第97話食べ放題

 小説を書いていて「あっ、今なら無限に小説が書けるな」と思う瞬間がある。


 気持ちが乗ってきて、ついつい何千文字でも書いてしまう。

 明日も明後日もこのペースで書けばすぐに完結させられるじゃーん、などと安易に予測を立てたりもする。


 が、不思議なもので、数日後にその反動が来る。

 今度はペースダウンして書けなくなってしまうのだ。


 好調が続くことなどない。

 無限に小説が書けるなどというのは幻想である。

 これは空腹で食べ放題の店に行ったときに「今日は無限に焼肉が食べられる気がする……」と思う瞬間に似ている。

 例えが分かりにくいかもしれないが、僕にはそんな瞬間がよくあるのだ。


 当然、肉を無限に食べることなどできない。

 すぐに胃がもたれるし、食べ過ぎたあとはしばらく肉を見たくないという気持ちになる。


 きっと、小説の執筆も同じことなのだろう。

 無限に焼肉が食べられる(無限に小説が書ける)と思って調子に乗ると、反動で食欲が減る(執筆意欲が落ちる)。

 好調のときほどペースを落とした方が、長い目で見たら上手くいくのではないだろうか。


 焦らずじっくり書こう。

 小説は焼肉と違って「二時間食べ放題」というような時間制限もない。


 何年でもかけて、少しずつ上達していけばいいのだと思う。

 唐突に肉が食べたくなったのでこんなエッセイになってしまった。

 何かすいません。

 それでは、また。

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