第104話タピオカ

 僕は流行に疎い。

 テレビやネットで「これが流行っています」なんて報道されていても、ふーん、と思うだけで聞き流してしまう。


 大体、流行っていると言っても、大概は東京や大阪などの都市限定での話である。


 僕が住んでいる田舎まではその流行は伝わってこない。

 巷ではタピオカが流行っていると言うが、それもどうせ東京限定の話なのだろう……と思っていた、つい最近までは。


 なんと先日、僕の住む街にタピオカとチーズドッグを売る専門店が現れたのである。

 しかも繁盛している。

 この街の住民は「東京で流行っています」という文言に弱いのだ。


 興味のなかった僕としても、周りの人がみんなタピオカを飲んでいると気になってくる。

 あの黒い豆みたいなヤツ、どんな味がするのだろう……、と。


 せっかくの休日だし、タピオカを飲みに行ってこようか。

 仮にタピオカが一過性のブームで終わってしまったとしたら、僕は一生タピオカを飲まないままになってしまう。

 それは何だか惜しいことに思えるのだ。


 人生に一度くらい、興味の薄いものも経験しておいた方がいい。

 タピオカでもチーズドッグでも、初めてのものを食べてみれば、少しだけ人生は豊かになるはずである。


 食べた結果、感じたことがあったらエッセイにすればいい。

 イケてる人たちはインスタに載せるのだろうが、僕はインスタをやっていないので文章にするしかないのだ。


 カクヨム映えを狙っていきたいところである。

 では、また。

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