2. 引越し

カエデが小学校に上がった頃、近所で大きな交通事故があった。その夜から、カエデは夜に取り乱して母親の布団に飛び込んで来ることが多くなっていった。

昼間もどこかビクビクと落ち着かない様子で、急に母親に泣きついてくることもあった。外にも出たがらなくなった。


母親はカエデが恐れているモノに心当たりがあったので、すぐに父親と相談して引越しを決めた。

都会では人が多く、人が多い所には不慮の事故・事件も多く、それ故に霊も多い。

・・・という事で、少しでもカエデが平穏な日常を送れるようにと、いっそ山間の町に家を借りて移り住むことにした。

父親は仕事の都合ですぐには街を離れられず、当面は今の居所に残ることになった。

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