第4話

警視庁のとある会議室に捜査一課に戻った男、鎌ヶ谷和久は呼ばれていた。いや、別に異動を命じられていたわけではないが据え置きの異動だ。

「警視総監、お呼びでしょうか?」

「わざわざ、呼び出してしまって悪かったね」

警視総監は鎌ヶ谷に書けるように促すと目の前に置かれたファイルに目を落とす。

うんと頷き、鎌ヶ谷に視線を向ける。

「鎌ヶ谷君は捜査一課所属だが、独立した存在で一人で動いていたね」

いきなり何を言い出すと言う顔で、頷くと警視総監は済まなそうに眉をひそめた。

「彼に適応できるのが君しかいなかったのが苦しいな」

「あいつは変わっていますので、仕方がないでしょう」

ポリポリと頬を掻き苦笑いを零す。

「いきなり、こんな話を持ち書けると言う事は暮班くれはんに人が増えると言う事ですか?」

捜査一課暮班には特殊で、時間があれば現場に向かう一課とは違う。本庁の一課、地方本部の刑事課や全国の刑事課又は暮班の由来になった人から連絡を受け動く。本庁、各署からの要塞は難事件の場合が多いがその他の場合は暮班の由来の人物が時間に巻き込まれた時に連絡を受け全国どこにも行く。一番ハードな班とも言われているが班とは名ばかりな所だ。何せ鎌ヶ谷和久しか、その班にいないのだから。


サイバーセキュリティ対策課

主任の前で一人の男の人が立っていた。その男の目には驚愕の色が見えた。

「え?!今日から異動ですか?それも捜査一課にですか?」

「ああ、そうだ。もともと推薦はしていたんだよ。あの彼と年齢近いしね」

「彼?」

「行けばわかる。彼もいろいろ複雑なんだ」

詳しくは彼から行けと言われ早々と荷物をまとめ、異動先に向かう。

捜査一課のあるフロアの扉の前で一人の女性が自分と同じくダンボールを両手に抱え何度も深呼吸を繰り返していた。

「おい、さっさと入ってくれ、俺もここに用があるんだ」

「あ、はい!」

自分と入り口にやってきた男性と一緒に、捜査一課に足を踏み入れた。

「今日からサイバーセキュリティ対策課からこちらに配属になりました。佐伯信乃です」

「交通課からこちらに配属になりました柳田紗英です!」

二人の声に捜査一課の視線が全て集まり、視線に負け佐伯信乃という男性の後ろに隠れてしまう。

そんな二人に苦笑いにをしながら一人の男性が近づいてきた。

「ああ、君達はあそこの暮班だ」

指をさした。

「暮班?」

どうやら柳田は捜査一課のどこ所属かは知らされていなかったらしい。

暮班の場所として指を刺された場所は一課のフロアの壁際に一面ガラスで仕切られた場所。二人の脳裏に墓場や窓際が浮かんだ。つまりお払い箱という事だろうかと。

「あはは、窓際とか墓場とかそんな場所じゃないさ。あそこに配属できるのは適合性がないとダメなんだ。それに、あそこに持ち込まれるのは難事件になりかねない大きな事件、それに。彼は繊細だからね。いろいろと」

佐伯の頭に先ほどまで配属されていた場所の上司の言葉と同じことを言っていることに気がついた。

「その彼とは、これから配属される上司の方ですか」

「いや?ちがうな上司じゃない。その彼は警察の人間様じゃないんだ」

「それは、どいうことでしょうか?」

柳田が会話に入ってきた。何も知らさせていなくても、複雑なのは察したのだろう。

「複雑なんだ。俺もその彼のことは知ってるよ、だから、君達がきてくれてホッとしてるよ。一人にならないから、ああ、君達の上司いたけど、少し年齢も離れてるしね。繊細だから気をつけてあげて」

それじゃと言われその場に残された

二人は見合わせ、言われたガラス張りの部屋に脚を入れる。そこには今日から配属された二人の名前の札置かれていた駅の席に至って事務的な机ではなく、液晶画面が三枚置かれL字型のデスクが上司に背を向ける形で置かれていて、コンピューターもどれも最新型。サイバーセキュリティ対策課にいた頃と全く変わらない。

佐伯は他の一課の刑事たちのコンピューターを見たが自分とは全く違いいたって普通のものだった

柳田の席にも、タブレットが置かれていた。もし、ここが窓際族の巣窟ならこんなに豪勢な設備はないだろう。

二人は自分たちの待遇に驚きながらも荷物を片付け始めた。

「それにしても凄いコンピューターですね、私ノートパソコンでも、苦戦するので、そんなもの触りたくないです」

「ああ、驚いた。得意分野からおさらばになってしまったと思っていたから。まさか同じものが用意されているとはな。ここの班は一体?」

うんうん、二人は考えていると一人の男性が入ってきた。

「お!来てるな!俺は鎌ヶ谷和久34、階級は警部さ、お前達の上司な」

「佐伯信乃、28歳警部補です」

「私は柳田紗英24歳!巡査です!」

柳田はビシッと敬礼をしてガタガタ震えていた。

「おー、あいつと同い年とタメか」

二人の年齢は4つ離れている同い年とタメにはならない。

先はだから言われていた彼とあいつは同一人物だろうが言葉の意味がわからない。

「ここ、暮班には特殊で一課は普通に事件があれば、捜査に出るがここは他の全国事件が集まる。それを解決するのは暮班の名前の由来となった人物とだ」

鎌ヶ谷は自分のデスクに腰掛けながらそう話す。

「外部の人間と聞きましたが、いいのですか?」

柳田の言葉に鎌ヶ谷は複雑そうな顔でしかめた。どうやらここはお払い箱ではないにしろ何か根っこが深いようだ。

「ああ、ここは警視総監公認の場所さだからあいつも認められてる。そして、俺たちはそいつを守るために作られた場所」

警視総監というのは警視庁の中でも一番偉い人間だ。その人公認ということは、自分たちは選ばられた人材ということだ。

「守る?」

「同い年とタメってどいうことです?」

鎌ヶ谷が二人の質問に答えようと口を開こうとした時、ガラスの扉がノックとともに開かれた。

「暮班!お手上げだ。頼んだ、こっちでも調べてるが、一向にわからない」

「わかった。俺たちの出番か佐伯、受け取れ。タブレットや俺たちの携帯に資料送ってくれ」

「あ、はい」

佐伯は言われた通りデーターを受け取るとパソコンで各自に送った。

その時間は強盗事件の犯人が死んだあの事件だった。

「チッ!!昨日廃工場殺人事件、解決したのにもう、事件が入ってきた。ここ最近多いな、おい、佐伯はタブレットとノートパソコン、柳田は自分に支給されたタブレットを持ってあいつのとこ行くぞ!」

そういうとスタスタ歩いてしまう。佐伯はノートパソコンと言われ探すと黒いこれまた最新のパソコンが仕舞われていた。

慌ててた後を追う柳田はガラスに頭をぶつけていた。

「はぁ」

どうやら厄介な場所に配属になったらしい。

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