミリアちゃんが楽になるのにと考える


その辺はアリサさんも感じたようである



「ミリアちゃんだけではこの先キツイわね」


「ミリアちゃんの負担が大きすぎると思うの」


アリサさんが冷静に分析する



「そうなんですよね、もう一人盾役がいると楽になるんですが」



「ごめんなさい」


アイリちゃんがしょぼーんである



「大丈夫です、頑張ります」


ミリアちゃんはいつもやる気である



「アイリちゃんは謝らなくていいんだよ」


「適材適所だからね、おれももう少し頑張るよ」


アイリちゃんを抱きしめて頭ナデナデである



「そうよ、マサト君がもっと頑張りなさいよ」


「男なんだから、ミリアちゃんばかりに頼ってちゃダメでしょ」


「マサト君は攻撃の手数も防御の魔法も少ないわよ」


アリサさんからダメ出しである



「頑張ります」


どう頑張ろうかと考える




まずは駐屯地に向けて戦闘して休憩して戦闘してお昼を食べる


中層に入ってからは他のパーティも見かけないのでバックパックは回収した


荷物はアリサさんの自前の荷物と俺の肩掛け鞄だけである


休憩では水筒とマグカップを出してお茶を配り飴とお菓子を食べた


昼食では魔導コンロを出してフライパンで燻製肉を焼いて香辛料で味付けする


燻製肉と野菜を挟んだライ麦パンをたべてお茶を飲む



「なんでそんなに入っているの?」


アリサさんが素朴な疑問を投げかける



「魔法の鞄だからですよ」


「ルイーズさんから聞かなかったですか?」


当たり前の顔をして答える



「え?何て?魔法の鞄?」


「実在するの?ルイーズ?なんでルイーズ?」


混乱している



お約束の魔法の師匠の話とルイーズさんに鞄を貸している話をする


アリサさんは聞いてない知らない信じられないずるいと騒ぎだす


くれくれくれくれくれくれくれくれうるさかったが、断る


貸してくれ貸してくれ貸してくれ貸してくれうるさかったが、断る


ルイーズさんに借りろと言う



「ミリアちゃんの剣もアイリちゃんの槍もおかしいと思ったのよね」


「それに鞄なんて」


「ずるいわ、とてもずるいわ」


「なんで私には手に入らないのかしら」


ブツブツと暗黒面にまっしぐらである



「荷物持ちましょうか?」


暗黒面から気をそらす



「あっ、そうね…ありがと」


荷物を下ろして俺に渡す、俺は肩掛け鞄に入れる



色々試した結果、矢に風火複合魔法の雷魔法のスタンを乗せるのが良かった


スタンを乗せた矢を撃ちこみ動きを止めてアイリちゃんが槍で突き刺す、いい連携である


2人で1体引き受けられるのでミリアちゃんの負担が軽減する


雷属性に耐性がある敵が出るまではこれで行こうと話し合う




80階の宿屋には6人の男たちが居た


1人1人が自由な感じだったので同じパーティに見えないが、同じパーティのようだ


宿に入るとこちらを見ている、あまり体を拭いていないのであろう少し臭い


考えてみたら男1人の女3人のハーレムパーティである、羨ましいのであろう



「おい、にーちゃん」


「そんなにいるなら1人貸してくれよ」


「金なら払うぜ」


にやけながら声を掛けてくる



「あーそうですね」


ミリアちゃんとアイリちゃんを抱きしめながらアリサさんを見る



「イーッ!」


アリサさんが変な声を上げて後ずさりながらブルブルブルブルブルと高速で首を振る



「すいません、駄目なようです」


会釈して、ミリアちゃんとアイリちゃんを抱いて部屋の奥に歩きだす


アリサさんの引きっぷりに諦めたのか舌打ちが聞こえたがそれ以上何も言ってこない



「例の部屋ですか?」


逆に声を掛ける



「ん、まあな」


一番奥のおっさんが言葉を濁して答える



「やっぱり、願いは金ですよね」


「俺も見つけたら遊んで暮らせる程の金を願おうかと思ってるんですよ」


「金が有れば何でもできますもんね、女だって手に入る」



「ここに残ったやつでそんな奴は居ねえよ」


「色々あってココに来るしかない奴だっているんだ茶化すな小僧」


一番奥のおっさんが睨んでくる



「人の連れている女性を金で貸せとかいう人達の事情に興味なんかないですよ」


「どうせ所詮は金で解決する程度ですよね」


「まずは物扱いされた彼女たちに謝罪すべきでは?」


なんだろう、疲れているのかな…止まらない



「なんだとてめえ」


「てめえに何がわかるってんだ」


「殺すぞこのガキ」


各々が剣に手を掛ける



「俺達に向かって剣を抜いたら即殺します」


なんかもう、めんどくさいから殺しちゃおうかなって思う



ミリアちゃんが俺の前に出て盾を構える


アイリちゃんも槍に手を掛けている



「わかった、わかったから落ち着け」


「お前達も落ち着け、剣を抜くんじゃないぞ」


一番奥のおっさんが場を収めようとする



「しかし、このガキ」


「バカにしやがって」


「何も知りもしないくせに」


各々が不満を口にする



「いいから、剣を置け」


「ここでやりあっても何にもならねえ」


「お前らも目的があるんだろ、剣を置け」


一番奥のおっさんにいさめられて剣を置く



「お前らも収めてくれ、悪かったな」


「もうひと月近くもダンジョンから出て無くてな」


「そろそろいったん出たほうがいいな」


「お嬢さん方にもすまなかった、許してくれ」


一番奥のおっさんがリーダーなのであろう、最初の男の代わりに謝罪する



「こちらこそ生意気なこと言ってすいませんでした」


「俺達は金策と教授のダンジョン調査の同行です」


アリサさんの方を見る


アリサさんが咳払いをしてから胸を張る


すぐに胸を見られていると気が付いて胸を隠す




一番奥のおっさんは片手剣に盾の戦士、アレクサンドルと名乗る


最初に声を掛けてきたのがパイン、短剣を2本装備している


片手剣装備の髭面のグリニコとポルコ


魔術師のアナトリーとニコライ


各々が願いを持っていて部屋を探しているという



俺とパイン以外は打ち解けて話をしている


彼らは中層に住んでいるだけあって熟練者である腕もいいようである


ミリアちゃんとアイリちゃんに戦い方を指導してくれている


アリサさんはダンジョンについてアレコレ聞いている



俺は端っこでお茶を飲んで魔法の本を読んでいる


パインは反対側の端っこで酒を飲んでいる


似た者同士である






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