第6話 解決
「グワァ!!!!」
「キャー!!」
モンスターが街の人を襲おうとしている所を目撃し、俺は短距離ワープを連続で使用し、その場に向かう。使ってみてわかったことだが短距離ワープは半径2メートル以内までしか移動できない。『これなら走ったほうが速いんじゃないか?』と思いながらも街の人に襲いかかっていたモンスターの頭を素手で殴ると《グシャッ!》っていう音をならし、頭が弾け飛ぶ。
「さすがに素手でこの大量のモンスターを全て殺すのは面倒だな。ちょっとそこの人、何か持っていないか?」
「えっ?な、何かってなんですか?あの、お金なら渡しますので殺さないでください!」
助けた人に怯えられた。そりゃぁモンスターを素手で殺した男に恐怖してしまってもおかしくはないのだろうが、少しひどくないか?
「金は別にいらん。なら武器を売ってる店を教えてくれ」
「そ、そこです」
と指をさした場所には確かに武器屋っぽい店があった。
「ありがとな」
「い、いえ!こちらこそ助けてくれてありがとうございました!」
そう言い、街の人は山から反対方向に走っていった。ソウタは最後まで怯えられなくてよかったと思いながら店に入るが中には誰もいない。
「適当に武器をもらって錬金術で自分好みの武器を作るか。この店の武器だってバレると厄介だからな」
そう呟くと適当に武器をとって錬金術で自分好みにカスタマイズしていく。すると数分でそれは完成した。それは刀のような形で刀身は真っ黒な剣だった。
「初めてにしては上出来だな!あと鞘も作らなきゃだなぁ」
そう言うと鞘も作り出す。ソウタの悪いところの1つだ。夢中になると子供のように無邪気になってしまうのだ。
そして鞘もできあがった。鞘の色は主に黒色で外側には赤のラインがはいっている。その鞘に刀を納めると腰に下げ、店をでる。
「我ながらいい物を作った!」
と満足気にギルドの方へ歩いて行く。ギルドに着くと満面の笑みでザックに言う。
「見てくれザック!刀を作ったんだ!かっこいいだろ!」
「ッッ!!!???そ、それよりモンスターはどうしたんだ!?」
その瞬間、ソウタの顔から笑顔が消える。自分が何のために武器屋に寄ったかようやく思い出したようだ。そしてポーカーフェイスを取り戻したソウタは冷静に、
「忘れていたぜ」
「何をしているんだ君は...」
そう言うとザックは膝から崩れ落ち、ソウタは急いで街のモンスター達を殲滅しにいこうとする。
「こ、今度こそ頼むよ?」
「任せてくれ」
ザックが少し不安気に言うとソウタは自信満々に答え、外に出て行った。
「少し、心配になってきたな」
それでもザックはソウタのことを信用しているので『まぁ次こそは大丈夫だろう!』と思い他のギルドに連絡する。
ギルドを出てからソウタの動きが速くなった。限界突破Lv1を使ったのだ。そして、使用してから10分ぐらいで街になだれ込むように来ていたモンスター達をすべて、先程作った刀で始末してしまった。街の人達や兵士達がお礼を言ってくる。だが俺はそれを無視するように言う
「俺はただ自分のせいで起こった事の後始末をしに来ただけだ。だからお前達は俺に礼を言う必要はない」
【えっ?】
その場にいたもの全員が疑問に思ったのだ。今、後始末と言ったか?それはどういうことなんだ?と。そのことを兵士が代表して聞く。
「後始末とはいったいどういうことだ?」
「そのままの意味だ。俺が山を吹き飛ばしたせいでモンスター達が街に流れこんできたんだよ」
「つまり、この街に大量のモンスター達が来たのはお前のせいなのか?」
「そういうことになる。だから後始末に...」
コツンっとソウタの頭に何かが当たる。街の子供がソウタに石を投げたのだ。そこから街の人達の動きは早かった。ソウタに罵声をあびせながら石を投げ始めたのだ。黒輝ソウタはこの街のヒーローから一気に悪者になってしまった。だがソウタは何事もなかったように山へ向かおうとする。
「おい!どこへ行くんだ!」
「だから言ってんだろ?後始末をしに行くんだよ」
「そんなこと信じられるか!ここで大人しくしてもらうぞ!」
「そんなことしていいのか?」
「どういうことだ!」
「俺は今からこの大量のモンスター達がこの街に来ないようにするために山へ向かっているんだ。そんなことしようとしているやつを止めたらこの街にまたモンスター達が押し寄せるぞ?」
「そんなこと信用できるか!」
話しが通じないとおもったソウタはその兵士を黙らせるために威圧を使い、気絶させ、山へ向かった。それを目の当たりにした街の人達からは当然ソウタに罵声浴びせ、石を投げつける。
「まぁ、仕方ないよな。俺のせいなんだし。」
ソウタは寂しそうに呟く。ソウタは人間だ。いくら自分が悪くてもここまでされるとさすがに傷つく。そしてソウタは、石を投げられながらも山へと向かっていくのであった。
山があった場所まで着き、原因である場所へ行こうとすると大量のモンスター達が襲いかかってくる。それを、雷切Lv1で全て葬り、目的の場所に着くと、そこには確かに洞窟のような穴があった。
「ここが本当の大迷宮の入口なんだな?」
と呟くと、武器を作るために持っていた武器を錬金術で大量の鉄に変え、その穴の近くに大量の鉄を置き、錬金術で鉄の扉を作った。これでもうモンスター達が出てくることはないだろうと安心していると、後ろから気配がする。敵探知にはかかっていなかったのでモンスターではないはずだ。なら誰だ?こんな場所に来る奴なんて俺以外いるのか?そう思っていると声が聞こえた。聞き覚えのある声、それはエギルの声だった。
「久しぶりだな、黒輝ソウタ。なぜこんなところにいる?」
「後始末をしに来ただけだ」
「む?後始末だと?どういうことだ?」
エギルに事情を話すと意外にもすぐに理解してくれたので少し驚いたソウタだった。
「まさかお前が山を吹き飛ばしただなんて思わなかったぞ」
「そうだろうな。じゃあな。俺はこれからギルドに向かう」
「みんなの元へは戻ってこないのか?」
「あぁ」
俺は即答し、その場を去ろうとするが、エギルが付いてくる。
「なんで付いてくるんだよ」
「ギルドに用があるからだ」
「そうかよ」
そして2人でギルドに向かうのであった。
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