第3話 異世界だと...
「彼らが神が連れてきてくださった方々なのでしょうか?」
「あぁ、きっとそうにちがいない」
誰かが話している。聞きたいことが沢山あるが、まだ意識が朦朧としていて立てない。それはみんなも同じようだ。あの時、いったい何が起こったのか誰も理解できていない。
それにこの見覚えのない景色に鎧を着た男とお姫様っぽい服を着た女の人がいるこの状況は普通ではない。俺は考えに考え、『ここはもう異世界でいい!』とやけくそに仮定した。
数分後、やって立てるようになると、北神が鎧の男に質問する。
「ここはどこでいったいあなたたちは誰だ!?」
「私はエーテル王国の王女リア。こちらは騎士団長のエギルと申します。」
「なぜ俺たちはここにいる!?」
「それは魔王を討ってもらうためです。」
「魔王だと?ふざけるな!」
「ふざけてなんかいません。この世界には3種類の生命体に加えモンスターがいます。人間、魔人族、獣人族。そして現在、魔人族が人間に宣戦布告してきたのです!なので手を貸していただきたいのです!」
「なぜ俺たちがそんなことを!?」
「この世界の人々はあまり強いとは言えません。騎士団長であるエギルでさえ地下大迷宮を1つも制覇していません。なので別の世界の才能のある、あなた方の力をこの世界のために使っていただきたいのです!」
北神はすこし考えている。そしてその考えがまとまったのだろう。王女と騎士団長に目を合わせ頷き、
「わかりました。俺たちがこの世界の人々を守れるというなら手を貸しましょう!みんな!そうだよな!」
【おぉー!!!!】
俺以外のクラス全員がすごいやる気満々だ。
「感謝する!」「感謝します!」
エギルとリアが深々と頭を下げた。
その後、自分の状態と職業を見れる紙を貰った。その紙には
黒輝 ソウタ 職業 勇者 Lv1
体力 10000
力 10000
魔力 10000
敏捷10000
魔防 10000
<スキル>
限界突破Lv1〜10、覇王、ステータス減少無効化、毒.麻痺.睡眠無効化、短距離ワープ、自然治癒、幻覚無効化、威圧、希望のオーラ、岩壁、強固、創造魔法、速読、コピー、雷切Lv1〜20、鉱物鑑定、
錬金術、敵探知
んー?基準がわからん。ぼっちの俺には聞く相手もいないしなぁ。そんなことを思っていると、
「北神 光!職業は勇者!ステータスはオール100!」
と言っていた。あ〜そういえばエギルさんだっけ?確かこの世界の一般人のステータスが10ぐらいだって言ってたか。情報が多すぎて忘れてたぜ。そうなると俺ってすげぇ強いじゃん。面倒なことになりそうだなぁ。と思っていたら案の定と言うべきか、
「えっ!!!!」
王女が俺の後ろを通った時に俺の紙を見たのだろう。叫びやがった。
「あ、あのっ!お名前は!?」
「く、黒輝ソウタだ」
その勢いに押されるがまま名前を聞かれたので少々驚いてしまった。そしてこんな騒ぎをおこしているのだから当然みんな俺の方を見る。
「その紙を見せてもらってもいいか?」
「いいぜー」
そう答え紙をエギルに渡すと目を見開く。
「こ、こんな数字みたことがない!黒輝ソウタといったな?お前なら絶対に魔王を倒せる!是非魔王を討ってほしい!」
「嫌だ」
【えっ?】
俺は嫌なことはちゃんと嫌だと言える日本人だ。もちろん即答してやった。
リアとエギルは何を言われたのか分かっていなかったみたいだ。そして、こうなるとお決まりだと言わんばかりに北神が俺の方へ来たのだ。
「黒輝っ!お前はこの世界の人達がどうなってもいいっていうのか!?」
「別の世界の俺がすることじゃないし、そういうことはやりたい人がすればいいだろ」
「お前の職業は俺と同じで勇者だろ!?なんでそんなことが言えるんだ!」
「俺は勇者になりたくてなったんじゃないんだよ。わかるだろ?」
「だからって、力のあるものが力のないものを助けるのは当たり前のことだろ!」
「はぁ、お前の当たり前を俺に押し付けるな」
「わかった。お前は言葉じゃわからないんだな。なら俺と勝負しろ!俺が勝ったら一緒に魔王を倒してもらう!」
「勝負の内容は?」
このまま北神と話していても埒があかないので勝負にのる。ついでに俺はこの世界での力の使い方を練習しようと決めた。
「どちらかが負けを認めるまで殴り合いだ!」
そう言いながら殴りかかってきた。卑怯な奴だ。
そこで俺は頭の中で威圧をイメージすると発動できたみたいだ。だが力の使い方が慣れていないせいで最大出力の威圧がその場にいる全員にくらわせ、気絶させていった。北神もすでに気絶している。でもさすが騎士団長と言うべきだろう、持ち前の気力でまだ意識を飛ばしていなかったみたいだ。
「俺はこの世界でやりたいようにやる。魔王は俺の邪魔をしてきたら殺す」
エギルにそう言い、俺はその場を去った。エギルは何かを言いたそうにしていたが威圧のせいで何も言えなかった。
さて、これからどうしよう。お金も何も無い。
「はぁ」
ため息しかでないこの状況。そうだ!どこかでかい建物の所へ行けばなにか教えてくれるだろう!
そう思い歩いていると着いたんだが。建物にエーテルギルドと書かれている。『この世界でもカタカナを使うんだなぁ』と思いながら入ってみると大柄な男達が酒を飲みながら俺のことを睨んできたので威圧をすこし発動してみるとみんなが震え始めた。
よしっ!調整完璧!と満足げにカウンターみたいな場所へ行き、
「何か金になるような仕事を教えてくれ」
「でしたらまずはステータスペーパーをお見せください!」
聞きなれない単語だがたぶんこの紙だろうとおもい渡すと
「ありがとうございます!」
と言われギルドのお姉さんが急に目を見開き
「あ、あの!すいません!このギルドの責任者をお呼びしますので少々お待ちください!」
そう告げると、ギルドのお姉さんは奥へ走っていった。もう困惑するしかない。
少しの間待っていると奥から大柄な男の人が来た。
「君がこのペーパーの持ち主かい?」
「そうだよ」
「すまないが奥へ来てくれ」
そう言われたのでおとなしく付いていく。
「そこに座ってくれ」
座ると同時に自己紹介が始まった。
「私の名前はザックという。このギルドの責任者だ。さっき君のステータスを見せてもらったよ。すごいね、Lv1であのステータス普通じゃない。そしてお願いがあるんだ」
「なんだ?」
「私の友人を助けてほしい。報酬はちゃんとだす。そして金の冒険者の証も渡そう」
「報酬は金をくれよ?無一文なんだ。それと金の冒険者の証とはなんだ?」
「わかっているとも。冒険者の証とは簡単に言えばランクのようなものだ。下から順番に銅、銀、金となっている」
「いきなり金になってもいいのか?」
「君のステータスなら問題ないよ」
「よし、じゃああなたの友人の話しをしよう。どこにいるんだ?」
「あの山にいる」
そう言いながら指を指した場所はすごく大きな山だった。
「あの山はダークフォレストという大迷宮の一つだ」
「なぜその友人はそんな場所に行ったんだ?」
「金が今すぐいるからモンスターを狩っていい値段になる素材を売ろうと思ったんだ。無論、私は止めたぞ。だが止められなかったんだ。」
「なるほどな、状況はわかった。じゃあ待っておいてくれ。見つけたらすぐ連れ戻す。あと大迷宮の話しも後で聞かせてくれ」
「感謝する。友人の名はガイルという。胸にロケットを付けているからすぐにわかるはずだ。」
「了解」
俺はこうして初めて大迷宮に行くことになった。正直かなりワクワクする。男の子の性という奴だ。問題は1つだ。もしも死んでいたらどうしよう?報酬はなしなんだろうか?そんなことを考えながら俺はダークフォレストへ早足で向かった。
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