第10話 サーヴァント

 教育実習も残り一週間を切った所で、僕の疲労はピークに達している。


 慣れないクラスでの授業に、追い付けない研究授業と反省と、放課後の模擬授業とフィードバック。失敗ばかりで打ちのめされていた。


 もし僕が教員になったとしたら、これ以上の仕事をこなさないといけないのか。考えただけでも気持ち悪くなるが、体力的にも精神的にも強靭な竜造寺先生は平然としている。頭がおかしいとしか思えない。


「何ですか?」

「いえ、何でもないです」


 竜造寺先生の気を逸らすため、僕は教室の清掃をしている生徒を手伝うことにした。すると、黒板を綺麗にしていた丸亀が机を運ぶ音に呑まれないよう、非常に大きな声で僕に話しかけてくる。


「知ってます? 八月十日生まれって有名な芸能人が多いらしいですよ」

「へぇ、例えば?」

「三浦春馬とか、上木龍之介とかです」


 ……そうだったっけか? 意外な丸亀の情報量に負けないよう、僕も脳内のデータベースから情報を引っ張った。


「確か速水もこみちと、筧利夫も同じ誕生日だったぞ」

「そうなんすか? 知らなかったです」

「こうして見ると、八月十日生まれはイケメン揃いだな」

「……はぁ、そっすね」

 本当は角野卓三も同じ誕生日なのだが、僕も丸亀もイケメンということを強調したく、冗談を言ったつもりだった。それなのに、丸亀の反応は素っ気ないものである。

 というか、お前が振ってきた話題だろうが!



 実習室へ戻ると、竹虎と愛鷹が何やら仲良さげに会話していた。


「二年B組って、なんか授業し辛いっすよね?」

「あ、分かるわー」


 僕が席に座っても気に留めず、愛鷹は竹虎からの共感を求める。確か二年B組は蟹頭のHRクラスだったような……。


「それで生徒から聞いちゃったんですけど、なんでもテカリさんが原因らしいです」

「どういうこと?」

「最初の自己紹介の時に、自分は勉強も部活も趣味も恋愛も頑張って、今でも楽しい学校生活を送っています。……みたいなことを自信満々に語ったらしく、それで生徒が何だそれって、反抗的になっちゃったらしいです」

「あちゃー……」


 道理で、僕が授業していても生徒の反応が薄かったわけか。てっきり奥ゆかしい文系コースだからと大目に見ていたが、完全に教育実習生である僕をナメ切っての態度だったとは……。次から容赦せんぞ!


 はぁ、あのHRクラスである三年D組が懐かしい。実は大人しいインテリぶったクラスよりも、常に騒がしい活気あるクラスの方が授業しやすい事に気づいたのだ。


「ミギー先生はどう思います?」


 また一人で思考に耽り、愛鷹の話を聞いていなかった。


「え、何が?」

「テカリさんですよ。自信に満ち溢れすぎちゃって、周りが見えてませんよね?」


 僕に共感を求められても困る。別に陰口を言うのは人の勝手だが、僕が人の陰口を言うのは気が引けるのだ。できるだけ当たり障りのないことを言おう。


「まぁ、確かに自己啓発は良くないような……」


 その時だった。タイミング悪く蟹頭が入室したのは。

 咄嗟に三人とも机に向き直り、あたかも作業に没頭している演出をする。だが、僕は笑いを堪えるのが精いっぱいで、机の下で腹を抱えながら悶絶していた。


「……どうかしました?」


 頑なに顔を上げようとしない僕らを不審に思ったのか、蟹頭が訝しそうに話しかけてくる。駄目だ、少しでも気を緩めようとすると、一気に止めどなく笑い声が漏れてしまう。


 誰か早く助けてくれないと僕は死んでしまう。と、本気で苦痛に負けそうになった時、竹虎が自然に取り繕って顔を上げた。


「なんでもないよ。遅かったね?」


 どうして彼女は平然としていられるんだ? さっきまで愛鷹と一緒に蟹頭の陰口を言っていたのに……。


 その様子が再び壺に入り、ついに堪えられなくなった僕は激しく咳き込むことで、必死に笑いを誤魔化そうとした。


「うん、ちょっとフィードバックが長引いて……」


 僕のせいで蟹頭の疑念が晴れず、愛鷹に太腿を抓られる。

 痛みのおかげで少しは笑いの波が引いてきたが、このまま一緒の空間にいては危ない。いつビッグウェーブが訪れ、防波堤が破られるのか分からないのだ。


「あ、ちょっと聞いて聞いて! 今日ね、授業が終わった時に女生徒が、愛鷹先生に彼女はいるかどうか、訊いて来てくださいって頼まれちゃった!」


 もはや一刻の猶予も無いというのに、構わず竹虎は雰囲気を変えようと話題を持ちかける。だが、話題が話題なだけに、当の本人である愛鷹は慎重だった。


「……変なこと言ってないでしょうね?」


 おそらく、つい口に出してしまったマザコン気質のことを恐れているのだろう。それが明るみに出てしまえば、確実に生徒からの人気は下落する。


 しかし、流石の竹虎も愚かではない。ちゃんと冗談でやって良いことと、悪いことの判別はつくはずだ。


「その辺は大丈夫。ちゃんとゲイだって言っといたから!」

「マジふざけんなよ!」


 今だ! 大笑いするなら今しかない!


「ぎゃははははッ!」


 急き狂ったように大笑いし、捻じ切れるような腹筋の痛みで、止めどなく涙が溢れてくる。もはや呼吸すら困難になり、僕は人目を憚らず笑い転げた。


 竹虎の馬鹿さ加減に呆れるどころか、まさか感謝する日がやってこようとは、世も末である。だが、これで蟹頭が抱いていた不信感は拭えたはずだ。どんなに僕たちの動作が不自然だろうと、とぼけてしまえば分かりっこないのである。


 ……やっと落ち着いて僕が正気に戻るまで、愛鷹は竹虎が広めた噂の真偽を確かめていた。ありがとう、二人とも。てか、お前らが元凶なんだけどな……。


 ×   ×


 模擬授業とフィードバックが長引くのは毎回のことだが、今日に限ってはスーパーのハーフプライスラべリングタイムに遅れてしまい、夕餉で食す分の半額弁当を手に入れることができなかった。


 くだらない、などと一言で切り捨てること無かれ。僕が生徒に薦めた『ベン・トー』のようなことを、僕は大真面目にやっているのである。就職活動を機にバイトを辞めた僕にとって、一日の食費は死活問題なのだ。


 仕方ないので今日はカップラーメンで我慢するにしても、僕は次の日の昼食も半額の惣菜パンで済ませているため、これからハーフプライスラべリングタイムになる駅前のスーパーへ向かう。


 もう時刻は夜の九時だ。買い物をして家に帰って風呂に入ったら、フィードバックで指摘された箇所を修正して、六時間の睡眠は確保したいので深夜零時に就寝する。どれだけ効率的に頑張ろうとも、たった一時間の自由時間さえ捻出できない……。


 しかし、それが教師になったら普通で、社会人になったら今以上に忙しいのかと思うと、一人で歩く夜道が憂鬱になる。駅前を歩く年配のサラリーマンや、居酒屋のキャッチーをやっている大学生が、途端に凄い人のように見えた……。


 街の怪しげな雰囲気に呑まれている場合ではない。プライベートで部活帰りの生徒と出会わぬよう、人混みが多く広い道を選ぶ。そのまま人混みに紛れて複数のスーパーを順に回ろうとしたところ、見覚えのある背格好をした奴を視界に捉えた。


 ……魚である。

 しかも、頭部が青魚になった知り合いといえば、鯖江くらいしか思いつかない。おそらく、謎の動物化現象は僕と接点を持った人間にしか表れないはずなので、絶対に鯖江しか考えられないのだが、どうしても確証を持てない理由があった。


 なぜかこの魚、女の格好をしているのである。

 一瞬だけ、メンズでも古着屋で買えるチェック柄のガウンという可能性に懸けたが、いくら見返しても魚野郎はチェック柄のワンピースという居出立ちだ。その上、腰にベルトを撒いてミニスカートっぽくし、裾から生足を露出して男を誘惑している。


 ……見なかったフリをするべきか。僕は知的好奇心が旺盛な学生だと自負しているが、行き過ぎた好奇心は身を滅ぼすことにも繋がる。何事も引き際が肝心なのだ。


 結局、後ろ髪を引かれる想いで踵を返し、雑踏の中に紛れることにした。もう二度と会うことは無いだろうし、後で記憶から抹消しておこう。ただ、もう一眼だけ確認しとこうと、顔を上げた時だった。


 突然、魚が振り向いたのである。

 ギョッとした、なんてダジャレを言っている場合ではない! 僕と目が合うなり、魚野郎は人混みの中を泳ぐように掻き分け、こちらへスムーズに接近してきた。スイムだけに、って馬鹿か僕は⁉


 鬼気迫る場面に遭遇した時こそ、ちょっとした笑いで精神を保ちたいのだ。おかげで心は怯えても足は動く。僕は脇目も振らずに疾走した。


 駄目だ、気持ちが焦っているせいで、上手く前を歩く人たちを避けることができない。まだ黒服を着たキャバクラのキャッチーなんかは可愛い方で、ベビーカーを押しているママさんたちの方が強力であり、赤ん坊を盾に猛威を振るっている。


 このままでは魚野郎に捕まるのも時間の問題だ。僕は一か八かで右に曲がり、またすぐに右へ曲がることで魚野郎を撒く作戦に出る。


 駅前は横の道が広く特徴的であり、意外と縦の道は見逃しがちである。で、僕も勢いで路地に入り、運悪くガールズバーの前で身を潜めることになってしまった。


 だが、もう少しの辛抱である。この場所から魚野郎が間抜けにも通り過ぎるのを確認したら、僕は真っ直ぐ家に帰ればよい。簡単なミッションだ。何を恐れる必要がある?


「ミギー先生?」

「ハウマッチ!」


 いきなり後ろから肩を叩かれ、僕の心臓は破裂しそうなほど飛び跳ねた。地面に尻もちをつきながら振り返ると、女の格好をしている魚野郎が仁王立ちしている。


「ど、どうしてここが⁉」

「いや、右に曲がったのが見えたので、その手前でオレも右に曲がっただけです……」


 策士、策に溺れるとはこのことか! まさか自分の天才的な頭脳が仇となるとは、死んでも死に切れん……。


 もはや死に際の美学など知った事ではなく、僕は見っとも無かろうと自己保存を優先した。プライドなどクソの役にも立たん!


「い、命だけは御勘弁をぉ……」


 命乞いをする僕に対し、相手の魚野郎は地面へ膝を突き、静かに放心して言った。


「……どうしてオレだと分かったんですか?」




 この女装変態魚野郎は、やはり鯖江大地で間違いなかったようだ。僕たちは奇怪な目で見つめるガールズバーの兄ちゃんから逃れるため、近くのファミレスへ場所を移した。


「……オレの奢りです」

「マルゲリータピザと、生ビール中ジョッキで」

「かしこまりました」

「あ、ビールはピザと一緒に持ってきてください」


 僕はウエイトレスを見送りながら、これからどうしようか考えていた。

 なぜ僕は女装中の鯖江を発見できたのか、それは僕の目を通すと知り合いは動物に見えるからだ。……なんて打ち明けるにしても、まだ僕は鯖江を信用したわけではない。逆に僕の方から情報を引き出さねば。


「オカマなんですね?」

「決めつけないでください!」


 勢い余ってテーブルを叩きつけて立ち上がるものだから、店内にいる人たちの視線が鯖江に集中する。つい頭に血が上ってしまった彼は我に返り、大人しく席に座り直した。


「……そうやって人を見た目で判断するのは良くないですよ」


 流石にオカマかどうかは直球すぎたか。だが、もう秘密がバレている鯖江は自棄になっているらしく、意外とリアクションが面白い。こんな彼は珍しいので、調子に乗った僕は意地悪したくなってきた。


「百聞は一見にしかず、という言葉は御存知ですかな? とりあえず女装という前提は覆らないのですから、誤解されても仕方ない、くらいの気持ちで冷静に対応してください」

「……分かりました」

「じゃ、男が好きなんですね?」

「オレはノーマルだ!」


 さっきから全く学習しておらず、またもや鯖江は店内の視線を独り占めしていた。


「……失礼。オレは女性が好きな、健全な青年です」

「あのね、健全な男子は女装なんてしないわけ。分かる? わざわざ女装して人前に出るって言うことは、何かしら溜まっていた鬱憤を発散しようとしてたんじゃないの?」

「確かに、教育実習のストレスがあったことは否定できない……」


 鯖江は犬神みたいに明るくないし、愛鷹みたいにイケメンでもないし、担当の先生も指導が厳しい。でも、大変なのは誰だって一緒なのだ。


 僕は不平不満を言うだけのルサンチマンに耳を貸すつもりはない。だが、同じ教育実習生のよしみとして、ケツを蹴っ飛ばす意味でも冷たく鯖江を突き放した。


「それと女装に何の関係があるの?」

「分からないんだ。ただ、雷に打たれたように頭が真っ白になって、女装している間は何も考えられず自由になることができる。そう、まるで迸る稲妻のように……」

「いや、『リトル・ダンサー』のビリーみたいな爽やかさで言っても誤魔化されないよ? 君の場合は邪悪な欲望も混じってるからね?」


 結局は変態という枠に収まってしまうのなら、これ以上の収穫は期待できそうにない。さっさと飯だけ食って帰ろうと決めたところ、鯖江が不意に呟いた。


「オレは可愛くなりたい」

「急に何を……?」

「別に変態だと罵られようが構わない。だけど教育実習中に噂を広められたら面倒だから、ちゃんと正直に言う。オレは可愛くなりたいだけなんだ」

「どうして?」

「可愛くなりたいことに、理由なんているのか?」


 対話にならん。まさか鯖江が異世界の住人だとは思わなかった。思考、行動、センス、何から何まで僕とは何もかもが違う。


 しかし、今まで真面目な優等生を演じてきた反動、という可能性もあり得る。せっかく自分の性癖を吐露し始めたのだから、もう少し様子を観察してみたい。


「……じゃあ、質問を変えよう。可愛くなって何がしたいの?」

「オレが辛い時、孤独な時、いつも癒してくれたのは可愛さだった……。だが、現代は可愛さのレベルが著しく低下している。そう思わないか⁉」

「僕に訊かれてもね……」

「もうリアルの女には懲り懲りだ。あいつらは可愛さというものを、これっぽっちも全く分かっていない!」

「お待たせいたしましたー。マルゲリータピザと、生ビール中ジョッキです」


 まるでタイミングを計ったかのように、間の悪いウエイトレスが料理をテーブルに運んで来た。こりゃあ恥ずかしいぞ……。


「それで女子高生ならと期待して、教職課程に進んだのに無駄足だった!」


 え、まだ熱弁を続けるの⁉

 どうやら彼は女性に優しくされた経験が無いらしく、童貞を拗らせすぎて変な方向を目指しているようだ。というか、今サラッと問題発言が飛び出さなかったか?


「あ、ミラノ風ドリアも追加で」

「かしこまりましたー」


 営業スマイルを崩さないウエイトレスさんもプロである。彼女も充分すぎるほど可愛いと思うのだが、鯖江の眼中には入ってないらしい。


「あいつらは自分が女子高生であることに胡坐をかき、大事な時期に可愛さを磨いていない! これは由々しき事態だぞ!」


 やはりピザにビールは格別だ。酷のあるチーズの旨味と臭みに、ケチャップの甘味と酸っぱさが重なり、しっかりとした生地の噛み応えと非常にバランスの組み合わせが良い。


 また、舌触りに残る小麦粉ごと、それらを冷えたビールの苦みで喉に流し込むと爽快だ。教育実習中は自主的に禁酒していたこともあり、美味さも段違いである。


「ちょっと聞いてる⁉」


 太ることを恐れずピザとビールを食べ続けることに専念していたら、鯖江に腕を掴まれた。最近まともな食事をしていなかったので、食事くらいは邪魔しないで欲しい。


「ああ、ちゃんと聞いてるよ。それで、周りに可愛い人がいないから、それなら自分が可愛くなろうと思ったわけね」

「そうだ! オレが可愛いを作ってやる!」


 もしかしたら、鯖江も普通や一般という名の退屈から抜け出すために、あえて可愛さで自分の空虚さを埋めようとしているのか? だが、その中でも彼は特別であろうとし、女装という手段で見る者に訴えていた。

 そういうことなら話は変わってくる……。


「実際、我ながらオレの女装は可愛いと思っている。まず仲の良い友人にバレたことはないし、知らない男からナンパだってされた。それなのに、どうしてミギー先生はオレの正体を見破れたんだ?」


 僕にとって鯖江先生は魚にしか見えないから、などと正直に言って良いものだろうか?

 少しだけなら教えてみようか迷った末、やはり秘密を打ち明けても僕に利益は無いと判断した。だって原因が不明なのだから、どうせ鯖江に相談したところで解決する手段など見つからないのだ。


 とりあえず、この場から抜け出すことを第一に考えよう。先程の会話から使えそうな情報を引き出し、僕は尤もらしい理由を見つけて鯖江に進言する。


「……さっき仲の良い友人も知らない男も、自分の正体に気づかなかったと言ったな? だが、女性はどうだろうか? たまたま僕の知人に女性の知り合いが多かったから気づけたものの、おそらく女性の目までは誤魔化せていない」

「すると、さっきのウエイトレスさんもオレが男だと気づいていた⁉」

「おそらく」

「うわぁ、すっげぇ恥ずかしい……」


 適当に出任せで忠告したのだが、鯖江の目を周囲へ向けさせることには成功した。これで少しは女性に対する態度がマシになることを願う……。


「でも、感謝する。これでオレはまた一歩、可愛いに近づけた」

「終わりはあるのか?」

「可愛さに上限など無い」

「果てしないな……」


 僕からは魚にしか見えないが、他の人から鯖江はどう映っているのだろう? 可愛い女装男子なんてものは二次元だけの話であって、リアルでやっても見苦しいことが多い。


 ましてや、動物化する前の鯖江はイケメンではなかったし、可愛くなりたい彼が歩もうとする道は茨に囲まれている。どうしたら救われるというのか?


「きっと可愛いを掴んで見せる!」


 そう鯖江が宣言した瞬間、彼は魚から人間の姿に戻っていた。


「え?」


 茫然とする。なぜなら、黒髪の奥ゆかしい美女が目の前に現れたからだ。元が鯖江だという事実を差し引いても、そこらのクソみたいな女よりかは断然に可愛い。


「ん、どうした?」

「いや、なんでもない……」


 うわぁ、直視できねぇ! ってか、どうして突然、鯖江の動物化が解かれたんだ⁉

今夜だけで予想外の出来事が立て続けに起こり、脳が情報を処理し切れていない。とにかく素面ではいられないので、ジョッキに残っていたビールを一気に飲み干す。


「あまり飲みすぎない方が……」

「おかわり!」


 心配する鯖江を押しのけ、僕は酔いに身を任せたのだった……。

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