Ⅸ‐ ⑤


 帰り道。

 なぜか、俺たちの表情は暗かった。

 作戦は見事成功した。恐らく、乱堂恭介もそう長くは学校にいられないはずだ。俺たちは、バカの集大成を完璧な形でやりおおせた。

 それなのに、俺の心はおよそ晴れやかとはほど遠い心境にあった。


「なんだろう? なんかわかんねえけど、すげえ、虚しい」


 俺は呟いた。


「やることはやった。俺たちにできることは、全部」


 サコツの声もどこか頼りない。


「でもさ、マシバは帰って来ないんだよね」


 ロッテの言葉に、みんな黙った。




 俺たちは完璧だった。


 完璧なバカとして、完璧なバカをやって退けた。


 それでもどこか欠けているところがあるような気がするのは、そもそも、俺たち自体が「俺たち」として完璧ではなかったから、なのだろう。

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