LASTArk 5

「痛っ!!!」

「きゃっ!!!」

「ぐぇっ!!」

「へぶっ!!」

ドスンと音をたて、四人は地面に叩きつけられた。

「いっ、たぁ……………」

アリマが腰を擦りながら起き上がった。

「みんな、大丈夫か!?」

アリマが声をかける。

「はい、大丈夫です……」

「なんとか…」

「大丈夫だよー」

他の三人がアリマの声に答えなが起き上がった。誰も怪我はしてないようだ。

「他のみんなは…………?」

カリンが尋ねる。

ここにいるのはアリマ、カリン、カピラタ、フォスターの四人だけだ。

「分からない」

爆発で吹き飛ばされたときにバラバラになってしまったのだろう。

「あの魔方陣はなんだったんだ……」

「風がね、罠かもっていってるよ」

カピラタの言葉にアリマは頷いた。実際に罠をかける魔法は実在する。

「いや、あれは罠ではありませんね」

フォスターがそう二人の会話に入ってきた。

「罠じゃないの?」

「うーん…………正式にいえば罠の分類になんですけど………誰かがしかけた罠じゃないんですよ」

「どういうことだ?」

アリマがフォスターに問いかけた。

「ナチュラルスクエアというものがあります」

この辺りは大地に流れている魔力が強い。そしてその魔力の流れにも強いところや弱いところが存在する。

その中でも魔力が、ある一点に大量に流れ込むところがあるそうだ。

その流込んだ大量の魔力によって自然と魔方陣が作られる。

「それが「ナチュラルスクエア」です」

その魔方陣は誰かが踏むと発動する。効果はさっきの爆発以外にも毒魔法や磁力魔法などがある。

「つまり、私たちはそれを踏んでしまって吹き飛ばされてしまったのですか……」

「そうですね……」

「まさかこんな形で離れてしまうとは……次からは気を付けないと」

「うん、風も気を付けようって言ってる」

とりあえず他の皆を探さなければならない。バラバラになったところをあのグループに狙われる可能性もある。

「よし、早いとこ見つけて合流しよう。いくぞ」

「「「はーい」」」

アリマの言葉に返事をし、四人は森の中を歩いていった。

***

「わああああっ!!!」

ドスンッ

大きな音を立ててコエは地面に着地した。一応落ち葉などが溜まっているところに落ちたのでそんなに痛くはなかった。

「なんなんださっきのアレ………」

コエがボソッと呟いたそのとき、

「うわぁああああ!?」

ドスンッ

「ぐえっ!!」

上から誰かが降ってきた。コエは呻き声を出して、押し潰された。

「あ!コエくん!」

上から降ってきたのはシンだった。

「良かった、皆とはなれちゃったかと思った……」

「と、とりあえず………降りて………」

シンははっとし、いそいそとコエの上から降りた。

「ごめん………」

「いや、だいじょうぶだから。ね?」

しょぼんとした顔をするシンにコエはあわてて慰める。

「そこに誰かいるの?!」

声が聞こえ、ガサッと茂みから音がした。

二人は音のした方を向き身構えたが茂みから出てきたのはルアルとユースだった。

「なんだ、お前らか」

「二人とも怪我はない?」

ルアルの言葉にコエとシンは頷く。

「あの、さ……さっきのってなんなの?」

コエが周りにそう言った。

「あれは……えーっと……ナチュラルスクエアってやつだと思う……」

ルアルがそう答えた。

「あ、あれがか…………」

コエは昔に聞いたことがあった。

そのときはちょっとポンっと跳ねるくらいのものだと思っていたが、実際にはとんでもないものだと認識した。

「ナチュラル……スクエア?なにそれ」

シンは頭にはてなマークを浮かべる。

「要は天然にできた魔方陣のことだ」

ユースがシンに簡潔な説明をする。

「あんなでっかいやつには俺も初めてかかったけど……まずいことになったな」

「みんなバラバラになっちゃった…」

あのグループが潜んでいるかもしれないという森で散り散りになってしまったのだ。ここはまだ四人と人数があるものの、他のメンバーが運よくまとまっていると考えるのはちょっと無理がある。

「とりあえずコエさんが見つかったのは不幸中の幸いだとして………一人の子がいるかもしれないし…

「「……………………」」

暫しの沈黙。

「よ、よし!!皆をさがしに行こう!?」

コエが沈黙を破ってそう言った。確かにこの状況は調査を行うより仲間を集めたほうがいいだろう。

「そうだね」

「なら、そうするか」

他の三人も頷く。

「よし!!じゃあ俺についてこいっ!!」

「あ、ちょっと!?コエさん!?」

駆け出すコエをルアルが止めようとするも後ろから「ほっとけ」という言葉が飛ぶ。

「え……いいの……」

「急ぐと判断が鈍るし、なにより下手に動くと─」

ドーンッ!

さっきよりは小さいが前方で爆発音が聞こえた。少し遅れて「わーーっ!!」と、いうコエの悲鳴が聞こえてくる。

「あ」

「またこうなるからな。ゆっくり進んだ方がいい」

「はーい」

三人はゆっくり、周りに警戒しながらコエの後を追いかけていった。

***

ドーンっ

どこからか爆発音が聞こえた。

「何?この爆発音?」

マリアが廃墟の窓から外を眺めて尋ねた。

「誰かがナチュラルスクエアでも踏んだんでしょうね」

隣にいたテイラーが答える。この辺はだいぶナチュラルスクエアがある。

「おい、怠惰野郎。ちょっと見てこいよ」

「は?やだ」

ルシフェンは即答で断られた。

「はぁ?お前がふらふらとどっかいくから情報が流れ出てんだよ!ミッシェルからなるべく出ないようにいわれてんのによぉ」

見つかりにくするためグループの面々はなるべく行動を押さえていた。

それに廃墟の周りに結界をはったため誰かが通るたびに解くのがめんどくさいのだ。

「それとこれは関係ないし。だったらあんたが見に行けばいいでしょ?」

「まあまあ、ケンカしないでくださいよ」

「くじで決めたらいいのでは?」

ミッシェルの案で結局くじとなった。

「なんで俺が……」

「私をこきつかった罰」

「まあまあ、そう言わずに」

「ぐちぐちいっても仕方ないし、いこう?ね?」

当たりをひいたのはルシフェン、クレイグ、テイラーの三人だった。

不満そうなルシフェンを二人は半ば強制的につれて廃墟から出ていった。

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