第七夜 「ダイエット」とは何であるか?
あみ 「よっすー」
みか 「こんばんはー」
かず 「ばんわー」
†我†「邪魔をする」
あみ 「あのデスね? 結局、間をとって焼肉パーティー、って何なん、あーしら?」
みか 「おいしかったよねー」
かず 「い、いや、美味いには美味かったけども、あんな豪邸とは……」
みか 「んー?」
かず 「ランクいくつなんだ、あの肉……い、いや! 言わんでいいぞ、みかっち!」
あみ 「あのダンディな叔父様、みかっちのパパだったりー?」
かず 「おい……どう見たって執事だったろ、アレ。あんな部屋着、嫌すぎる」
あみ 「マジデスカ」
みか 「爺やのことー?」
あみ 「あ、お爺様だったのね。メンゴメンゴー」
かず 「だーかーらー! それをヒトは執事と呼ぶのだよ、あみっち!」
そこで、かずによる『執事とは何か?』の萌え語りが聞かれてもいないのに始まった。若干、BL寄りに話が逸れると『枯れ専』についての熱弁が始まったが誰も聞いていない。
あみ 「で、デスネー……その、体重計に乗るのが超怖いのデスー!」
かず 「今すぐ乗れよ、乗れば分かるさ」
みか 「ボンバイエー!」
かず 「……何で知ってるのさ」
かず 「ま、それはさておき、増えたら減らせばよい、じゃろ?」
みか 「ハカセー!」
かず 「あみっちにはうってつけのダイエットがあるのだ、聞きたいじゃろ?」
あみ 「はい!」
みか 「はい!」
かず 「みかっちは駄目じゃ。これはあみっちにしかできんエロい奴じゃから」
あみ 「またデスカー! えっちぃの禁止! ダメ、ゼッタイ!」
かず 「セクササイズと言ってな? 一回のセックスでおにぎり一個分の」
あみ 「ぎゃおー! またいー加減なこと言わない!」
かず 「いや、マジだぞ? METsでググれ。きちんとした研究論文があるんだってば」
かず 「原文みたら、緩やかなセックス、一般的なセックス、激しいセックス、でそれぞれ指数が違ってるの見て、研究者たちがどうやって算出したんかマジで気になったね、あたしは」
†我†「セックスとは」
あみ 「はい、アウトー! 我、そこに食いつくのアウトー! ぎゃおー!」
かず 「安静時と比べてどのくらい運動効果があるか、を示しているのだが、緩セが1.0、普セが1.3、激セが1.5」
かず 「ちなみにだな、座って勉強するが1.8だったりする訳だ」
あみ 「意味ないじゃん!」
かず 「食事をするが、1.5」
あみ 「うぇい! そ、それ、増えてるのデスか? 減ってるのデスか?」
かず 「窯でナンを焼くが3.0」
あみ 「何だし、その状況!」
かず 「ナンだけにな」
かず 「伝統的なアメリカンインディアンのダンスが5.5」
あみ 「イメージが全然湧かないデス……どーしてそれを計ろうと思ったん?」
みか 「どんどとっとどんどとっと」
かず 「とにかく楽にダイエットなぞできんのだよ。あみっちはどーせ乳に栄養行くんだし」
†我†「乳に栄養が行くと良く出るのか」
あみ 「はい、アウトー! 我、そこに食いつくのアウトー! ぎゃおー!」
†我†「結局、ダイエットとは何なのだ……」
あみ 「はい、アウトー!」
かず 「い、いや、そこはいいだろ……」
あみ 「女子がダイエットして体重減らしたい!ってのを我が理解するのが嫌なのデス!」
†我†「駄目だ……今回はまるで理解ができない……」
†我†「ともかく、お前たちは体重が増えると困る、そういうことと理解すれば良いのか」
かず 「ですなー」
みか 「ですですー」
†我†「ううむ……」
しばらく間を置いて、再びチャット。
†我†「礼を言うぞ、無垢なる少女たちよ。我はまた現れる。その時はよろしく頼むぞ」
以上、チャット終了。
我と名乗った存在はその後の会話を知ることはなかった。
「ふむ」
代わりに今日知り得た情報を整理することにする。
ダイエットとは――。
今回ばかりはお手上げである。あまり大した情報が得られないままに魔法の効果時間が切れてしまった。ユグーに、より魔法の精度と効果を高めるよう指導しなければならないだろう。
唯一知り得たこととしては、人間たちは一定値以上体重が増えることで諸行動に障害をきたすのだ、ということだけだ。しかも、雌は特に体重が増えることを気に病み、さまざまな儀式によって何とか少しでもそれを減らそうとする傾向が強いようだ。セックス、ナン、アメリカンインディアン・ダンス……どれも意味不明だが、我は何らかの宗教的な儀式の一つであろうと推測する。
そこで、前回送られてきた「写メ」なるものを改めて検分したが、我の思う限り、彼女たちに一回の「焼肉パーティー」とやらで不利益になりそうな身体的変化があったとはどうしても思えない。もしかすると、この「写メ」に映し出された映像よりも身体が数倍にも膨らんでしまったとでもいうのだろうか?
それは確かに……『カワイー』ではないかもしれない。
いや、何を書き記しているのか、我は。これは後で消しておこうと思う。
しかし困った。
今回、我は何を学んだのだろうか。分からない……。
結論:今後、人間に食べ物を与える際には、惜しみなくふんだんに与えること。それにより、彼らは抵抗の意志を失くし、思うように行動ができなくなる筈だ。
追伸:なお、以下は我の水晶板では読むことができなかったが、いずれのために書き残す。
出典:国立健康・栄養研究所ホームページ
http://www.nibiohn.go.jp/eiken/programs/pdf/mets.pdf
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