010話[スープラの謎]

ー神楽坂総合病院ー

「あっ、森!大丈夫か!?」

「庵野。今のところ、大丈夫だよ。でも、何があったのかわからないんだ」

心配そうに森は言った。

「ハコスカで―…、事故ったんだよ」

「えっ…。俺が?」

目を見開いて言っている。

「そう。神楽坂の待機所に自分から」

「うそ…。神楽坂で…」

「そう。神楽坂。行くか?」

そう誘った。

「うん」

→神楽坂待機所…

「ほら、この跡。ここに突っ込んだ」

「うん。でもなんでだろう…」

よく見ると、二車線なのだが、事故るようなカーブ出口でもなく、あのときは遮るような一般車がいなかった。あのときは自分から突っ込んだようにしか思えない。

自分から突っ込んだようにも見えないし、突っ込まさせられた訳でもない。

もしかしたらハコスカが自分から突っ込んだ…のか?

そう考えている間にRS-Xの後ろに70スープラが停まった。

「じゃ、行くか」

そう言ってRS-Xに乗り込んだ。

ブォンブォーン!ゴトンブォーーーン…

するとスープラもついてきた。

なんだあのスープラ。秒で離してやる。

スピードを上げてカーブに入る。

グリップが悪いせいで、直ぐ滑る。

「ちょ、何すんだよ」

森はイライラしているが、関係ない。

「後ろのスープラが追ってくるからよ。離すんだ」

ゴトン、

ギアをもう一段上げ、スピードを上げた。

ストレートは遅いが、カーブでは馴れているかのようにドリフトする。

ありゃ、峠仕様だな。

「赤坂PAでで降ろすから、そっから病院に」

「分かった」

スープラが追い上げてきた。

トラックたちを避ける。スープラはよろける。

→赤坂PA…

「庵野、俺みたいに死ぬなよ」

「死なねーよw」

ブォン!ゴトンブォーーーン!…

C1に入るか。

……

ジャンピングクランクカーブで、スープラはアクセルを緩めてバックミラーから消えていった。

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