君と私の恋の始まり
あずきに嫉妬
第1話
恋ってなんだろう。
そう聞かれたら私はきっと困ってしまう。
今までは人よりは恋愛をしてきた方だとは思っている。様々な人と様々な恋をしてきたが、恋の形に定まったものはないと思っていた。お互いの寂しさを埋めるような恋、激しく求め合う恋、平坦としてて味気のない恋。どんな恋をしていても、私はいつもどこかで冷静に自分を見ていた。
君に出会うまでは。
高校に入学して1ヶ月ほどだった。少しずつ慣れていった学校生活と友人関係に、私はどこか疲れていた。
その日、私は久しぶりに一人で帰ろうとして、電車を待っていた。
よく晴れた日で、時折吹いてきた風が心地よく感じられた。ずっとこの静けさに浸っていたいと思っていた私だった。しかし、階段から降りてくる男子高校生のグループに私の束の間の憩いは呆気なく終止符を打たれた。
そして、隣からどっと湧き上がる笑い声に私はとうとう痺れを切らしていったい何事かと頭を上げた。そのまま私は止まった。
一瞬、長い間俯いてたから光に慣れなかったせいかと思った。それくらい君は眩しかった。日光に反射して薄茶色を帯びた前髪が風でサラサラ揺れ、凛とした顔立ちからは笑う時だけ幼さが垣間見え、どこか可愛げがある笑いじわも私の視線を奪った。
心拍が、少しだけ遅れたような気がした。
気づいたらもう君は電車に乗って、発車ベルが鳴り、電車はそのまま行ってしまっていた。
「あ、乗り損ねちゃった。」
小声で呟いて、私は少し微笑んだ。
「別にいいや。」
高鳴る心臓の鼓動だけが、私の体を火照させ、君の存在が幻ではないと私に知らせてくれた。
なぜか分からないけど、君に恋して、いづれ付き合うと、そう確信した。
君と私の恋の始まり あずきに嫉妬 @mika1261
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