019話[RS-X 再始動!?]

「なあ、庵野。走り屋続けんのか?」

ふと、八九寺が聞いてきた。

「あ?ああ。やるにきまってるよ。やらねえとつくれねえだろ?」

「覚悟はあるようだな。じゃあ、退院したらいいもんあげるよ」

と、病室から出て行った。

そして入れ替えで、看護婦さんが入る。

「いい友達ね」

と無邪気に笑う。

「幼馴染なんだ」

と答えた。

「そうなの。いよいよ退院。よく頑張ったわ」

退院か…。

……

退院後…

「お、庵野。退院したんだな?乗れよ」

と八九寺のS30Zに乗った。

「さすが。まだまだ頑張るな」

「だろ?つーか、頑張ってくれねえと走り屋の意味がなくなるぜ」

しばらく裏道を走ると、

[八九寺モーターズ]

と看板がある。すごい違和感なんだけど?

「いつから”モーターズ”になったんだ?」

「ん?パーツ組み直せば売れることに気が付いたんだよね」

「ってことは、整理したってこと?」

「そう。おかげで廃棄パーツが減った」

とその”モーターズ”の敷地に入り降りた。

そこにはレストア済みのハコスカ、ケンメリ、ジャパン、ダルマセリカなどがズラッと並んでいる。

「おい、こっちだ」

見とれていると手招きされた。

「これなんだけど…」

と台車に乗ったボディーとシャシーセットだ。

ボディーはきれいである。

「こんな掘り出しものどっからだよ」

「いやー売るにしてもタイヤねえしエンジンねえし。車検お前持ってるし」

「え?」

今の言葉…。唖然とすると、

「車体番号みろよ」

僕は、八九寺に言われた通り、車体番号を見る。頭の片隅にある、車体番号を確認した。

「まじ…で?」

「まじだ。まじ」

ニッと八九寺が笑った。

「パーツ探し、大変だったぜ。なにせ、お前のためなら良いけどよ」

ははっと笑った。

「RS-X、再起動だな」

エンジンをかけた―。

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