第13話 セリス
「ん、んー?ここ、どこだ?あぁそうか。ここは大迷宮か。体が痛てぇ。早くポーションを飲もう」
体を引きずるように神聖石を置いていた場所へ行き、溜めておいたポーションを飲む。
「はぁー!生き返るぜぇー!さて、そろそろ俺を舐めてくれた奴のところへ行くか!」
そして奥の部屋へ向かい、扉を開ける。そこには、
「はぁい!いらっしゃい!私がこの大迷宮の管理者のセリスです!よろしくね!」
そう言った彼女の見た目は幼い。童顔で身長も150cmもなさそうだ。そして髪は腰ぐらいあって髪の色は銀色だ。そして目の色は青色。さすが異世界。そして俺はセリスに近付いた。
ビシッ!
「いっったぁぁぁぁぁい!!何すんのよ!」
俺はセリスにデコピンをくらわした。今までのストレスを全て解消はできなかったが、少しスカッとした。
「お前が門番とか置いたせいですごく面倒だったんだよ。それになんだあの腹立つ看板は?馬鹿にしてんだろ?」
「だって師匠に門番は絶対に置くように!って言われたんだもん!気に入ってくれた?面白いでしょ!」
「なにも面白くなんかねぇよ」
「えー、つまんなぁーい」
「おい、ここのことと他の大迷宮のことを教えろ」
「ふん!」
「おい、なに無視してんだよ」
「私の名前は、おいって名前なんかじゃないもん」
こいつ、超めんどくせぇ。
「…セリス、ここのことと他の大迷宮のことを教えろ」
「何その頼み方。もっと頼み方ってものがあるんじゃない?」
「てめぇあんま調子にのんなよ?」
グギギギッと音がでそうな威力でアイアンクローをかます。
「痛い痛い痛い痛い!ご、ごめん、謝るから離してぇ!痛いよ!」
「なんだその謝り方は?もっと謝り方ってものがあるんじゃないか?」
俺は悪そうな顔でさっき言われたことを言い返す。
「ご、ごめん、ね?もうあんなこと、言わないから離して?」
「普通、謝る時ぐらい敬語だろ?」
「ごめんなさい!」
「ふんっ、ほらよ」
俺は鼻で笑い、アイアンクローをやめてあげた。すると、セリスが大声をあげて泣いた。
「うわぁぁぁぁぁん!痛かったよぉぉぉぉぉ!この悪魔ぁぁぁぁぁ!死んじゃえぇぇぇ!」
「自業自得だ」
「うわぁぁぁぁぁん!」
その後、セリスは泣き続けたのでほっておき、机の上にあったメモみたいなものを読む。そこに書いてあったのは
「本当の大迷宮は4つだけだと?あとセリスのことをお願いしますって、はぁ?」
俺はセリスを見る。するとセリスが涙目でこちらをみる。
「わ、わた、しね?ぐすっ。師匠に言われたの。ぐすっ。ここに来た人と一緒に、外に出なさいって。ぐすっ。」
「そ、そうか」
相当痛かったのだろう。でも泣きながら教えてくれた。
「ご、ごめんな?いくらなんでもやりすぎたよ」
「ぐすっ。。許さない、だいっきらい!」
セリスはすごく怒っている。頬を膨らましてふんっ!と俺とは逆の方向を見ている。
「そうか、悪かったな。次ここに来た人とここをでてくれ」
そう言い俺は立ち上がろうとすると、腕の袖を掴まれた。
「あのね、師匠に言われたの。ちゃんと、ここまで来た、黒輝ソウタと一緒に外に出るんだよ?って。だから、ソウタと一緒に行く。」
「なんで俺のことを知ってるんだよ」
「師匠は未来を視ることができたから」
「そうなのか。でも、俺のこと嫌いなんだろ?」
「嫌い。だけど、師匠のいいつけは守らないとダメだから」
「なんでそんないいつけを守るんだ?」
「師匠が最後に私に残してくれた言葉だから」
そうセリスは悲しそうに言う。
「師匠はもういなくなったのか?」
「うん」
「他に師匠に言われたことはあるか?」
「うん。あそこにあるボタンを押せって。あとは、幸せになれって言われた」
「はぁ、お前何歳なんだ?」
「女の子に年を聞くとかさいてぇ」
「いいから教えてろよ」
「152歳」
「は?」
「152歳だってば」
「え?お前、人間じゃ、ない、のか?」
「うん。私は魔人族と人間のハーフなの。だから普通の人間じゃないの」
「そうなのか」
そう返すと、セリスはなぜか不安そうに俺を見る。
「なんだ?どうかしたのか?」
「私のこと、気味悪がらないの?」
「なんでだ?」
「だって私、魔人族と人間のハーフなんだよ!?他の子はみんな、それだけでいじめてきたんだもん。」
そうするとセリスはまた泣きそうになったので頭を撫ででやる。
「セリスは気味悪くなんてない。だってこんなにも綺麗な髪や顔をしているじゃないか。それに、ウザイほど元気だしな。だからそんなこと気にすんなよ」
「本当?」
「あぁ、本当だ」
「そ、そっかぁ」
セリスは顔を赤く染め、嬉しそうにしている。
「決めた!私、ソウタと一緒に行く!それでソウタに幸せにしてもらう!」
「は、はぁ!?何言ってんだよ!一緒に外にでるのはいいが同行は拒否するぞ!」
「やっぱり、私が気味悪いから、そんなこと言うのね?さっきのは嘘だったんだ。ぐすっ。」
「嘘じゃないって。それは、だって、その。ほら!男女二人で旅とかにでると恋人とか婚約者に思われるぞ?」
「私みたいな女が恋人や婚約者に見られたくないんだぁぁぁぁ!うわぁぁぁぁぁん!」
「あーもー、泣くなよ!わかったよ!連れて行けばいいんだろ!」
「やったー!」
「て、てめぇ!」
女の涙に弱いソウタであった。そして、ソウタとこれから共に行動する相棒、セリスがこの中を案内する。
「ここにはね、師匠が読んだ本がいっぱいあるだよ!」
「そうなのか。つーかお前、めちゃくちゃ元気になってんじゃねぇか」
「だってソウタが嬉しいこと言ってくれたんだもん!」
セリスの周りに花びらがとんでいそうな幻覚が見える。すごく嬉しかったんだな。そう思う俺はこいつに毒気を抜かれてしまったんだなと思う。
「ここにある本ってどんなのがあるんだ?」
「いろんなものだよ!魔法とかこの世界の生物とか!」
「本当にいろいろあるんだなぁ。読んでもいいか?」
「いいよ〜」
俺は本をとりパラパラとページをめくりながら読み、それを読み終えると次の本を読む。
「あ!師匠と同じ読み方だ!どうやってするの?」
「……」
ソウタには聞こえていない。いったん本を読み始めると、すごい集中力を発揮し、周りの声が聞こえなくなるのだ。
そして、その場にある本がなくなるまで読み続けてしまうので、何日も飲まず食わずが続いたことがあるぐらいだ。だがそんなことを知らないセリスはソウタの膝で寝ている。ソウタを起こしたかったが無駄だったので寝てしまったようだ。
数日後、すごく怒ったセリスに謝りまくっているソウタがいた。
「別にいいよー?私より本の方が大事ってわかったからね。本と結婚しなよ。この読書星人」
「そ、そんなこと言わないでくれよ。ほら、こっちおいで?頭撫ででやるぜ?」
そう言うと黙って俺の前まで来たので頭を撫でてやる。なんで俺はこいつに、こんなにも甘くなってしまったのだろうか。
「なぁ、セリス」
「なぁに?」
「俺に何か魔法でもかけたか?」
「?どういうこと?」
「なんで俺はこんなにもセリスに甘くなったんだろうと思ってな、セリスになにかされたのかと思ったんだ」
「私はそんなことしませんー!でも本当だね、最近すごく優しくしてくれるよね」
「なんでだろうな」
「なんででしょうねぇー」
二人でそんなこと呑気に言っている。なんやかんやあっても、二人ともお互いに心をもう許している。
「そろそろ外にでないか?」
「そうだね!そろそろここにも飽きてきた頃だしね!」
そう言い数日前、セリスが言っていたボタンのある場所まで行く。
「それじゃあ押すよー?」
「あぁ」
ボタンを押すと優しそうな女の人が出てきた。
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