最後の5分間をテーマに書くコンテストが盛り上がっているようなので、参加してみる
折内光哉
第1話 完
『最後の5分間』
このテーマで小説を書けというコンテストが、カクヨムで大いに賑わっているとの噂をツイッターで仕入れ、自分もこのコンテストに応募してみようと軽い気持ちで行動に移した。
最初に思い浮かんだネタは、カップ麺。
3分、5分と言われればまずカップ麺が頭に浮かぶ。
しかし、このネタは被り易いだろう。なぜならカップ麺は日本人が作ったのだから!
遺伝子レベルで、我々の思考にはカップ麺が存在しているのだ!
なので却下。
次のネタを思い浮かぶまでには、少々時間を要した。(2分か3分くらい)
厳密にいうと何個かは頭に浮かんだのだが、この手のコンテストはネタ勝負。文章の綺麗さや、斬新なストーリー展開は二の次だと考える。
死ぬ間際の5分間や、地球が滅亡するまでの5分間、異世界転生的な理由でトラックに衝突する前の5分間だとかは、おそらく俺がコンテストに応募しようと思った時点で、何人かが投稿している。
一体何をネタにすれば、このコンテストで優秀作に選ばれるのか。
俺は考えた。自分の小説においての長所、短所。書けるテーマ。語彙力。明日のご飯。何とかかんとか――
気付けば俺は、昆虫食について真剣にレポートしているブログを読み始めていた。完全なる脱線である。
しかし、どうでも良い事を考えている時ほど、ひらめきは降りてくるものである。
――大抵の物事には、終わりがある。
――それと同時に、始まりもある。
終わりは、始まりなのだ。
このテーマは斬新であるように感じた。世界観やキャラクターを工夫すれば、魅力的になる。例えば勇者が、魔物のやってくるゲートを閉じる時に、俺達の冒険はここで終わりだが、平和な世界はここから始まるんだ! みたいな。
確かな手応え。俺の文章力ならば優秀賞はもちろんのこと、ワンチャン書籍化、もしかしてアニメ化、さらにもしかして映画化、もしを更にもしかしてハリウッド化なんてこともあるかもしれない。
期待に胸を躍らせる。が、もしもの場合もあるので、念のため現在投稿されている作品を確認してみる。
――そこに在ったのは、数多くの似た様なテーマの作品だった。
終わり≒始まりをテーマにしていると予想できる作品が目立つ。明言はされていなくとも、オチはこの類だと容易に想像できた。
心が折れる音がした。
やべぇどうしよう。参加するの止めとこうかな。だってめっちゃ投稿数多いもん、500くらい作品数あるもん。これ以上良いの思いつく気もしないし。
もうだめだ、おしまいだぁ――
――電流が走る。晴天の霹靂!
思いつく! 起死回生のアイデア!
でもよく考えると大したことない! でも書くしかない!
俺は半ば自暴自棄になりながらも、『小説を書く』をクリックした。
『最後の5分間をテーマにした小説を書くまでの、最後の5分間』
完。
最後の5分間をテーマに書くコンテストが盛り上がっているようなので、参加してみる 折内光哉 @setsunai_koya
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