1-2

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「ワズ!まずい。明かりがある!」

「わかってる。静かにしてくれ」


小声でルタンとやり取りする。

左にいたルタンは少し怯えたのか槍を構えながら一歩遅れるように動いた。


「ルタン、大丈夫だよ。気を強く持って」

「う、うるさい。僕はビビッてるわけじゃない」


真後ろを歩いている俺の妹のエニーがそう言う。

年齢はルタンよりふたつばかり下なのだが、覚悟は決まっているようだった。


「ルタン、エニー。最初に決めたとおりだ。俺らの家に入ったやつは問答無用で殺す。いいな」

「ま、任せてくれ」

「わかった。私は遠くから援護する」

「任せるぞ。ルタンも隙があればその槍で頼むぞ」

「わかってるって!」

「…兄さんも気を付けてね」


エニーが場所を変える。

エニーは弓を扱えるため俺とルタンを撃たない位置に動いた。


ルタンはルタンで槍を構えながら家屋に詰めていた。

槍といっても立派なものではなく農具を改造したもので長さは身長ほどしかない。


「ワズ、君の剣が頼りなんだ。わかってるよな」

「あぁ」


短く返事をする。

玄関の戸まであと10歩ほどのところまで来ており集中していた。


大丈夫。

親父がいた時と同じようにやるだけだ。


…ギキィ


戸がゆっくりと開いた。

剣を握る力が強くなった。

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