悪魔拷問リザルト
「ほなとりあえず町長さんの所に行こか。」
まぁ正直なところ、よしえ&マキノコンビが無双しまくったおかげで、誰がどうモンスターを倒したとかそんな報告はあまり意味が無いような気がしたが、それはそれこれはこれ。
報・連・相は大事。
それにしても疲れた。あんまり何もしてないけど。
町長さんの家に向かってボチボチ歩き始めた僕達だったが、マキノさんが突然立ち止まった。
「町長さんへの報告には、お2人で行ってきてください。お2人ともお疲れでしょうから、先に家に帰ってお風呂の用意してますね♪」
そう言って、マキノさんは家の方へと歩き出した。確かに別に3人で行く必要も無い。別行動の方が効率がいいかもしれない。気の利くメイドさん素晴らしい。
「じゃあ、2人で行きましょうか。」
よしえさんと並んで歩く。そう言えば、この世界に来て最初に出会った時もこんな感じだったような気がする。
「・・・手。」
ふと、よしえさんが僕の方に手を差し出した。
「・・・へ?」
「いや。手よ。手。」
まさか、僕と手を繋いで歩きたいのだろうか。いまさらながらに、シャイニングさんの胸にすがって泣いた時の事を思い出して顔が赤くなってしまう。
相手はチリチリパーマだぞ。オカンだぞ。なのに、なんだ。この胸のトキメキは・・・!僕の中の何か新しいトビラが開いてしまうっ!!
「いいからほら。はよ手出して。」
最近のミセスは本当に大胆だ。よしえさんは、ガっと僕の手を握ってきた。
「ん~・・・。なんもならんな。」
一言つぶやいてよしえさんは僕の手を離した。
「・・・あれ?なんやのこの子は。もしかして、なんか変な事考えてたんちゃうやろね?」
そう言ってニヤニヤしてきた。しまった。スキを見せた。よしえさんが興味があったのは、さっきの白い光の事だったようだ。
「いや!いやいやいや!別に勘違いとかしてないですよ?ちゃんとわかってましたよ?光らないですよね?なんでですかね?おかしいですよね?」
「・・・ふふふっ。自分では気づいてないかもしれんけど、マー君は、ウソをつく時に下唇を噛んでから喋るクセがあるんよ。」
ハッ!として唇をフニフニ動かしたところで、ハメられた事に気づいた。
「いやぁ~!マー君はホンマに面白いわ!」
耳まで真っ赤だ。
そして町長さんの家にたどり着いた。家の前には町長さんが待っていた。
「ホントに助かりました!お2人には感謝してもしきれません!まずは、とりあえず中に入ってください!」
町長さんの家に招かれ、応接間のような場所で3人で話す。
「私達は遠くに避難していたので直接見てはいないのですが、凄い音と光でしたよね?もしかして、今回のモンスターは相当手強かったんでしょうか・・・?」
恐る恐る町長さんがたずねる。
「えぇ。それはそれは恐ろしい敵でした。もし1歩間違えれば、私達が死んでいたかもしれません。」
伏し目がちに真顔でそう答えたよしえさん。シレっとウソをつきやがった。僕は見た。アリーナ席で見た。苦戦のくの字も無かった。
むしろ、どちらが悪魔に見えただろうか。モン権を完全に踏みにじった凄惨な現場だった。
「・・・そうですか。無事で本当によかった。」
真剣な表情で話を聞いている町長さん。笑いそうになるが頑張ってこらえた。
「今回の件につきましては、相手は悪魔だった事もありますし、私の方からまた王都に報告しておきます。前回よりもさらに大きな報酬があると思います。」
大きな報酬っ・・・!でもよく考えたら、僕はゴブリン1匹倒しただけのような気がしないでもない。
「それと、街の方の被害ですが、今回は襲撃されてすぐに対処出来ましたので本当に少ない被害で抑えられました。連中も親玉を連れてきていたようなので、これでしばらくはおとなしくなるでしょう。」
よかった。それにしてもよく襲われる街だなぁ。これが異世界標準なのだろうか。
「では、色々聞きたいお話もあるんですが、今日のところはお疲れでしょうから、帰ってゆっくりしてください。また何かありましたら連絡しますので。」
そして今回はお開きとなった。
家へと帰る道の途中。さっきの話で気になった事を聞いた。
「なんでウソついたんですか。圧勝だったでしょうよ。」
「なんとなくやね。危なかったですよ!っていう風にしとけば、心配もされるやろ?楽勝でしたわ!やと、ありがたみが少ないかと思って。」
この人は本当に女神なんだろうか。
「それと、本音を言えばちょっとやり過ぎたからね。さすがに魔法でモンスターを拷問しました。とは言えんやろ?」
なにが驚いたって、一応拷問の自覚があったところだろう。今後はあまり怒らせない方がいいかもしれない。
「まぁそうですよね。どんな噂になるかわからないしね。」
異世界とはいえ近所付き合いも大切だろう。ほとんど無いけど。
家につくと、すぐにマキノさんが迎えてくれた。
「おかえりなさい!お風呂の準備も出来てますよ!」
気の利くメイドさんの用意してくれたお風呂に入って疲れを落とす。
あぁ~今日も1日頑張った。じゃあそろそろ寝ようかな。
と思ったところ、ドアをノックする音がした。
「はーい。」
ガチャっと開けると、風呂上りミセスがそこに居た。
「ご褒美をもらえるやろか?」
お風呂上りやや色っぽいその見た目で、パーマネントミセスはマッサージをせがんできた。
前回は断ったので、今回はしょうがないので念入りにマッサージをした。帰る頃にはよしえさんがフラフラになっていた。
いい仕事をした。今日はゆっくり眠れそうだ。
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