第9話
刑事たちは暮松を自宅兼店舗に送り届け警察署に戻り、事件資料読み直しと頼まれた事を思い思いこなしていた。
パソコンを黙々と操っている柳田だのでは見ていると気持ち悪いと思うほどで画面もウィンドーが増えたり彫ったりしていて良いそうだ。
鎌ヶ谷は熱いコーヒーを人数分入れると自分のデスクに腰かけた。
「よし!話すか!」
気合いを入れた鎌ヶ谷を不思議そうに資料からパソコンから視線を挙げた二人。
ゴクリと喉が自然となった。
「内容は察しの通り暮松夕貴の事だ。柳田はどこまで知ってる?」
「え、あ、私ですか?!」
突然当てられ慌てふためく彼女に佐伯は呆れたように見ていた。
鎌ヶ谷は頷くのみだ。
「えっと、年上であることと、両親が亡くなっていて事ぐらいです。母親は目の前で殺され父親は行方不明のまま死亡届が出されたって」
本当にこれぐらいしか知らないとそこで口を閉ざしてしまう。
「佐伯も軽く資料目に通しただろ?」
「はい、規制されていて詳しく載っていなく柳田が言ったことと同じです」
「それだけ知って入れば何故この班ができたか規制されているかがわかる」
そう言いながら鎌ヶ谷は佐伯に近づき、過去の事件が閲覧できるようになっているデーターベースを開かせ、さらに厳重ブロックされた事件データーの保存されたファイルがある場所で来させる。
「暮松一家殺傷行方不明事件を開いて100801って打て」
「はい。100801……これって」
パスワードを入力するとプロンと音と同時に三つの液晶に写真と文字が表示され、写真は悲惨なものだ。
それを見た初めてこれを見たか二人は息を呑み呼吸を忘れていた。
一枚の写真には太い鎖で体をベットに括り付けられ、酸素マスクを粘着テープで固定さた少年の写真。
「この男の子暮松先輩?」
「ああ、発見された当時残っていた酸素の残量は僅かでもし発見が遅れていたらと思うとな……」
「酷い……」
「酷いってもんじゃない……」
ただ、呆然とそんな言葉しか出ない。白く細い体は今にも命が消えてしまいそうだ。
口元に手を当て、瞳を潤ませている柳田に大きな手が頭に乗る。
「あいつは生きた。犯人の思惑通りかもだが……」
犯人は夕貴少年までも殺そうとした。命を弄ぶかのように死んだら死んだ生きたら生きたらただというようなものだ。
「18年前の8月1日に当時刑事だった幸村彰利宛に親友の暮松智樹からの手紙が届けられた」
「今の警視総監じゃないですか!」
柳田の驚きの声に頷いた。佐伯は警視総監の写真を出すと資料から暮松の父親の写真を中央モニターに出す。
「内容は“この手紙が届いた頃には私は死んでいるかもしれない。説得は続けるが無理な可能性が高い。妻と息子に危険があるかもしれないから様子を見に言って欲しい”とそれだけ書かれていて小さなメモ用紙に住所と自宅の鍵の隠し場所が書かれていた」
届けられた手紙の消印は8月1日だ。熱い日差しの中慌てて家に向かい白い綺麗な書かれていた鍵の場所かは鍵を取り出し、中に入ると血の匂いが湿気で蒸し風呂状態の家に充満していた。
「そして、リビングで暮松夕貴の母美由紀を発見、即時安否の確認をしたが息はなく死後2日立っていた。警察に連絡して息子を探した。二階の子供部屋暮松夕貴は発見即座に酸素マスクを外し行きがある事を確認するが、鎖は三つ南京錠をかけられていて救出不可能のまま、救急隊を待った」
搬送された暮松夕貴は命に別状は無いが頸に一筋に深い切り傷を負わされていた。
「当時推定8歳と医者から身長などを考え出された結果だ」
「待ってください親友だったのなら暮松夕貴の年齢を知っているはずでは?」
「ああ、それなんだが、父親が海外出張め海外にいる間、連絡をとっていなかったらしい時間もかかるしな。事件が起きた年に帰国したばかりで、知ったのもその日届いた手紙だったんだ」
「でも、戸籍で!」
「それが……戸籍はきちんとあったんだ、何者かに改善させていた。書類上もデーターも、学校に置いてある書類も全て徹底的に!」
「そんな……」
「わかっているなら既に年齢判明してる」
当時の警察もうなだれたそうだ。引っ越してきたばかりで、詳しく把握している人物がいなかった。
「引っ越したなら前の学校には……書類は全て新しい学校の方へ送ってしまっていてな。不思議なのがここからだ。誰も暮松夕貴という年齢がわからないんだ」
「馬鹿な……」
佐伯は馬鹿なことがあるはずがないと言おうとしたでとさっき自身でいった言葉が自分に返ってきて何も言えなくなる。
「どいうことなんですか?」
「わからない催眠術でもかけられたようにみんな忘れてるだ」
暮松夕貴が事件に関わることで警察の庇護下に置かれているという状況がよくわかる。しかし疑問が残る。
「何故彼は事件に関わる っているんですか」
「それは…………人と関わる為だ。何処に自分と関わる人物がいるかわからないからな。本人がそれを望んだ。事件が起きた日以降の記憶があまり無いからな…」
当時の警察も関わる事に関してはいい顔をしなかったが事件解決に導く彼のサポートと安全のためここが作られた。
「なるほど、ここの有無と年齢についてはわかりました。けど、2年も空白が?」
佐伯は震える手で事件の概要を読みながら質問する。
「それは……すぐ眼を覚ますと思っていたが眠り続けていたからだ。10歳ぐらいまでな……」
「そんなにですか?」
「らしいなそこからリハビリ二年で学校に復帰だが、まあ、そこからあいつの時間が狂った」
「そうか、知らない事が多いんだ。今までの時間取り戻すようにリハビリしても流行りとかの違いと身長とか」
「ああ、12歳の時四年生として復帰した。教育委員会の意見としてはきちんと修了させてくれなければ困ると」
キュッと二人の拳が握られだギシギシと音が漏れでいる。
大人の勝手な理由で子供の気持ちなんてこれっぽっちも考えていない。
「推定でも四年経ってるなら中学校から復帰した方が精神的にもいいだろうに」
「自分と精神力が違うしな。もともと大人しい性格かもしれないが」
頷く鎌ヶ谷は大きくため息をついた。
「柳田、お前が高校入試前にあいつにあってるな?第一印象は?」
「あ、はい。そうですね大人の人だと思いました。私たちとは違う年齢だと感じました」
「
-----面倒な仕事を増やしてくれましたね。面倒なので四年生から復帰してもらいます
空いた口が塞がらない。絶句という言葉がこんなにも似合う状況しかない。
「もし、推定年齢の学年で復帰していれば20歳の時自殺しようなんて考えなかっただろうな」
「自殺………?」
「成人式に出席したときに誰したりとして知らない顔。誰も自分事を覚えていない。昔の自分を知る事ができない。生きている意味なんてと思ったらしい。まあ、未遂で済んだ。それから大人、人間を避けるようになった」
ギュッと机の上を掴み悔しそうにしていた。
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