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ɪ


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「うわああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」


ルタンがエニーのナイフを奪ったのか、ナイフを手にこちらへ向かってくる。


ダウンッ


地面に向けて銃を撃った。

銃弾は地にめり込み土埃を上げる。

瞬間、隙ができた。

足が止まったルタンからナイフを取り上げた。


「ルタン、、、こいつの、、、ワズの意思を無駄にするな、、、!」


ルタンは目を見開きこちらを見る。

しばらくすると、その場に膝から崩れ落ちた。

茫然とこちらを見ている。


「兄さん!兄さん、、、!なんで!兄さん、、、!」


エニーは兄の元に駆け寄っていた。

兄は何も答えることなくまぶたを下ろしている。

もう開くことはないだろう。


「はぁ、、、はぁ、、、はぁ、、、」


自分の息が荒くなっていることに気づいた。

深呼吸をしようとするがうまくいかない。

かつてないくらいに重い一太刀だった。


呼吸が落ち着くのを待つ。

エニーの泣き声が耳に入る。

ルタンはまだ茫然としているが、視線は兄妹に向いていた。


俺も考える時間が必要だと思った。

剣を握ったままに動き出す。


右脚に激痛を感じた。

そうか一撃貰っていたんだったな。

今にして思えばあの弓は見事だった。

俺を殺さず、それでいて戦意喪失させない。

そんな一撃だった。


コツン


コインを踏みつけた。

そうだ、これも放っていたんだな。

放ったときはまだ気づいてなかった。

ワズが何を成そうとしていたのか。


小さな火を灯す薪が見える。

愚直な男が焚火を蹴るという奇襲、いわゆる卑怯な手を使った。

プライドを捨ててまで臨んだ戦い。

相当な覚悟があったに違いない。


玄関のドアノブ握るとドアノブが赤く染まった。

左腕の傷を止血していなかったことに気づく。

幾度と剣を合わせたが3日前とは別人だった。

一太刀一太刀が覚悟のある一撃だった。

それでもあいつは俺を殺すつもりではなかった。


一階のいつもの椅子だ。

腰掛ける。

剣はそばにおろした。

しばらくして呼吸が落ち着いてきた。


これからのことを考えたが考えがまとまらない。

床に視線を落とす。

木の木目をなぞっていた。

きれいな木目だと思った。


ギキィ


戸が開く音がする。

ルタンかエニーかわからないが誰か歩いてくる。

剣を拾わなければ、、、


「ねえ」


顔を上げる。

長い黒髪に白い顔があった。


「私、貴方についてく」


何を言っているんだ?

言葉を理解しようとするが視界がゆがむ。


「その前に少し休んだほうがいい」


優しいような冷たいような、そんな声が頭に響いた。

疲れていたのか、そのまま眠気が襲い掛かり意識を失った。





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