花びらが散る私が見た世界
上山ナナイ
第1話
私は子供だ。大人達の手は暖かい。今日も毛布にくるまりぬいぐるみに囲まれて寝る。実家のタロは幽霊になってスースー私の布団に入って寝る。とっても暖かい。窓から風が入り、私は静かに目を閉じる。ピンク色の三角屋根の家。床には花びらが散り、都市の人工的な暗闇に包まれ、静かな夜を過ごす。
電子レンジでじゃがいもを蒸し、スープを作る。バターの匂いがする。とても美味しい。お店で買ったマカロンとココナッツがかかったパンケーキを食べる。とっても美味しい。お兄ちゃんとお父さん早くこないかな。
作ってあげるのに。私は犬の形をした車輪がカラカラするおもちゃの引き車を引いている。
来たら抱きしめてほしいな。
私はいい子にしてるもの。
今日だっていい子にしてた。
今日も一人で料理したし、お店にも行った。ずっとパパやママやお兄ちゃんの帰りを待ってるのに、今日も来ない。
私はぬいぐるみに囲まれた子供用ベットで一人で寝る。私はレースのブラウス、ピンク色のタイツと紫色のスカートを着ている。
天蓋付きのレース付きベットでぬいぐるみのフワフワを撫でているとぬいぐるみが喋り出す。
「どうしたの?」
「ニャンをお風呂に入れてください。それと破れてしまったのできずばんを貼ってください。」
私はぬいぐるみと一緒にお風呂に入り、きずばんを貼ってあげる。
そうするとぬいぐるみは「ありがとう」と言って、私と一緒に寝る。私はぬいぐるみをギュッとする。「ニャンも大好きだよ。覚えててくれてありがとう。」私は夢を見る。空を飛んでいる夢を。私のいつもの5分間はこんな感じ。最後なんて来ないでほしい。
パパとママとお兄ちゃんいつくるかな。
星が流れて紫色の空のになり、紅が広がる。夜明けだ。あ!お兄ちゃん!帰って来たんだ!
その時床の花びらとシャボン玉飛び、光の作用で虹色に光った。シャボン玉は砕けなかった。
今度こそ大丈夫。ね。お兄ちゃん。私はお兄ちゃんと歌を歌う。花びらが散っていく歌を。
花びらが散る私が見た世界 上山ナナイ @nanai_tori
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