第3話 なんとなく、ただ、なんとなく

 今年は異常気象かな?


 毎日の暑さは一体全体どこからやってくるの? 太陽さん、ぶっ壊れちゃった? なんだったら冷えピタ貼る? 解熱剤も飲む? この暑さは呼んでもいないのに毎日毎日〜 等と言ってもどうにもならないことを考えてみる。アホの所業だ。これはもう手遅れだ。しょうがないね〜まったく。


 そんな僕のひとこと。


 そう、ひとりごとである。



 僕ね? 人が思うほど寂しいとかって、あんまり思わないんだよね。


 強がってるって?

 いやいや、結構な勢いでひとりの時間がないと、暑苦しさに溺れそうになるから大丈夫なんですよ。へへへ、これは不思議でもなんでもないんだよね。僕は本が沢山読めれば幸せだしね。



 ただね〜、音楽が左右する時があるんですよね。自分ではそれもまた良い。って思ってるんですけどね。


 ある人が唄う声が切なさを呼んで、誰かに会いたくなったり、ひとりが苦しくなったりする。目の前が涙で滲んで、景色が見えなくなるくらいに嗚咽を零しながら号泣なんてこともしばしば。誰かに見られたら目も当てられないよ。いや、本当に。ひいいいい。


 あーだこーだ言っておりますが、また脱線の傾向が見えだしたね? これもご愛嬌ね。



 僕はある高校に入学する。

 誰も僕を知らない高校だ。

 逃げるように僕は隣の県に受験したんだ。



 はい。無事、合格。

 良かったね〜、僕。


 毎日の通学が大変なのは分かっていた。それでも、中学生時代よりも生きやすい道を選んだんだ。


 そこで僕は恋をする。

 甘酸っぱい恋をする。


 同じ学校のひとつ年下のカレに。



 僕よりもはるかに背の高いカレは、俳優の佐〇浩市さんに似た人だった。(あえての伏せ字)


 毎朝、僕の住んでいた駅の六つ隣の駅から数人の友達に囲まれるようにカレは乗ってくる。だけど、周りの人よりも背が高くて、どこに居ても薄茶色の髪が見えた。

 僕も二年目には気の合う友達が数人出来て、ぼっちではなかった。だから会話の間にもチラチラと見て見ないフリをしていた。が友達にはバッチリとバレていた。


「ありゃりゃ〜、好きな人できちゃったね〜目が恋してるってさ〜」と余計な言葉を耳打ちしてきた。当然というかなんというか、僕は赤くなる顔を背けて友達のスネを軽く蹴飛ばした。


 最寄り駅に着いて、緊張感から僕は軽い過呼吸になった。息が出来なくなった僕は金魚のようにぱくぱくしながら慌てて降りる。


 カレの居たグループも当たり前だが降りていく。膝を軽く折りまげて息をする僕は何気なく、ちらりとカレを見た。その瞬間だ。カレが僕を見て、力を抜いたように微笑んだ気がした。気の所為だとその時の僕は思っていた。



 僕の淡い恋心は、クラブ活動のない土曜日の夏の午後に友達の姑息な作戦で動き出す事となる。


 それはもう、まだ知る由もない。

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