眠り姫とリン

アサト

第1話

『にゃーお』

朝の通学路、いつもの黒猫が僕の足にすり寄ってくる。

「リン、おはよう。」

この黒猫はリンという。

といっても、野良猫なので、

僕が名前をつけた。

凛とした力強さを感じるからリン、

単純な名前だが、どうやらリンは気に入っているらしい。

リンはうちで飼っている猫ではない。

だが、毎朝どこからか現れては僕に近寄ってくる。

どこに住んでいるかも、

どうやって食べ物を得ているのかもしらない。しかし、毛並みは悪くないようだ。

「…リン、病院来るか?」

僕がそう聞くとリンは首をふるふると振る。

「どうして病院には近づきたがらないんだろうな。」

僕は毎朝、学校へ行く前に病院へ通う。

少しでも、昨日より良い方に変わっていることを願いながら。

リンはしばらく僕の隣を歩いていたが、

遠くに病院が見えて来ると、

細い路地へと入っていった。

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眠り姫とリン アサト @ayuka940201

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