第12話 100階層
黒い影を見つめていると、形を変え始めた。すると、どんどん人の形になっていき、腰に刀みたいなものをさげはじめた。すると、看板が落ちてきた。
《こいつはなんなんだ?みたいな顔をしているね?この影はここに来た人をコピーするんだよ!あとコピーした人と全く同じ実力になるんだよ!もちろんスキルも使えるよ!すごいでしょ!》
なるほど、要するに俺自身と戦えばいいだけか。
「おい、偽物野郎。俺の分身なんだろ?ならあまり期待を裏切らないでくれよ?」
すると敵が消えた。
まずい、これは、神速か!?
気付いた時には既に殴られていた。そして壁にめり込むほどの威力だ。
「ほ、ほう?中々やるじゃないか?」
そう強がる。
強い。さすが俺の分身なだけはある。
そう思っていると神速を使った分身が目の前まで来て、さらに俺をめり込まそうと殴ろうとしてくる。それを間一髪のところで避け、距離をとる。
「おいおい、刀持ってんだろ?なぜ刀を使わないんだ?」
返事はない。なにか話してくれよ。だが予想はつく。俺が刀を使う場合は雷切を使用する時か、強敵と戦う時か、面倒くさくなった時だけだったからだ。
そうすると、今こいつは俺相手に刀を使うまでもない相手だと思っているのだ。
「俺のこと舐めすぎだろ。思考回路まで同じとかふざけんじゃねぇよ」
俺はすごく負けず嫌いだ。だから手を抜かれたりするとすごくムカつく。
「本物の神速を見せてやるよッ!神速ッ!!」
神速を発動させると、敵も神速を使用してきた。見えない。それは敵も同じようだった。
「あーそうか!こいつは今の俺をコピーしたんだろ?なぁ!そうだよな!」
俺がそう大声で言うと、看板が降ってくる。
《そだよー。でもね、君が強くなればなるほどコピーした子も強くなるからね!》
「めんどくせぇもん置いてんじゃねぇよ!!」
はぁ、ならどうやって勝つ?何をしても同じことを仕返されるんだろ?
そんなことを考えていると敵が黒いオーラを放ちだした。
「限界突破か。なら俺も使うしかねぇな。限界突破、Lv10ッ!」
限界突破を発動させるとすごいオーラがソウタから流れでる。なぜいきなりLv10使ったかというと、出し惜しみをした瞬間負ける相手だからだ。
そして刀を引き抜くと敵も刀を引き抜く。
「そんなにまねっこして楽しいのか?」
返事が返ってこないとわかっているが、そんなことを言う。そして、とりあえず神速の動きを捉えるためにイメージする。そして、発動させる。
「心眼ッ!」
心眼を発動させた瞬間、敵が神速を使用してきた。見えないが、どこから来るかがわかる。俺の背後に来た瞬間に切りつけると、左腕を切り落とした。
「どうだ!」
これがフラグというやつだ。切り落としたはずの左腕は消え、切られて無くなっていたはずの腕が元通りになった。
「……」
何も言えなかった。せっかくのチャンスが無駄に終わったからだ。
「こうなったら再生出来ないくらい、木っ端微塵に吹き飛ばしてやる。神撃ッ!!」
だが避けられ、反撃を受けるが刀を使いいなす。そして接近戦が始まった。
ソウタの攻撃がいなされる。逆に敵の攻撃もソウタはいなす。それは、神速と心眼を使いながらの超高速戦闘だ。敵に攻撃が当たっても再生し、ソウタに攻撃が当たっても、スキルの自然治癒と限界突破により回復力が爆発的に上がっているので即座に回復する。
それが数分間続いたところで、俺は敵の攻撃いなし、蹴り飛ばし、少し距離をとる。
「はぁ、はぁ、」
もう体力の限界だ。だが負けるわけにはいかない。こんな偽物に負けるわけにはいかない。
「奥の手を使う時がきたか」
体力は限界。魔力も残り少し。そんな絶望的状況だが、ついに奥の手を使う時がきたと思い、ワクワクしながら奥の手を発動させる。
「覇王ッ!!希望のオーラ!!」
その二つを同時に使うと、青色だったオーラが金色に変わる。あきらかに先程のオーラと質がちがうのがわかる。そして、目の色が黒色から赤色に変わり、髪の色も黒から赤に変わった。
そして敵を見る。敵もこの二つのスキルを使うと思い、警戒する。だがしかし、発動する気配がない。
もしかしてこれはマネできないのか?そんなことを考えながらも神速を使い、敵に近づき、刀を振り下ろす。敵はその攻撃に反応できず、真っ二つになる。だがすぐに再生され、神速を使用され、距離をとられる。
そこでソウタは確信した。
「次で終わりだ」
そう言って先程と同じように神速を使い、今度は敵の背後に迫る。敵は反応出来ていないので背中はガラ空きだ。そして最大火力の技を発動させる。
「雷切、Lv10ッ!!」
かつて山を吹き飛ばしたほどの技を、覇王+希望のオーラを発動させた状態で使用する。
ドゴォォォォォォンッ!!
そしてついに自分のコピーである敵を吹き飛ばした。
「はは、これでやっと倒せたのか」
俺は発動させていたスキルを全て解除する。すると全身に力が入らなくなり、その場に倒れる。
「も、もう、うご、け、ねぇ」
そう呟くと今度は意識が段々と遠くなっていき、気を失った。
ソウタが倒れた場所に看板が落ちてきた。看板には、
《お疲れ様!起きたら奥の部屋にきてね!》
とだけ書いてあった。
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