第20話 ローズバーグ.1
宿屋で装備を整えてから中央広場に向かう
中央広場はダンジョンが中心となりその周りに商店が立ち並ぶ
武器屋に入ってみる
武器屋には武器が並んでいる
壁に掛かる魔法の武器や名工の作品、金貨3ケタ後半の値段である
棚に並ぶ武器は金貨2ケタである
どうやら金貨一桁では中古かナマクラしか買えないらしい
ブレオテの町に比べて町が大きい分、物価も高い
しかし、ミリアちゃんもアイリちゃんも魔法の武器である
武器屋にはあまり用はないのかもしれない
ミリアちゃんとアイリちゃんがついてこないので後ろを振り返る
ミリアちゃんはファンに捕まり、アイリちゃんはミリアちゃんに捕まっていた
大麦畑のダンジョンの乙女だの女神だの姫騎士だの持ち上げられてはいたが
チラホラとお姉様などと、神秘的な言葉まで聞こえ始めてきた
ミリアちゃんの世界がどんどんと広がっているようである
ミリアちゃんとお揃いのアイリちゃんの防具に注目も集まっている
アイリちゃんが必死に赤青ワンピーズのお店を説明している
盾に赤と青のハートマークのエンブレム、防具にはお店の焼き印が押されている
ワンピースを模した外見に硬革と薄い金属のフリルを上手く防具に取り込んでいる
それでいてドレスアーマーの言葉に恥じない防御力を持っている
変に絡まれる様子はなさそうなので防具屋を見に行くことにする
防具屋には防具が並んでいる
フルアーマーの展示品の中にビキニアーマーの存在を確認してうなずく
壁には魔法の防具も掛けられていた、やはり金貨3ケタ後半である
ミリアちゃんによさげな盾は無いかと見てみたが、よさが分からないので断念した
ぶらりと見てみたが欲しいものは無かった
ミリアちゃんとアイリちゃんの方を見てみたが
変わらずに揉みくちゃにされているかと思えば、整列され握手会に切り替わっていた
黒髪ロングストレートヘアーの眼鏡をかけた女の子、委員長系であろうか
陣頭指揮を執っており手勢を使ってファンの管理をしているようである
自主的運営というものなのであろうか、面白いものである
問題なさそうなので道具屋に行くことにする
道具屋には道具が売っている
普通の道具の他には魔導具などという面白いものもあった
魔石を使って効果を発揮する、チャージ系の魔法の道具のようである
まるでバッテリーを入れて使う電化製品である
『攻撃から防御に更には生活に』キャッチコピーが書いてある
ココにはコンロしかないが、他には送風器にカイロに製氷器などなどあるらしい
魔の森の北東に魔導国家なる国が有ってその国の製品だという
とても怪しい名前の国である
お値段は金貨3ケタ前半である…やはりお高い
聞くと、コンロは魔石Fでやかん1つのお湯が沸かせると言っていた
魔法の火ではお湯は沸かせない、魔法の火は普通の火とは違う
魔法の火は火属性のダメージなだけで火ではないのである
魔法の火は光源としても使えない、暗闇に火が浮いているように見えるだけである
同様に魔法の水は飲めないし、魔法の氷を食べることも出来ない
魔法の風で涼むことも出来ないし、魔法の熱で暖を取る事も出来ない
だからこそ魔導具は画期的であり、素晴らしい発明なのである
しかしまだまだ発展途上の道具である、魔石Fで使用時間は10分位であろうか
今後の発展に期待したい
しかしこれで魔石が売買される理由がわかった
ミリアちゃんとアイリちゃんの方を見てみたが
握手会の後はインタビューだか質問コーナーみたいになっていた
そのうちに歌でも歌わされるのではないかと思う
問題なさそうなので冒険者ギルドに向かうとする
役場のような冒険者ギルドには冒険者がいる
フロアには冒険者が屯して、カウンターの中では職員が忙しなく働いている
「すいません、今いいですか?」
カウンターの職員の女性に話しかける
「はい、なんでしょう?」
書類から顔を上げて対応してくれる
「この町に来たばかりで、この町のダンジョンについて教えて欲しいです」
「では、こちらをどうぞ」
テーブルの棚から”薔薇都市のダンジョン情報”の用紙をくれた
フロアのベンチに腰かけて読む
”薔薇都市のダンジョン情報”
100年前に発生した地下階層型の魔物ダンジョン
ランクB、討伐許可ダンジョン(報酬金貨1300枚)
現在の階層は推定120階(下層60階・中層40階・推定上層20階)
最高到達階層は102階
ダンジョン内駐屯地(20階・40階・60階・80階・100階)
魔物ランク(下層E・中層D・上層C・推定ダンジョンボスB)
ダンジョン入場料(銀貨2枚)
中の魔物の情報は書いてなかった
ランクはEからなので下層から気を抜け無さそうである
しかし、細々と暮らすにはいいかもしれない
討伐許可ダンジョンはやれるもんならやってみろ、との事だと思う
100年前からあって現在の最高到達階層が102階である無理である
ダンジョン内駐屯地が気になるので聞いてみた所
ダンジョン内に宿屋と武器防具屋と道具屋があるとの話である
これは助かる話であるが、とてもとてもお高めと言われた
当分はこのダンジョンで路銀を稼ごうと考える
ミリアちゃんとアイリちゃんの方を見てみたが
公開で歌の練習と振り付けされていた、アイリちゃんとのユニットである
2人の目が死んで動きも操り人形の様に見える
流石に止めに入ることにする
「あなたは何者ですか?」
「ミリア様との関係は?」
委員長さんが指を立てこちらに伸ばして仁王立ちである
「パーティメンバーです、これ以上は勘弁してあげてください」
「ミリア、アイリ行きましょう」
「あなた、ミリア様に不敬ですよ」
「あなたのような人が気軽に話せる人ではありません」
「離れなさい」
委員長さんの横暴が極まります
「冒険者ギルド長のルイーズさんの言葉を忘れましたか?」
「そんな態度では、貴方は2度とミリアに近づけなくなりますよ?」
「ミリアを大切だと思うなら無理強いは遠慮してくださいね」
「しかし、ファンの統率は素晴らしい物だと思います」
「今後ともミリアを助けてもらえると助かります」
「では、失礼しますね」
「ミリア、アイリ行きましょう」
ミリアちゃんとアイリちゃんがトトトッと付いてくる
防具屋で盾と防具の修理を頼む
防具屋のにいちゃんは赤茶の髪のボンバーアフロなにいちゃんだった
裸にチョッキを着てネックレスや腕輪や指輪もジャラジャラ付けていた
防具屋はドレスアーマーを見て驚いていた、クオリティが高いと褒めていた
防具は締め直しとメンテナンスで会話しながらあっという間にやってくれた
赤青ワンピーズの防具屋をミリアちゃんとアイリちゃんが説明していた
自分の事の様にとても自慢げであった
ミリアちゃんの盾は木の部分が割れており修復するか買うか聞かれる
ミリアちゃんは思入れが有るのであろう修復を考えていたようだが
買うのと値段が変わらなかったので商品を見てから決めるよう提案する
盾は円型に長方形に逆五角形に6角形の逆涙滴型とそろっていた
ミリアちゃんの盾は縦長逆五角形の逆涙滴型である
あまり他の盾に興味を示さないミリアちゃんはやはり修理を希望した
そこまで言うなら反対する理由はない、修復するとする
しかし、修理には急いでも6日掛かると言われる
それまでダンジョンに入れないのはツライ
代わりの盾を買おうと中古を物色していたら、俺の持っている盾でいいと言われた
いつもより小さい盾で下層なら訓練になるからと
そうなると自分が手ぶらな事に気が付いた、武器は短剣だけである
2人を防具屋に残して武器屋に向かう
中古を物色するとする
前衛はミリアちゃんにお任せである、そしてアイリちゃんも前に出てくれる
こうして考えるとヘタレな感じだが、魔法が有るので適材適所である
後衛に専念なので、弓を使おうと考える
銃と魔銃も憧れたが…作ったら何かが始まりそうな気がしたので止めた
丈の短いM字屈曲型の合成弓を見つける、色が黒ずんでおり使いこまれているようだ
他にはよさげなモノがないのでこれで良しとする
「すいません、コレの修繕と調整をお願いします」
「あと、矢を200本ほど束でお願いします」
「矢筒は小さいのを一つで良いです」
白い髪を一本三つ編みにして白いひげを3本三つ編みにしたおっさんに声を掛ける
身長は小さいが体の厚みは2倍で体重は3倍でお馴染みのドワーフのおっさんである
「かあー弓か、斧を使え斧を」
つまらなそうに品物を受け取る
「すいません、斧は体を鍛えてからにします」
「おう、鍛えろ鍛えろ」
「ヒョロヒョロじゃねーか」
「嫁さんに逃げられっちまうぞ」
「漢は腕っぷしよ」
力瘤を見せつけてくる
カンコンカンコンと喋りながらも修繕してくれる、プロの仕事を見るのは良いものである
「あいよ、お待たせ引いてみろ」
「ちょっと貸せ」
「引いてみろ」
カンコンカンコンと仕上げてくれた
武器屋を出た所で絡まれる
「ちょっと待て、生意気だぞ」
年上相手にイケメンの少年達が絡んでくる、中高生くらいかと
「はいはい、ミリアさんの件ですね」
「ブレオテ町のギルド長との約束がありますので、俺がパーティから抜ける事はありません」
「さらにパーティメンバーの募集もありません」
「共闘ならば考えています、後ろで見ている方に伝えてださい」
不慣れなインネンである、委員長さんの下僕だろうとアタリを付ける
向こうで委員長さんがガン見しているしね
「ちょっ?まてよっ」
しかし、まわりこまれてしまった!
「今行ったことを伝えたほうがいいですよ?」
>にげる
「なんでお前に命令されなきゃいけないんだよっ」
しかし、まわりこまれてしまった!
「伝えないならそれでもいいけど、怒られても俺は知らないよ?」
>にげる
「どうする?」
「どうしよう?」
「行かしていいのかよ?」
「でも、伝えたほうがいいんじゃねーの?」
「何をだよ?」
「さっきの話だよ?」
などなどボソボソ言ってる、彼らはこれでこの先やっていけるのだろうか
俺はヘタレではない、彼らみたいのをヘタレというのである…うん
遠巻きに委員長さん達が俺を睨んでいたが致し方ない、気にしない事にする
防具屋に戻ってミリアちゃんとアイリちゃんと合流して昼食を取ろうと考える
一度宿に戻り荷物を置く、矢筒の拡張も忘れずにしておく
武器と防具も黄色のポーチに収納して1階の食堂におりる
店内は混んでいた、それはもう入れないくらいに
仕方がないので部屋で食べることにする
「ミリアさん狙いの客が詰めかけています、お気を付けください」
真っ白な兎人族のカルネちゃんが忠告してくれる
3人で昼食を取るがミリアちゃんとアイリちゃんはお疲れモードである
これから毎日これでは身が持たない
さてどうしたものかと考える
昼食を食べてから道具屋に向かうとする
宿を出てから遠巻きで人が付いてくる、早く飽きてくれないものかと
委員長さん達も付いてくる
道具屋への道の途中にガラの悪いのが登場してきた
”You talkin' to me?”と、言い掛けたが使うのはココじゃない
対応は既に決めているのでゴッコは次回とする
「お嬢ちゃん2人を俺達のパーティに入れてやると言ってんだよ」
「お前には用はねーんだよ」
テンプレですね
「キャンペーンの話は知ってますよね?」
確認する
「ああ、関係ねーな」
「俺たちは好きなようにやるんだよギルドにだって領主にだって邪魔はさせねえ」
「おめえは、黙って向こういってろ」
テンプレテンプレ
「キャンペーンはあなたたちみたいな人をおびき寄せるのも目的なんです」
「僕らはエサなんですよ」
前振りの説明をする
「はあ?何言ってんだ?」
「エサ?何のことだ?」
復唱ありがとうございます
「あそこの鐘塔の人影が見えますか?」
小さく教会の鐘塔を指さす
「はあっ?見える訳ねーだろ」
「あんなとこに人なんていねーよ」
仲間同士で笑っているところで、先頭の男の耳元に爆竹ほどのバーストを発生させる
パンッと空気の弾ける音
先頭の男の耳が弾ける、鼓膜も破れたであろう
「グハッ、痛えっ…痛えっ」
「なんだっ?てめえかっ?」
俺の方を睨む
「俺は何もしてないでしょ?」
「領主と冒険者ギルドへの反逆者をおびき出すエサなんですよ、俺達は」
「指示に従わない冒険者は排除されますよ?」
会話の最中に後ろの男の耳元に爆竹ほどのバーストを発動する
パンッと空気の弾ける音
後ろの男の耳が弾ける、鼓膜も破れたであろう
「ほら、俺達は何もしていません」
「エサですから」
どやっ!いい作戦でしょうと、絡まれた場合用に食事中に考えた作戦です
これでもう絡まれないはず、人の輪も更に遠くに行くことでしょう
「くそっ、くそっ」
逃げ台詞も吐けずに撤退していきます、完璧です
気をよくして道具屋で魔導具を買おうとした所を2人に止められる
取り付かれたように魔導具の良さをアピールしたのだが認められなかった
必要ないとか、もったいないと言われて我に返る
魔法屋も有ったので覗いてみた
魔法屋には魔法の書に巻物や触媒に紋章や水晶や杖など色々なものが有った
4大魔法と精神魔法と強化魔法と弱体魔法と治療魔法の中級と初級が売っていた
治療魔法の中級と光魔法と闇魔法の初級が有ったので買っておく
ポーションも色々と種類があった、治療薬に疲労回復薬に精神疲労回復薬
毒消薬と麻痺解除薬などの各状態回復薬と逆の状態異常付加薬である
回復系のポーション系も一通り購入することにする
あと、面白そうだったのは錬金術と調合術である、魔法ではないが本を買っておく
道具屋の後に雑貨屋と古着屋に入り物色する
フランドル地方の犬が皇帝の名を持つ少年に引かされていたミルク缶が売っていた
ミルク用に1缶と水用に2缶と手桶と水桶とホウキとちり取りを仕入れるとする
手拭いを5枚とオリーブオイルの軟膏や柔石鹸とハサミと針と糸なども購入する
寝藁は無いかと聞いたら馬屋に行けと言われた、後で行こうと思う
麻布と木綿布も買う、寝藁と麻布と木綿布と毛布で敷布団を作ろうと考えている
古着屋では3人の下着とポーチを3つほど買い足する
もう見る所も無いかと宿屋に戻り3人で針仕事をしながらダンジョンの話をする
盾が直るまでは様子見にする、盾が直ったら先に進もうと
話していると何か落ち着かない、見られている?聞き耳?
アイリちゃんに聞くと委員長達のニオイがするという
今日は一日中していたと、今もしていると
結界魔法の必要性を感じてくる
いや、聞かせてやればいいかとも考える
夕食を貰いに行こうかと1階の食堂におりると席が空いていた
カルネちゃんの話では有志が自主的にテーブルを1つ開けてるとの事である
ウザいが彼らは収益に貢献しているのでOKと言っていた
夕食の燻製鹿肉のソテーと野菜の煮物とライ麦パンをいただきます
明日のお弁当を注文して、煮出し茶でマッタリ雑談する
まわりを見るとミリアちゃんのファンらしき連中は若者が多かった
低年齢で低レベルで低ランクである、これならダンジョンでは邪魔できないだろう
潜ってしまえば問題ない、明日からは心労も減る事だろう
ガラの悪い連中は昼の件でもう絡んでこないだろうと考える
せっかくの旅である、旅の道中の目的を話し合う
観光地に食事にデザート、珍しいものがいいと2人も楽し気に話す
情報収集して色々と回りたいものである
夜は久しぶりのお楽しみである
入って来られたら怖いので、施錠もしっかりする
ミリアちゃんとアイリちゃんとのイチャイチャを聞かせてやるのだ
2人とも声をかみ殺して耐えるが、甘い息づかいが漏れている
この何日か溜まっていた弾も撃ち尽くしていい気分である
随分と久しぶりに気持ちよく眠れた気がする
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