第41話

「できた……」


 私の、私たちの物語。



 最期の方は上手く手が動かなくて、拙い字で読みずらいかもしれない。

 だけど、書きたいことは全てこの一冊に出しきったはずだ。



 最後まで読んでくれる人がいるといいな。




 これは私が……私たちが生きた証。


 

「ふふふ」

 嬉しいな。

 君にも読んでほしかったな……





 読み返す度に、君との日々はどんなことだって昨日のことのように思い出すよ。

 それに、まだまだ君とやりたかったことがたくさんあったことを思い出したんだ。

 懐かしいな。

 



 君が私を残して遠くに行った日、私は君をちょっとだけ恨んでしまったんだよね。ごめんね。


 今は、ただただ悔しいだけ。

 君ともっと一緒にいたかったな。

 


 ねぇ、聞いてる?

 私たちの物語が誰かの背中を押す日がきっと来るはずだから安心して待ってて。


 もうすぐ……会えるはずだから。



 これ以上神様が意地悪しなければね。




 



 病院の貸し出しコーナーに新たに1冊の本が増えた。

 それは1冊のノートであり、中身は手書きの文字が並んでいる。

 作者名は書かれていない。


 その本はある少女の遺言と病院の好意によりこの貸し出しコーナーで取り扱うことが決まった。


 


 【一人で生きることは、死ぬよりも辛い】と題されたその1冊を今、一人の少年が手に取ろうとしていた。


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