第8話 セリス大迷宮
ソウタを扉を開けようと思い、押して開けようとするが開かない。そして、押してダメなら引いてみろと思い今度は引いて開けようとするが、やはり開かない。
「この扉、重すぎだろ」
そう、ただ重かっただけなのだ。ソウタのステータスですら開けないほどの扉。
「こんなのただの壁じゃねぇか」
そう呟き、ソウタは考える。どうすれば開くのか。そして1つ思いつく。
「そういえば、この扉の向こうにモンスターがいるはずなんだが、この扉の近くにはいないよな?俺の魔力にビビってるのか?」
そこからソウタの実験が始まった。まずは扉を薄くしてみる。やはりモンスターは近寄ってこないので、さらに扉を薄くし、その扉に、ソウタは大量の魔力を注ぎ込む。モンスターを扉に近付かせないためだ。
「なんだよ、せっかくあんだけの武器を扉に変えたのに。別に少しだけでよかったじゃねぇか」
そう言うソウタの周りには結構な数の鉄が余ったので、その鉄を錬金術で門みたいな物を作った。
「さて、今度こそ行くか」
ソウタは今度こそ、扉を開け中に入る。入って扉を閉めると真っ暗かと思えば明るかった。その原因は光る鉱石のおかげだった。ソウタはその鉱石鉱物鑑定のスキルを使い見てみる。
《光石 ただの光る石。掘ると光を失う》
頭の中に流れ込むように情報が入ってくる。だが、わかりやすくていいなと思うソウタであった。他の鉱石も触ってみると、
《爆弾石 魔力を流し込むと数秒後に爆発する》
《回転石 魔力を流し込むと回転する》
《伸縮石 魔力を流し込むと伸び、魔力を流し込まなくなると止まる。そして、一定時間が経つと縮んでいく》
「どれも魔力を流し込めば発動するのか。面白そうだし持っていこう」
これらを使いまた新しい武器を作ろう!それにまだまだこの先もあるみたいだし、色々な物がとれるな!と俺はワクワクしながら進んでいく。すると階段と看板を見つけた。看板を見てみる。
《ここから先、セリス大迷宮。100階層まであるのでご注意を》
「は?」
意味が分からなかった。ここから先が大迷宮だと?しかも100階層まであると?そこまでいけば何かあるのか?俺は悩むそして、ヤケクソになる。
「100階層まで突き抜けよう」
そう呟き、手を地面につけ、錬金術で穴をあける。そしてその穴にはいり、そのまま地下へと降りる。それを繰り返す。もちろん穴はちゃんと塞いでいく。すると突然、錬金術の使用ができなくなった。正確には、壁などに対しての使用ができなくなった。原因はたぶん、周りの鉱石のせいだろうと思い、鉱物鑑定のスキルを使用する。やはり当たっていた。そして、自分が今何階層ぐらいにいるのか、考えてみる。
「たぶん、70層ぐらいだろ?そうであってくれ」
そう願いながら俺は進んでいく。少し歩くと、壁の向こうからモンスターが飛び出してきた。俺は何事もなかったかのように、そのモンスターを愛用の刀で切りつける。モンスターの体が3枚おろしにされ地面に落ちる。
「そういえばこの刀に名前を付けてなかったな。ん〜。黒いから黒刀でいいか」
そんなノリで武器の名前が決まった。それからまた進んでいき、階段を降りていく。恐らく90階層ぐらいに到達した。道中、たくさんのモンスターに襲われながらも無傷なソウタだったが、さすがに疲れ果て、その場に座り込み、周りを見回す。
「あの邪魔な鉱石はないみたいだな。クソ、もっと早く確認すれば良かったのに、なんで気づかねぇんだよ」
そう機嫌悪そうに壁に触れ、錬金術を使おうとした瞬間、触れた壁からモグラのようなモンスターが飛び出してきた。
「うぜぇんだよ!!」
そう言いながら俺はモグラのようなモンスターの頭を鷲掴みし、地面に叩きつけると、グシャッ!という音がした。たぶん体が破裂したのだろう。そう思いながら今度こそ壁に錬金術を使用し、空間を作る。
「はぁ。やっと休めそうなんだが、少し不安なんだよなぁ」
その原因は、この階層のモンスターのほとんどが壁の中に潜み、奇襲をかけてくるからだ。
「ずっと威圧を発動したらいいんだろうが、それじゃあ休む意味がないからなぁ」
俺の脳がフル回転するが、何も思いつかない。
「威圧みたいな鉱石って何かないのか?」
そう呟くと、そこで気づいた。なら自分で作れば良いじゃないか、と。そこからソウタは試行錯誤の末、とうとう完成したのは、それから1時間後の事だった。
「これで、安心して眠れるぜ!」
そう言い、80階層ぐらいで見つけた、《混合石 能力を付与できる》に威圧を付与させたお弁当箱形の鉱石4つを俺を囲むように置くと、俺はそのまま倒れるようにして寝転んだ。その瞬間、とてつもない睡魔に襲われすぐに眠りについた。
数時間後目を覚まし、周りを見てみると、お弁当箱形の鉱石の中に何かが溜まっていた。寝ぼけていた俺はそれを水だと思い飲んでしまった。その水のようなものを飲むと体から完全に疲労がとんでいったので、完全に目が覚める。
「なんなんだ!?これは!?」
そう言いながら水に触れる。触れるとなぜか元気になっていくような気がした。すると、ピチョンッ!と俺の顔に何かが落ちてきた。上を見ると、少しだけ濡れていたので、あそこから落ちてきたことがわかる。気になったので、錬金術で階段を作り、天井を黒刀で切り刻む。すると、そこには青色の光を放っている鉱石のようなものがあった。俺はすぐさま近付き、鉱石鑑定を使い調べる。
《神聖石 どんな状態でもすぐさま治す水を生み出す鉱石。》
これを持って行こう。ただそれだけを考え、俺は鉱石を掘り出す。鉱石の大きさはバスケットボールぐらいあるが、あまり重くない。だが結構な荷物になるので、あまり重要ではない鉱石は置いて行くことにした。そして俺は鉱石を左手で抱え、一応の目標である100階層を目指し、進んで行った。
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