【背景シナリオ】朱の葉に揺れる想いは空深く

一譲 計

1. カエデ

カエデは、小さい頃からちょっと変わった子だった。

言葉を覚え始めた頃からそれは顕れ始めて、誰もいない所で一人誰かとお話をしてたかと思うと、急に泣き出したり、逃げて来たり。


両親は、カエデの「変わったところ」について心当たりがあった。

ある日、階段から二階を見上げているカエデに、母親は尋ねた。

「上に誰か居るの?」

「知らないお坊さんがいたの。でもママが来たら消えちゃった。」。

母親は「そっか。」と答えながら、カエデを抱き寄せて頭を撫でた。


母親は、若い頃に霊が見える体質だった。

その事で随分と悩み、大学に進むまでは誰にも打ち明けられずに一人で過ごしていた。

転機が訪れたのは、大学である男性と知り合った事だった。朴訥な人柄だった彼は、彼女の体質を理解して受け容れてくれた。

その出会いがあってから彼女は徐々に人と接するようになり、無事に就職も出来た。

社会に出て忙しくしている内にいつの間にか霊を見ることが少なくなり、遂には全く見えない体質に変わってしまった。

後にその男性と結婚して、間に出来た子どもがカエデだった。

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