第4話
俺は漫画以外に本が読めなかった。
周りの友達にも家族にも、特に読書家の人間がいなかったので活字に触れる機会が少なかったことが1つの原因かもしれない。
それに、読書を必要と思ったことがなかったのだ。
[その時]がくるまでは・・・・・・
高校2年の春、俺は彼女と出会った。
クラス分けの結果、俺は理系のBクラスに席を置くこととなった。
本校では2年になると文系と理系に別れ、その中で更に成績により上からABCとクラスを分けられる。クラス分けは基本的にこの一度きりとなっている。
クラスには顔見知りも多くいて、特に不満や不安はなかった。
出席番号順に席が決まっているため、男女が教室の左右で綺麗に別れる形となっている。
担任の教師はそれが気にくわないようで、ホームルームの時間に席替えをすることとなった。
男女で別れず皆で早く仲良くなってほしいそうだ。
席替えの結果、俺は周りに知り合いが全くいなくなってしまった。
不幸中の幸いというのか、隣の女子はとてもかわいい子だった。
元のクラスも、名前も何も知らないことが更に興味を引いた。
見とれていると目があってしまい互いに軽く会釈をした。
それからしばらくしても、彼女とこれといった会話が生まれることはなかった。
それは俺だけに限ったことではなく、彼女は誰とも話をしないのだ。
彼女はいつも、本を読んでいた。
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