第24話

 自室に戻る道中、様々な感情が頭のなかでせめぎあっていた。


 足取りは重く、体に力が入らない。気の抜けた体をふらつきながら引きずり、ようやく自分の病室へと戻ってこれた。

 

 自室のドアに手をかけた時には、ひとつの感情だけが僕の中に残った。


 ドアを開けそのままベッドに一直線。



 なんで僕は、こうなってしまうんだろう。



 後悔だけが音もなく病室に広がっていく。


 

 なんで神様は感情なんて面倒なものを作ったんだよ……



 感情なんて自分でコントロールできるものだと思ってた。

 病気になるまでは、君と出会う前までは実際にそうできた。


 だけど、君の前だと全然思い通りにいかないんだ。



 感情がこんなにもコロコロ変わって、温かくて、豊かで、醜いものだなんて知らなかった。



 君に会いたいのに、君に会いたくない。



 真逆の感情が同時に僕の中にある。


 今までそれを矛盾だと一言で片付けていたけど、そんなに簡単なことではないようだ。




 いくつもの奇跡が重なり、僕と君は繋がった。そんなことを僕は君に伝えたような気がした。


 あの時、君は僕を見捨てなかった。それは本当に奇跡だと言ってもいいだろう。


 だからと言って今回も君が許してくれるとは限らない。


 それに、今回も悪いのは僕だ。




 君の選択に委ね、仮にまた君に会えたとして、僕はどんな顔で話せばいいんだ……




 僕は君に謝らなければいけない。



 そして、伝えたいことがある。




 抱えきれずにこぼれ落ちた大切なものを丁寧に拾い上げていく。

 


 忘れてはいけない、忘れられないたくさんの瞬間が僕に勇気をくれる。



 自分でも身勝手極まりないと思うけど、やっぱり1人は辛い。


 僕は君と【生きたい】。



 その気持ちを、今一度強く心に刻んだ。

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