第29話見えない世界の市場の日
家の中がざわついているある夜。
「今日は商いの日なんだって。」とユーダが言う。
飽きない?あ、商いの日?
あちらの世界で行商をする人々がこの地域へやって来て、神社や仏閣など簡単に外出が出来ない場所にいる人たちの為に商売をするらしい。
神様は何もいらないだろうけれど、おつきの存在たちは欲しいものもあるかもしれないし。
今はいるのかわからないが、龍神様の神社の宮司さんとかああいう人たちのために色々持ってくるのかもと、想像している。
大勢おしかけるらしく、出入り口になっているしかるべき由緒正しい場所は(ネット非公開ね)長蛇の列らしい。
「一時間待ちなんだって。暇らしくてここにまで来てる。」とユーダ。
まるで、空港の入国審査みたいだね。
そのうち、ユーダが通訳できることを知り、私にまで売り込みをかけるのが現れた 笑。
見ることも触れることも出来ない代物を売りつけるとはなかなか度胸がある。
「こちらの世界においでになった時には絶対お役に立ちますよお。」と営業トークまで真似るユーダ。
「そう言うけど、あたしはあと50年は生きるつもりだし。」と言ってやると、敵もさるもの、「さようでございましょうとも。」とへらっと返して引き下がった。
……それにしても、何を売るつもりだったんだ?
次にコンタクトをとった商人は「ドミニック商会」と名乗った。
どこかの特産品の希少価値の高い石を売っているという。虹色に光輝いて美しいのだそうで、飾り物として珍重されるようだ。
お爺さんと息子さんとお孫さん三代で切り盛りしているらしいが、「ここにいるのが息子で」と言われても私には全くわからんし 笑。
疫病神様改め長珠さまや、龍のヒーローレベルなら、存在感がすごいんだけどね。
ただ、気のいいあきんど三人衆が並んでにこにこしているのを想像して、見れないのが残念だなと思った。
「商いの日」はいつか決まっているのかと尋ねたけど、ユーダにはわからないらしい。
次元の階層によって色々な部分が違うのだろうけどね。お金が存在しない世界もあると思う。
又ある別の日の夜中のこと。
ユーダが外から声が聞こえるという。「火の用心!みたいな感じで叫んでる」そうだ。
その文句はというとこれ。
「独り寝の人はいませんか~!!」
はあ?なにい?なにその、いかがわしい感じ?
ちょっと、中学生に変な事吹き込まないでよ。と、思ったら違うようである。
『守護の修行をしている存在が、研修の一環として、余命いくばくもないお年寄りを担当するという取り組みがある』とユーダは言っている。
対象者を探しているのかな?
応えるのは、こちらの人間なんだろうけど、ユーダのような人間にしか聞こえないやり方をするのは、何でだろ。
眠っているとき人間の魂はコンタクトがとりやすくなっているのかもしれない。
希望するお年寄りが魂で応えるようにかな?
それにしても、インパクトあるな。「独り寝のひとはいませんか」…
ユーダによそで使うなと言っておかないと 笑。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます