【コラム】妖精の道とは？　世にも珍しい幻想的な風景の謎

2018/7/21 20:41

　妖精の道（フェアリーロード）、と呼ばれる現象をご存じであろうか。ヨウセイたちが一列となり、道を作るように空を飛ぶ光景だ。世界的にも珍しく日本国内では十数例しか観測されていないが、十九日、██市でこの現象が目撃された。

　ヨウセイを二十年以上追いかけている写真家の楠村（くすむら）誠（まこと）氏（５２）は、当日の様子を嬉しそうに語る。「本当に驚きました。この地域でヨウセイが目撃されているという話は聞いていましたが、それはもう半世紀近く前の話です。山中で匹くらいは撮影したいと思っていたのですが、まさか妖精の道を撮れるとは……。感無量ですね」と楠村氏。

　今回、妖精の道（フェアリーロード）をなしたのはゲツガコウヨウセイというヨウセイだ。草食性のリンモクヨウセイ科の一種で、月の光を浴びて蛍光色に輝くことで知られている。ヨウセイは通常数匹、多くても十数匹の群れをなして行動することが知られている。しかし、この妖精の道は数百匹、場合によっては数千匹のヨウセイが集まるというのだ。しかし、どうしてヨウセイたちはこのような行動を起こすのだろうか。

　葛城（くずき）大学理学部教授である真瀬（まなせ）信二（しんじ）氏（４７）に話を聞いた。「妖精の道が形成される理由は、はっきりとは分かっていません。ただ一説には、ヨウセイたちによる祭事ではないかと言われています。写真のここを見てください。ヨウセイたちが祭器のようなものを持ち運んでいるのが分かります」と語る。楠村氏の撮った写真に注目していただきたい。ヨウセイたちが杯や石棒のようなものを掲げているのがお分かりいただけるだろう。真瀬氏は「ヨウセイは道具を用いた集団での狩猟なども確認されており、極めて高い知能を持っていることがわかっています。原始的な祭事を行っているのではないでしょうか」と述べた。

　ヨウセイを見た者には幸せが訪れる、という逸話がある。だとすれば、これだけヨウセイが集まった光景を見た者には一体どれほどの幸せが訪れるのだろうか。