006話[悪魔のトレノvsRS-X]
「西尾くん、バトルしない?」
「いいですよ。どこからですか?」
「こっから木場から東京港トンネル、サンシャイン60」
了解した。
セルを回し、エンジンを掛ける。
合流した瞬間からトレノは猛加速した。
「はやい…」
一気に150mという距離になった。
ゴォォォォ…
カーブでギリギリのライン取り。グリップしてくれなければ終わりだ。
トレノは未だ遠い。
近づきもしない。
なんでだよ。速すぎるよ。馬力聞けばよかった…。
RS-Xは限界を迎えていた。
これ以上スピードが出ない。
もう終わりか?いいや、トレノに勝たなければ。
この日のためにチューニングしたんだから。
ゴォォォォ…
レインボーブリッジから首都高1号に入る。
そろそろ仕掛けないとだ。
トレノがブレーキをした。
今だ!
一気に抜かした。前に出たけれど、こっからが本番なんじゃないか!
景色が溶けるように過ぎていく。
いつものようにスピードがすごい。
でもこの感覚が好きだ。
もう少しで5.2㎞。トレノはすぐ後ろ。
RS-X、もうちょっと頑張ってくれ!
残り1㎞。しかし、悪いことが起きた。
ボンッ!
エンジンから煙。スピードが落ちている。
え?エンジンブロー?
スピードがどんどん落ちている。
終わった。
トレノも減速した。
……
ボンネットを開けた。
シューッ
一気に白煙が上がる。
「あぢぃっ!」
「大丈夫ですか?」
西尾が聞いてきてくれた。
「だめみたいなようだ」
……
冷えた後ボンネットを開けた。
未だ煙が立っている。
八九寺に頼んでエンジンを下ろしてもらった。
バラしてみるとエンジンブロックにヒビがあり、パーツが溶けていた。
もう、このエンジンで走れないのか…。
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