第2話転生
「うふふ~。ありがとう。それに彼の希望も過去も全部把握してるから大丈夫よ。必ずうまくやってみせるわ。」
「ふむ・・・。まぁお主が言うなら大丈夫じゃろう。・・・さてお主。最後になにか聞きたいことはあるかのう?」
「・・・あの、大丈夫なんですか?本当に・・・。」
「うむ。大丈夫じゃて、こう見えて、こう見えて彼女は中々位の高い神様なんじゃよ?」
「なんで二回言ったんだコラジジイ。・・・うふふ、私ったらついはしたない言葉を。そうよ~。貴方のいた地球だって私が造ったんだから。私元々地球の神様だったの。」
こんな・・・、いや、この人が地球を造った・・・?
よくわかんないが急にすごい人に見えてきた・・・。
「まぁそれも短い間じゃったがな。恐竜時代に隕石が落ちてきて世界から恐竜が絶滅して氷河期に入ったじゃろう?あの隕石は彼女の仕業じゃからな。」
「・・・ええ!?」
「も~その話はしないでよ恥ずかしい。あれはちょっと失敗っていうか・・・。地球をいじろうとした時にくしゃみをしちゃって近くの大きな石を飛ばしちゃったのよね!まぁおかげで人間が生まれるきっかけができたし結果オーライじゃない私?」
・・・氷河期が・・・、あの隕石が、ただの神様のくしゃみで起きたなんて・・・。
この人は絶対に怒らせてはいけないな・・・。絶対に。
「ま、まぁそうじゃな。と、とりあえず彼はお主に任せるとしよう。ではの孝明。新たな人生を謳歌するがよい。」
そう言うと老人は一枚の書類と取り出し大きなハンコを押した。
その瞬間俺は別の空間にいた。
眼下には地球のような星があり周りには宇宙空間が広がっている。
まるで宇宙に浮かぶ半透明な何も家具などのない床の上に座っている様だった。
が、不思議と恐怖はなく安心感のある空間だと感じる。
「ふふふ~。まぁ神様の空間だからね。恐怖なんかは感じないはずよ。」
気づけば目の前には老人はおらず、先ほどの女性(?)が立っているだけだった。
「今下に見えるのが今から貴方がいく世界。そして私の管理している世界。改めまして私の名前はフィリア。この星の唯一神よ。」
「あ、・・・えっと・・・、俺の名前は・・・。」
「ああ、いいわ。言わなくて。貴方はこれから新たな名前を授かって生まれ変わるのだから、前の名前は必要ないわ。」
別に愛着があったわけでもない名前だが、これから新しい名前を授かると聞いて急に不安になってきた。
本当に俺は生まれ変わってうまくやっていけるのだろうか・・・。
「ふふふ。そんなことは今心配してもしょうがないでしょ?いい?人生なんて心配と緊張の連続よ?でもね、いくら心配しても、いくら緊張しても結果が良くなることなんて何一つないわ。だったら気軽生きなさい。それが案外成功する秘訣なのよ?」
彼女(?)は唇に人差し指を当てウィンクしてきた。
正直腹の立つ仕草だったが言っていることは正しく納得できたので黙っていることにした。
「ふふ。じゃあまずこの星の説明をするわね。この星は「アース」と呼ばれる星で、所謂剣と魔法の世界ね。魔物がいて、動物もいて、魔法があって、今でも剣や弓を使って戦って、自然豊かな星よ。ああ、心配しないで?貴方は恵まれたいい環境に生まれることになってるし、そのまま人生ゆっくり過ごしてくれればいいわ。そのあたりはさっき管理者の爺さんの話にあった通りよ。」
本当に大丈夫だろうか・・・、という不安はあったが、やはり彼女(?)は神様だからか、言うこと何故か説得力があり、俺を安心させてくれた。
「次に転生の特典だけどこの星の生物には敷く中らず「魔力」と言うものが存在する。地球では人間の体の役70%は水分、なんていうけど、こっちでは魔力も人間をつくるうえで欠かせない物物質の一つになっているわ。だから体の構成から、世界中全ての物理法則や物質の構成なんかは地球のそれとは違うからね。そして特典なんだけど、貴方はその魔力が人よりも多く持つことになる。そして体も健康的で頑丈で・・・、といっても他人よりほんの少し、だけどね。そんなにけた外れにすごいわけではないわ。」
俺の少ない知識で考えると恐らくわざわざ物質の話をしたのは、1000人の転移者の失敗があったからだろう。
こういった文明の栄えていない星に行った人が地球の知識を使って物を作ろうとして失敗したケースがあったんだろうな・・・。
「だけど魔力も、当然体も鍛えれば強く大きくなる。もちろん限界はあるけどね。地球人と違って人間の臓器の一つに「魔力袋」と言うのが存在するわ。貴方はそれも人より大きくしてある。」
「つまり・・・。鍛えればすごい魔法が使えるようになるってことですか?」
「そう言うことよ。まぁそのためには本当に厳しい努力が必要になるけどね。ふふふ。貴方にそれができるか楽しみね。」
魔法・・・。
中学生の年齢の俺にはそれはとても心を奪われる言葉だった。
一体どんな魔法が使えるのだろうか・・・。
雷とか操ったり、手から炎を出したりしちゃうのかな・・・?
「まぁ説明はこんなところね。これ以上は言わないでおくわ。人生生まれる前から色々知ってるなんてフェアじゃないしあり得ないことだから。後は自分で生まれ変わってから学びなさい。」
「・・・そう言えば一つだけいいですか?」
「いいわよ。因みにその質問の答えはYESだけどね。」
「・・・え?じゃあこの星に生まれ変わりたくないって言ったらまた地球に生まれたりできるのですか?」
「もちろんできるわ。でもその場合輪廻転生の流れに乗ってもらうらどんな人生になるかは保証できないわよ?今回は神である私達が直接生まれ変わらせるから安全で安心でいい家庭に確実に生まれ変わらせてあげられるけど。もし地球がいいなんて言うなら前世みたいなこともあっても仕方なしね。」
その言い方はずるいとしか言いようがない。
実質一択じゃないかそれじゃ・・・。
「ふふ。少し意地悪だったかしら。でもそれが本来の輪廻転生の輪なんだから仕方ないじゃない。人生と一緒で生まれ変わりもいい時もあればよくない時もあるわ。それは仕方ないことだしそれが自然の摂理なの。・・・さて、君はどちらを選ぶかしら?」
「俺は・・・。・・・・、こっちにします。魔法とか・・・興味あるし。」
心からの答えではない。
でも魔法とか冒険に興味があるのは本当だ。
男の子なら誰だってそうだろう。
俺はそう自分に言い聞かせて自分を納得させ、こちらの「アース」に行くことを選択した。
「ふふ。よろしい。では貴方のこれからの人生が幸せなものになりますように・・・。唯一神であるフィリアが貴方に祝福を授けます。・・・ではいってらっしゃい。貴方のもう一つの人生がいいものでありますように・・・。」
フィリアは両手を胸の前で組み俺に祈りをささげてくれている様だった。
その姿はとても神々しく感じ(オカマじゃなきゃ涙を流していただろう)本当にこのお人は神様なんだなと実感した瞬間だった。
俺の意識はその瞬間途絶えた。
恐らくこれから生まれ変わって新しい人生が始まるんだろうなぁと何となく感じ、心の中で期待と不安がこみあげてきた。
・・・次こそいい人生にしたいな・・・。
しかしそうはならなった。
誰かが叫んでいる、その声が自分の声だと気づいた時、すでに全てを失ったことを悟った。
俺は9歳を迎えた時、全てを失ったのだ・・・。
・・・とある街の一軒家の中に美女の夫婦がいた。
その瞬間は二人にとって忘れられない瞬間となっただろう。
二人の間に可愛らしい男の子が生まれたのだ。
二人は大喜びしその子に「チャールズ」と言う名前を授けた。
そして新たな家族と共に二人は馬車に乗った・・・。
俺の意識はもうろうとしていた。
兎に角眠いし、体は思うように動かないし、腹が減ってしょうがない。
恐らくこの二人が俺の両親なんだろう。
二人とも美男美女だった。
その事はすごく嬉しいが・・・、嬉しいんだが・・・なんか二人とも若すぎないか?
まだ20歳にもなってないんじゃないか、と疑問に思ってしまうほど若々しい顔立ちをしていた。
まぁ父親の方は髪が真っ白だから年齢不詳なところはあるが。
母親の方は神真っ赤だな・・・、染めてるのか?
でもすごく似合ってる。
そんな事を考えながら今日も母乳をすする。
初めは抵抗があったが、本能からか、家族だからか、変な気持ちは生まれず素直に飲むことが出来た。
と言うか腹が減ってそんな事考える余裕もなかったんだが。
兎に角また眠ろう・・・。
美男美女の夫婦は「フェラール」の街から出発して、「アニ」の街に向かった。
道のりは長く、大変な旅だったが、二人とも旅に慣れているのか順調馬車を走らせていった。
途中で魔物などが出てきたが二人は難なくそれを倒し進んでいく。
二人は中々強いようだ。
それがどの程度のレベルなのかはわからないが・・・。
女性は綺麗な歌を歌いながら進んでいく。
数か月後、二人は無事に「アニ」の街に到着。
そこで家を買い、家族三人で仲良く過ごした・・・。
魔法ってどう使うんだろう・・・。
不意に俺がそう思ったのは生まれてからお恐らく一年は経ってからだろう。
初めの一年はほとんど覚えていない。
何故ならほとんど寝ていたからだ。
何とか体を少しずつ動かして寝て、起きては体を動かして寝て・・・。
その繰り返すの一年だった。
ある時、俺の粗相を掃除してくれる時に母親が手から水を出して洗ってくれていることに気づいた。
母親は俺の粗相を楽しそうに笑顔で掃除しているのを見て、初めはこの人変な性癖でもあるんじゃないかと疑ってしまったがどうやら違うらしい。
生まれてきた俺が可愛くて仕方なくて、掃除するのも楽しいらしい。
・・・疑ってごめんよママン。
俺はどうやら本当に言い家族に恵まれたようだ・・・。
チャールズが生まれてから2年が経った。
夫婦は他の家族から子育ては大変だと聞いていたがチャールズを育てるのはそんなに苦労しなかった。
粗相をしたら泣いて呼んでくれるし夜泣きもしない。
それに他の子よりも早くハイハイを始めるしすでに立ち上がる練習もしている。
初めは驚いたがこの子は天才なんだろう。
すでに魔力を練る練習もしている様だった。
もう天才としか説明のしようがない。
一体どんな子に育つか夫婦そろってとても楽しみにしている・・・。
俺が生まれて三年が経った。
もう普通に歩けるし、魔法が何なのかもわかってきた。
初めはお腹のあたりに暖かいものがあり、おしっこがしたいのかと思ったが違った。
それが魔力なのだろう。
初めはそれを動かす練習をした。
体の全身に巡らせてみると体が軽くなり動きやすくなった。
が、すぐに疲れて眠くなってしまう。
だがフィリアが言っていた様に努力をすればそれは大きく強くなるようだ。
半年もしないうちに一時間以上それをできるようになった。
近くに置いてあった本は全部理解した。
初めは母親に読んでもらい字を覚えてあとは自分で全部読んだ。
この子はやはり天才だ。
初めは他の家同様に本を読み聞かせていたが、そのうち自分で読み始めていた。
それもただ読んでいるだけでなくしっかりと理解している様だった。
そして「初級魔法の書」という本を読んで一人で魔法の練習をしている様だった。
夫は「男の子には剣術」と言っていたが、私は魔法を教えて魔導士になってほしいと思ってる。
どうするかは本人次第だが、神父さんに相談したら「両方やらせればいい」という答えを貰ったので両方教えてみることにした。
私は今日もこの子の成長を楽しみながら歌を歌った・・・。
4歳の時妹が生まれた。
両親が子作りに励んでいるのは知っていた。
この家は木造でそんなに大きな家ではないので声が丸聞こえだった。
まぁ血がつ繋がっている家族の為、大して何も思わなかったのは幸いか。
年齢のせいかも知れないが。
俺は母親から魔法を、父親から剣を教えてもらうことになった。
だがそれは5歳になってかららしい。
一般家庭や、貴族でさえ(この世界には貴族や王族がいるらしい。)ふつうは8歳から10歳になってかららしい。
俺は天才と呼ばれているので(親馬鹿だな)その為早く教えてくれるのだろう。
家にある本は読み飽きたし初級の魔法も使えるようになった。
もちろん両親を驚かせないようにこっそりと裏庭で練習した。
うちの子が天才すぎる。
4歳ですでに初級魔法を使っていた。
何故か私達に隠れてこっそり練習しているが、うちはそんなに大きくないので丸わかりだ。
そんなところもまた可愛い。
4歳で「身体強化魔法」を使いこなし、魔力量も多く、初級魔法を使いこなす天才なんて聞いたことない。
この子は将来偉大な偉人になる事だろう。
もしかしたら宮廷魔導士とかになって立派な女性を捕まえて・・・。
うわぁぁぁ、この子がよその子になっちゃうよー!!
よし決めた、この子によって来る虫は全て私が振り払おう!!
うちの母親はなんか変だ。
この前こっそり修行して家に入ったらいきなり泣き出して、そのあと急に立ち上がり拳を空に向けて何かを決意した顔をしていた。
・・・彼女に一体何があったのだろう・・・。
まぁとにかく俺は部屋で魔力を練る練習でもしよう。
父さんは今日は仕事で遅くなるようだ。
うちの父さんはどうやらこの街「ノア」の警衛兵をしているらしい。
この世界の文字は簡単だ。
アルファベットのようなもので51音あるだけで後は簡単な言葉の組み合わせしかない。
日本語ができる人なら誰でもできるだろう。
まだ家の敷地から出たことはないからこの世界がどんな感じかはまだわからない・・・。
今日はあの人の帰りが遅い日だ。
私一人で子育ては大変だがチャールズが手がかからない子でよかった。
新しく生まれた女の子は「ミア」。
この子は他の普通の子と同じで夜泣きはすごいし魔法は使わないし。
私はどこかほっとしたような残念なような気がしている。
・・・っ残念なんて言っちゃいけないな。
私のかわいい子達を区別するなんてとんでもない。
よし、今日も可愛い私達の子にキスしてこよっと!!
うちのかあさんは情緒不安定なのだろうか。
急に落ち込んだと思ったらいきなりこっちに来て俺とミアにキスしてきた。
俺達はされるがままになって、まぁ悪い気はしないけどね。
ミアも母さんにキスされてきゃっきゃ喜んでいた。
うん、俺の妹は今日も天使だ。
そして俺と違って髪の色は真っ赤みたいだ。
俺は父さん譲りで髪は真っ白く、ミアは母さん譲りで髪は真っ赤だ。
俺はどちらの髪の色も好きだし、両親も好きだ。
前世と違って今回は本当に言い家族に恵まれたようだ・・・。
今日は俺は息子にプレゼントを渡そうと思う。
それは木刀だ。
俺はチャールズには俺のように剣士になってほしい。
決して、決して俺は魔法が苦手だから剣士になったわけではない。
俺の父さんも、爺さんも魔法は苦手だった。
チャールズが変なんだ、うん、きっとそうだ。
俺は帰宅後妻の「リリー」と娘のミアにキスした後、チャールズを呼んだ。
こいつは本当に頭がいい。
魔法の才能もさることながら言語力も長けてるし何より空気を読む、という事ができる。
まだ四歳だぞ?
・・・ふっ、まぁ俺の血かもしれないな、頭がいいところは・・・。
今日は珍しく真剣な表情で父さんに呼ばれた。
前世の事を思い出し俺は恐怖で顔が強張ってしまった。
だが父さんは俺の頭を人撫でした後、木刀を俺にくれた。
そして父さんは「いいか?剣とは人を傷つけることも守ることもできる。お前はこれから毎日何のために剣を振るうかしっかり考えろ。そして剣の練習を怠るな。約束できるか?」と聞いてきた。
おいおい4歳には難しい話だろう、と思ったが俺は理解できたため、真剣に、ゆっくり頷いた。
やはり父さんは俺を剣士にしたいようだ。
父さん魔法苦手そうだからなぁ・・・。
小さいころ俺を洗おうと水の初級魔法を出して間違えて俺に水の塊をぶつけてしまい、俺は鼻血が止まんなくなったっけ。
あの時の母さんの怒った顔は怖かった・・・。
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