第93話知識

 知識があって困ることなどない。


 特に創作においてはそうだろう。

 学校で習った国語、数学、理科、社会、英語などなど……どの科目も役に立つのだろう、多分。

 多分、と付け加えてしまうのは、僕自身に大した学力がないからだ。


 学生時代は「将来役に立つから勉強しなさい」と大人たちから忠告された。

 僕はその言葉を全く信じていなかったが、まあ、そこそこ勉強はしていた。

 ただそれは、目的意識のある勉強ではなく、「指示されたから人並みにやっとくか」程度の浅い考えでの勉強だった。


 今、少し後悔している。

 もっと知識を蓄えておけば創作に役立ったはずだ。

 知識なんて、あればあるだけ有利なものである。


 人気ライトノベルでも学問的な知識が散りばめられている作品は多い。

「文学少女シリーズ」では文学、「狼と香辛料」では経済学、といった具合だ。

 また、SF要素のある作品では当然、科学の知識が必要になるだろう。


 自分の知識の無さが嫌になることもある。

 だが、これは完全に僕の努力不足だ。

 なぜなら、知識を得ることに才能は関係ないからだ。


 今まで努力してこなかったのだ。

 言い訳のしようがない。


 ……まあ、しかし、過去を嘆いてもしょうがないのも事実である。

 学生時代の勉強不足は、今から補うしかない。


 誰から求められるのかも分からない小説を書くために、誰かに強制されるわけでもなく勉強をする。

 そんな、意味があるのかも分からないことをしようとしている。


 子どもの頃は、こんな大人になっているとは思わなかったなあ。

 まあ、何だかんだで今の暮らしも悪くないけどね。


 では、また。

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