灰色だけにハイオーク
「なんだおめぇら?俺の可愛い手下共をこんなにしてくれて。覚悟できてんだろうなぁ?」
そういって僕達の目の前の現れたのは、さっきまでのオークより一回り大きい、灰色のオークだった。
「は、ハイオークだ!!」
街の住人がそう叫んだ。やっぱりオークだったのか。そして、今目の前にいるやつはそれの上位種というところだろうか。
このハイオークは他のオークとは違う。見た目もそうだけど、なにより違うのは他より頭が良さそうだというところだった。
なぜなら、奴はその片手に傷付いた女性を持っていたからだ。
「それ以上俺の部下を殺るつもりなら、この女がどうなってもしらねぇぜ。」
そう言うと、片手で軽々女性の頭部を握って持ち上げる。おそらく、ハイオークがその気になればみかんより簡単に女性の頭部は潰れるだろう。
「なんて卑怯なっ・・・!!」
と、女騎士が一言叫んだ。が、その次の瞬間。
「シャイニングソード!」
突然、これまで素手だったはずの女騎士の右手に光る剣が現れた。
剣が現れた。と思った時にはすでにその場所に女騎士の姿はなく、僕達の正面に立っていたハイオークの背後にいた。
「・・・え?」
ゴトリ。大きな音を立てて落ちるハイオークの首。まるで温泉か何かでも噴出したかのような勢いで首から吹き上がる血。
ハイオーク自慢の人質作戦も、死んだことすら気付かないレベルの瞬殺では意味が無かった。
大量の返り血を浴び、赤く染まったその白銀の鎧。疲れたような表情で立ち尽くす彼女の元に、駆け寄ろうとする者は1人もいなかった。
そこに至る経緯はわからないが、街を襲ったハイオーク率いるオーク軍団。それをほとんど1人で制圧してしまった女騎士。
当然、街の住人からすればこれほどないくらいの命の恩人だと思う。
しかし。恐ろしいのだ。街を襲った圧倒的暴力を、これを上回る力で制した彼女の持つ暴力が、恐ろしいのだ。
ひどく疲れた表情の女騎士。ぎこちない感じで笑ってみるが、疲れは隠しきれていない。
そんな彼女を見て、なぜか、僕はそれを美しいと感じた。
「・・・だ、大丈夫ですか?」
僕は女騎士に近寄り、手を差し伸べようとしたその瞬間。
女騎士の全身を黒い光が包んだ。
「・・・ぐぅ!」
小さなうめき声が聞こえ、光が消えるとそこにいたのは・・・。
よしえさんだった。
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