第6話友達のいないギター初心者

 一人の部屋で、ジャーンッ! とギターを鳴らし、悦に入る。

 そんな行為が日課になりつつある。


 僕はギター初心者だ。

 七年前に購入してすぐに挫折したギターを、最近また弾き始めた。


 購入した当時は、

「よーし! めちゃくちゃ練習して誰よりも上手くなって、作曲もできるようになって、周りの人からも賞賛されるぞ~!」

 などと意気込んでいた。

 その結果、自分に対するハードルが上がりすぎて、すぐにやめてしまった。


 ハードルは低くしておいた方がいい。

 今ではそう感じる。


「ちょっとずつ上手くなればいいや」

 くらい気楽に思っていた方が、毎日続けるためにはいいらしい。

 効率よく上手くなろうとしすぎると、練習が苦痛になってしまう。


 ただ、演奏を聴いてくれる観客が必要だと思うことはある。

 僕の持論なのだが、どんなことでも誰かに発表しなければ上達しないと思うのだ。


 しかし残念ながら、僕には演奏を聴いてくれる人はいない。

 友達がいないから。


 小説やエッセイならネットで発表することができる。

 だけどギター演奏となると……どうすればいいのかわからなくなる。


 最初に思い浮かぶのは、YouTubeなどの動画サイトだ。

 早速検索してみると、すぐにギター演奏の動画がたくさん画面に表示された。

 片っ端から再生してみると……うん、超上手い人しかいない。

 僕のような初心者が投稿しても、場違いでしかないと感じた。


 YouTubeへの投稿をすぐに諦めた僕は、とりあえずギターを抱えてピックを振り下ろす。

 じゃらーん、とへなへなした音が鳴った。

 超上手い演奏を聴いた後だと、自分がより下手になったように錯覚してしまう。


 まあ、いいや。

 僕は僕で、ちょっとずつ上手くなればいい。

 誰にも聴いてもらえなくても、毎日弾いてさえいれば、少なくとも昨日の自分よりは上手くなるだろうから。


 楽器でも文章を書くことでも、地道にやっていくことが大事なのだと思う。

 カクヨムに毎日投稿している人たちを見習って、日々精進。


 無理しない程度にコツコツやっていきたいものだ。

 それでは、また。

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