第8話ヒロインには自分の理想が滲み出る

 小説を書こうと妄想を膨らませるとき、まず最初にヒロインのことを考える。

 主人公のことは後回しだ。

 とにかくヒロインさえ可愛ければ、ストーリーを考えるモチベーションは保たれる。


 ただ、ヒロインには自分の女性に対する理想像が滲み出るものだ。

 だから、いつも似たようなキャラクターを作ってしまう。


 具体的に言うと、小柄で、メガネっ娘で、黒髪で、控えめな性格で、主人公のことを一途に大好きでいる。

 ただ、めちゃくちゃヤキモチ焼きで独占欲が強い。

 主人公が他の女の子と話していると不機嫌になる。


 ああ、こうやって特徴を並べているだけで可愛い。

 僕の理想が詰まっている。


 もちろんこれらの理想は、二次元キャラに対してだけ抱くものだ。

 二次元と三次元は違う。

 現実でヤキモチを焼いて不機嫌になった女性はきっと怖い。

 大して女性との関わりがない僕にだって、そのくらいのことは分かる。


 さて、小説の話に戻そう。

 黒髪のメガネっ娘ヒロインを考えた後、僕はいつも頭を抱える。

 他の魅力的なキャラクターを、どうやって作ればいいのかわからなくなるのだ。


 脇役を考えることは難しい。

 あと、ストーリーを考えることや、風景を描写することや、上手いセリフ回しを考えることも難しい。

「全部ダメじゃねーか! お前は一体何ができるんだよ!」

 と、自分にツッコミを入れたくなる。


 難しいと言って逃げていないで、とにかく書いてみるべきなんだろうけど……。

 書いてみることが難しいのだ。

 あっ、また「難しい」と言って逃げてしまった。

 これはいけない。


 好きな物語を紡ぐために、まずは頭の中でキャラクターを考えることから初めてみようと思う。

 黒髪でもなくて、メガネっ娘でもないヒロインを、まずは一人……。

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