うーん。
実に読み応えのある物語でした。

文章としての厚み、哲学や社会学の知識もさることながら、込めた思いの正直さ、赤裸々さが胸を打ちました。

ネットでは知恵なき知識を振りかざす人が多い中、その知識に振り回されず、きちんと人間を描く胆力に感服致しました。

正直に申し上げると前半の主人公はまさにそんな知恵なき知識を振りかざす人間に見え苦痛でした。自分以外を馬鹿にして、なんとか自分を保っているような、それは昔の自分を見るようで辛かったです。それこそ自分自身へと向き合う作業でした。（たぶんほとんどの読者がここで心が折れます）

それを乗り越えると美しくも力強いエンディングにたどり着ける。

これはまさに永劫回帰と言って差し支えがないのではないでしょうか。

失礼ながらＰＶを稼げる作品ではないと思います。
だが、素晴らしい。

それはカクヨム弱者である私のルサンチマンなのかもしれません。しかし、少なくとも私の心は大きく揺さぶられました。