008話[父子バトル(訂正)]

「え?LD28は?」

久し振りに来た親父が、初っぱな一発目聞かれた。

「ぶっ壊れたよ」

「はぁぁぁぁぁっ!?ぶっ壊れたぁぁぁっ!?」

目一杯叫んでいる…。

「RB26もいいんだよ?」

「だったら証明、しろ」

「分かった。じゃ、C1でやろうよ」

「ふん。C1か。情けは無用だぞ」

「うん。おとこのバトル、って言うんだろ?」

「そ、そうだ」

……

江戸橋JCTから入ると、親父のケンメリは一気に加速した。

直線は、RS-Xが上だが、カーブでは小回りが利くケンメリが上。

どうにかしなければ…。

京橋JCTもケンメリが前。

しかし、事が変わったのは汐留JCT。

少し、ケンメリのスピードが落ちたんじゃないか?

今だ!

アウト側からケンメリを抜かした。

くっ、事故でRB26がパアになるのは御免だぜ。

C1の醍醐味、ジャンピングクランクカーブ。アクセルから足を離さずにクイックイッとハンドルを切る。

すんなり成功した。

こっからはエンブレだけでクリアしなければ…。

……

「お前が言いたいことは分かった。じゃあな」

そう言って親父は帰っていった。

LD28を壊したことは後悔してる。

でもあのとき、アクセルを抜いていれば間違えなく負けてたんだ。

確かに、嫌な音がした一瞬だけ。

ボスン

と。

なんと言うか、圧縮された空気が爆発した音が。

その音がLD28が出した最期おわりのであって、"いままでありがとう"って言う音だったのかもしれない。

僕はLD28の敵討ちとして、悪魔のトレノをオトスしかないんだ。

そう僕は心に刻んだ―…。

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