第16話 本当の東京
上野駅から歩いて大きな池を超えた所に病院は有った、日本医科大学付属病院
ここは随分大きな建物ばかり、広い庭には池が有り、看護婦さん達は真白ドレスの様に長いスカートに首から長い前掛け、眩しい位の看護服だ、きよこは大きな荷物、モンペにズック、手ぬぐいが頭の上に有った、受付まで行くと直ぐにきよこだと解ったのだろう看護室に直ぐに案内された、 先生が来るまで随分長かった「取りあえず事務局に行って来なさい」事務局では寮の話、給金、仕事の時間、の話が有ったが
何が起きているか解らなかった、足が地について居ないとは この事だろう。
病院での実習は何も問題がなかった、丸子で やっていた事と何一つ違わなかったからだ、大きな手術のお手伝いの迫力は丸子では無かったが、なおさら大きな手術は真剣でやりがいが有る仕事だった当初は、小児病棟配属だった、外科にはお手伝い位でしか行かなかったのだがたびたび御呼びがかかっていた、知識はまだまだ先輩看護婦には全く適わなかったが、器具出しは誰にも負けなかった、母にこき使われていたのが 今役に立っていた、元気で退院していく者、亡くなって退院していくもの、病院には喜びと悲しみが極端にやってくる。
すこし病院になれて来ると東京はきらきら輝き始めていた、先生に誘われ食事にも出かける様に成っていた、先生には17・18の実習生は相当珍しいらしく、お金持ちの病院の息子さんとも友達になっていた、患者さんとも友達になっていた、自分では普通の事だったのだが婦長からは、何度も距離を置く様に注意されていた、今思うとなんて田舎者だったんだろうと反省している。嘘の東京から半年、本当の東京に来て一年半、新しい生活は加速しもう2年が過ぎていた
父も住む東京で、東京人になりはじめていた。
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