第4話
PCの画面には文字がうごめく。
日々の不満や不平。憎悪や嫉妬、醜さが集約している。
1ヶ月くらい前から学校の裏サイトとういものを僕は基本的に毎日閲覧している。当初はあまりにも赤裸々な内容が心を抉り吐き気を催したものだが、今はない。
どんなに外面を装ったところで生き物の本質は“悪”である。掲示板を眺めているとそれを確信させてくれるように思える。
僕はけして悪が嫌いではない。物語でも正統派な主人公よりダークヒーローの方が好きだ。皮肉屋で社会を斜めに見ているくせに、それでいて人に対して誠実で不器用なところが見に詰まらされる。
なので負の感情は抑制しがちだけれど吐き出す場所も必要だと考えている。人はかなり忍耐強いし忘れっぽいが、フラストレーションを無には出来ない。他者に迷惑をかけてしまうのはよろしくないが、誹謗中傷が露見しなければ発散して良いと僕は思う。極論ではあるけれど「人を殺したい」という衝動は頭の中であればセーフだ。思想は自由なのだから。もっとも公言したり実行してしまったらアウトになるけれど。
ネットの掲示板に載せてしまっているので是非で言えば書き込んでいる学生は後者だろう。だが僕はリスクを顧みない彼らによって実用性のある情報を得る事が出来ている。 それに事件が仮に起きたならこのデータは重要な証拠になるのだろう。個々では害だが、全体としては有益だ。
一通り今日書かれた最新の内容に目を通しウインドウを閉じた。密度の濃い情報に晒されると非常に疲れる……。目頭を手で押す。
目をゆっくりと開けるとデスクトップに映し出されていた明日の天気が視界に入る。
どうやら明日は大雨で、台風並みの強風が吹くらしい。
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