025話[GTOターボ]
「ふぅー」
とガレージに戻り、一言目、溜め息。
「あれどったの?」
陽気に八九寺が聞いてきた。
「あの港区組の秋田ってやつが殴ってきたからキ〇タマ蹴って逃げてきた」
「いったそー。っていうか、逃げたのかよ……」
「うん。こぇーもん。暴力沙汰は嫌だ。嫌い」
「お前の行動力すげー」
「だろ?」
「あ、あとで俺んとこ来てくんね?」
ともじもじして八九寺が言った。
「ん?恋バナ?」
と聞いてみた。
「ちげーよ。とにかく、あとでこいよ」
分かったとかえした。
しかし、あのあと秋田はどうしたんだろうか?
ちゃんと帰れてればいいが。
「これこれ」
八九寺に呼ばれ、見に行くとカバーにかかった車があった。
スルスルとカバーを外す。すると顔を出したのはGTOターボ。見た目は普通……。
「……GTOターボがどうした?」
「こいつは、ただのGTOじゃねぇ。WBS搭載車だっ!」
は?WBS?よく分からないことを言うな。
「WBSって言うのは、重量ブレーキシステム。フロントに箱があってその中に球があってな、ブレーキすると箱のどっかに球が当たって自動的にブレーキするってワケ」
八九寺はざっと説明してくれたが……全然分からんっ!
「ふーん。で?」
「テストしてほしいんだよ」
「なるほどねぇ。じゃ、明日だな」
と約束した。
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