第9話 ガイドとの日々

 ユーダの中学校でのドッジボール大会。

もちろん彼はボールは受けない。逃げる専門である(キッパリ!)。


当初、うちのクラスは弱いからと言っていたユーダだが、みんな頑張って

勝ち進み、決勝までこぎつけた。


競技は運動場で行われていた。

いざ決勝の試合になると・・・


突然空に黒い雲が沸き立ち、なまあたたかい風が吹き始めた。

「急にどうしたんだろう」とユーダが不審がっていると、彼の頭の中で

ヒーローが自信たっぷりに一言。


「演出だ」 


せっかく盛り上げてもらったのに試合は負けたそうである。

相手の三組が鬼畜だったせいだという(どんなドッジだよ?)。


「ヒーローはあざとい!」

ユーダは身も蓋も無かった。


…ガイドも大変である。




 ある日の理科の授業中。


人類がまだ存在していない頃、現在我々の住んでいるこの辺りは火山が

多く、植物も生き物もあまりいなかったらしい。


その話を聞いて、ヒーローが何だか懐かしそうにしている。気付いた

ユーダが心の中で尋ねると、彼は少しドギマギした。そして、ある映像を

送ってきた。


火山の火口近くで大勢の龍が座ってたたずんでいる。

ティラノサウルスぐらい大きな龍もいる。

火口の縁を掘って中に埋まってくつろぐ。龍的には岩盤浴なんだろう。


この地域は昔から龍と縁が深いんだよと、ユーダ。

ヒーローも龍のふるさとを思い出していたんだね。





 卒業式の練習中。


先輩に対する感謝の気持ちを歌った曲を歌いながらユーダは思った。

「お世話になった先輩なんかいなかったなあ。」(笑)

からんでからかってくるメンツばかりで実は辟易していた。


でも、ガイドのヒーローに対する感謝だったらある。

その年の9月にやってきてから、ずいぶん助けてもらって、お世話になった

なとユーダはしみじみ考えていた。

すると……


「ありがとな。おまえがそう思ってくれるなら、これから俺ももっと

がんばらなきゃいけないな。」

心の中のヒーローの目が涙でにじんで見えた。

見た目と違ってけっこうエモーショナルな龍である。



 この頃はユーダが小さいころから一緒だった龍の「ドラコ」はどこかへ研修に

行っていて、近くにいない。

ついているのは二人。いろいろ有意義だったんだけども、

事はそううまくは行かなかった……

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